【市況】明日の株式相場に向けて=半導体関連に復活の号砲鳴るか
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
メジャーSQについては、売りではなく買い仕掛けが入り、積み上がる空売りポジションが踏み上げられる展開に。ただ、前週末に始まった踏み上げモードは今回のメジャーSQに絡む思惑にはとどまらない。前日にも触れたが、5000億円規模のリンク債の存在が指摘される日経平均2万9100円から3万円のゾーンが“火薬庫”となっており、ここにノックインさせようとする思惑が市場筋の間で囁かれる。もとより、プライム市場は低PBR銘柄の宝庫であり、東証の改善要請に倣って、1倍割れ企業の株価が軒並み一株純資産並みに買われたら、日経平均3万円ラインへの短期到達などたやすい話となる。
個別では半導体関連株の物色の裾野が広がっている。主力どころでは、不動の売買代金トップ銘柄であるレーザーテック<6920>が安値圏もみ合いながら下値抵抗力を発揮し始めた。今期の受注高見通しを大幅に引き下げたことで2月1日に大陰線で下放れた。以降も弱含みの冴えない株価推移だったが、同社がシェアを独占するマスクブランクス検査装置は最先端半導体の生産にも必須アイテムとなるはずで、EUV露光装置の市場拡大とも思惑が合致する。会社側も今年後半には半導体市況回復を見込み、受注減少は一時的なものという認識を示していることもあって、見直し買いのタイミングが近い可能性はある。
レーザーテックは時価総額で2兆円を超え、押しも押されもせぬ半導体のシンボルストックとして指標性を発揮しやすいが、トレード対象としては上値にしこりのない半導体関連の中小型株の方が有利といえる部分がある。「レーザーテックは売り買いともに個人投資家の参戦が活発だが、出来高流動性が際立っており、ともすれば先物や日経レバを買うような感覚に近い」(中堅証券マーケットアナリスト)という指摘もある。
中小型のグローバルニッチトップとして注目される半導体関連では、昨年来当コーナーで追い続けてきたジェイテックコーポレーション<3446>。理化学研究所向けを中心にナノレベルでも最先端を行く超高精度X線集光ミラーで他社の追随を許さないポジションにあるが、これは研究所向け部材であるため収益インパクトにはやや欠ける。元来同社の強みは機器開発事業であり、それを生かして、次世代半導体市場の拡大を視野に置いた最先端研磨装置の開発に成功している。この研磨装置は触媒基準エッチング法(CARE)、プラズマ援用研磨法(PAP)、プラズマ化学気相加工法(プラズマCVM)の3方式があり、既に受注獲得の実績もある。日の丸半導体新会社ラピダスが話題となっているが、「ラピダスが量産を目指している最先端半導体とはあまり接点がないが、次世代パワー半導体分野では当社の研磨装置の活躍余地が大きい」(会社側)とする。これは方向的にはタムラ製作所<6768>やローム<6963>、サンケン電気<6707>といった企業の事業テリトリーに近い。業績面でも23年6月は3億円の営業黒字化を見込む。上期(7~12月)は赤字で着地したが、同社の場合は下期に売り上げが集中するため進捗率はあまり関係がない。
このほか、半導体関連の中小型株としては、半導体の最先端プロセスで使われる装置や薬液・ガスなどワンストップで対応するCKD<6407>、半導体の後工程で使う樹脂封止装置などの製造装置で高い商品競争力を誇るTOWA<6315>、テスター用半導体ソケットを主力展開し、光関連製品分野でも高い技術力を有する山一電機<6941>などが強い足を形成しており目が離せない。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合の結果発表と引け後に黒田日銀総裁の記者会見が予定されている。このほか1月の家計調査、2月の企業物価指数、1月の特定サービス産業動態統計など。また、この日は株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日となる。海外では2月の米雇用統計が注目されるほか、2月の米財政収支なども発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年03月09日 17時57分