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【市況】明日の株式相場に向けて=低PBR銘柄が再始動へ

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 名実ともに4月新年度入りとなった3日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比146円高の2万8188円と続伸。4月は機関投資家のニューマネー流入が期待できる月だが、その傾向は特に外国人投資家にはズバリ当てはまり、過去10年を振り返って4月に売り越したのはたった一度しかない。2013年以降昨年まで、コロナ禍の20年を除いて買い越しは9回に及ぶ。しかも、今年について言えば、外国人投資家は3月に売りを集中させ、同月第4週までに現物で2兆2500億円も売り越している。更に市場筋によると「過去10年というタームで見ても、直近の外国人の日本株の買いポジションはアベノミクス相場が始まる前と同じ過去最低水準にある」(中堅証券ストラテジスト)という。

 こうなると、4月相場でよほどのネガティブイベントがない限り、株式需給面のアノマリーからは海外マネーが怒涛の勢いで流れ込んできてもおかしくはない。ただ、金融システム不安の火種がくすぶるなか、邦銀に燃え移る可能性が本当にないのかどうか、慎重に見極める必要はある。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>と三井住友フィナンシャルグループ<8316>は非常に似通ったチャートを形成しているが、ここまで戻り足は思ったよりも鈍く、それだけに今後のチャートの形状に注目しておく必要がある。

 半導体関連株は強弱観が対立している。きょうはレーザーテック<6920>やアドバンテスト<6857>などをはじめ半導体の主力値がさ株が軒並み安くなった。しかし、同じ半導体でも前週末1日の株探トップ特集で取り上げた「パワー半導体 」関連は大きく値幅を出す銘柄が相次いだ。不思議な現象だが、次世代パワー半導体は日本の実力をいかんなく発揮できる分野であり、海外筋からも注目度が高いようだ。このほか、同特集では触れられていなかったが、タムラ製作所<6768>は外せない存在。これ以外では、キョウデン<6881>などもマークしておきたい。

 また、個別株物色の流れを俯瞰すると、低PBR銘柄が改めて動意含みとなりつつあるようだ。市場再編によって現在のプライム・スタンダード・グロースの3市場に区分されて早くも1年が経過した。PBR1倍を下回った水準が常態化している企業については、東証が改善要請を強く求めている構図であり、企業価値向上に向けて経営する側が腐心する必要が迫られている。その際、分母である純資産を小さくすることでPBRは上昇傾向となるため、有配企業であれば増配(もしくは自社株買い)など株主還元を高めるといった手段が手っ取り早い。しかし、元来は企業活動として利益水準を高めることがベストであり、この場合は分子に当たる株価を上昇させることがPBRを引き上げることになる。いずれにしても、投資家にとって尻に火がついた状態の低PBR株は魅力的な存在となる。

 直近で「超低PBR」の範疇に含まれる銘柄にスポットを当ててみる。ひとつの区切りとしてPBR0.2倍以上0.3倍未満という、いわゆる解散価値の4分の1くらいまで大きく売り込まれている銘柄で有配企業を探すと意外に多いことに驚かされる。例えば当欄で複数回取り上げた加藤製作所<6390>やエフテック<7212>、三協立山<5932>といった銘柄はいずれもPBR0.2倍台で有配である。加えてPERも割安であり、キャッシュフロー面からのアプローチでも評価不足が歴然だ。では何が悪いのかといえば、厳しい言い方をすれば会社の株価意識の低さに尽きるといえる。言い換えれば、会社のIR姿勢が変化するだけでも株高修正余地が生まれる。

 目先、値動きの出ている超低PBR銘柄では、GMB<7214>が挙げられる。PBR0.2倍、PER5倍台で配当利回りも2%以上ある。また、石油や化学品など液体輸送で強みを持つ丸運<9067>もPBR0.2倍台。こちらは配当利回りが3.4%強と高い。かつて仕手化した経緯もあり、オールドファンなら記憶しているかもしれない。

 あすのスケジュールでは、3月のマネタリーベースが朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に10年物国債の入札が行われる。引け後に2月の財政資金対民間収支が発表される。また、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にトランザクション・メディア・ネットワークス<5258>が新規上場する。海外では、豪中銀の政策金利発表、2月の米製造業受注が発表される。また、米国ではクックFRB理事やメスター・クリーブランド連銀総裁が講演を行う予定。なお、台湾、インド市場は休場。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2023年04月03日 17時01分

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