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【市況】明日の株式相場に向けて=上げ潮に乗るバイオ関連株

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(25日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比95円高の2万7395円と4日続伸。前日の欧米株市場が総じて上昇一服ムードとなるなか、直近3営業日で日経平均はほぼ900円上昇していたこともあって、きょうは目先利益確定売りに押されるのが自然な流れともいえた。しかも、前日の引け後に日本電産<6594>が大幅下方修正を発表、地合いが悪い時であれば輸出株売りへと波及し「日電産ショック」と囃(はや)されても不思議のない場面だった。足もと空売り比率の落ち込みが取り沙汰されているが、市場関係者によると「まだ、ショートが残っていて、きょうあたりは最後方にいた集団が手仕舞いに動いている」(中堅証券マーケットアナリスト)とする。今なお楽観が支配する相場だが、戻りも7合目から8合目あたりに来た感触がある。

 個別ではバイオ関連株に動意が相次いでいる。新興系のバイオ株は先行投資型ゆえ足もとの業績は不問とされるケースも多いが、資金調達の必要性からワラント発行などの可能性が常にあり、投資家の側から見れば株式需給面でネガティブな思惑を内在させている。その不利感が近年は特に意識されるようになり、実際に業績を急変貌させたような銘柄が最近は鳴りを潜めていたこともあって、夢を買うバイオ株の元来の魅力がかすんでいた。

 これまで会社側の出すリリースに個別に反応はしても単発的で、連想買いで横に波及することはなく、開示された材料で買われた当該株も、翌日にはもう忘れられたかのような値動きとなるようなケースが少なくなかった。しかし、直近ではそうした状況から明らかに脱却した動きを見せる銘柄が続出、いわゆる上げ潮に乗った状態となっている。

 この潮流の変化を象徴するのがセルシード<7776>の急騰劇。昨年12月下旬に同年末の治験届提出に向けて準備を進めてきた同種軟骨細胞シートについて、共同開発の提携候補先との交渉を行っている関係で、治験届の提出が今年(2023年)春まで遅れる見通しになったと発表。文脈から判断すればネガティブだが、それまで株価は地を這うような状態にあったことで、これが悪材料ではなく刺激材料として機能し株価水準を切り上げた。今年に入って、東海大学医学部の研究グループが変形性膝関節症の臨床研究において、「同種軟骨細胞シート」移植の安全性・有効性を確認したと発表し、これで一気に上げ足を加速させ、その後に昨年9月発行のワラントの権利行使完了を発表したことで、希薄化懸念の後退から更に一段高に買われるという展開となった。きょうは一時ストップ高の441円まで駆け上がり、株価は昨年12月の動意前の水準と比較しておよそ3.5倍に化けた。

 このほか今月18日に突発高で値幅制限いっぱいに買われたメドレックス<4586>もその後は仕手化様相を呈し、大商いで株価を切り上げている。もともと株価100円未満の超低位株だったが、きょうの高値は159円と動意前の水準から74%高となった。こちらはデ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>と共同開発している帯状疱疹後の神経疼痛治療薬について、追加試験で良好な結果を得たと発表し、これが材料視されたもの。協業相手のDWTIの方も人気化している。また、きょう新たに大量の買い注文を集めたのがDNAチップ研究所<2397>だ。こちらはヘビー級の材料で、三井化学<4183>との資本・業務提携を発表している。第三者割当増資で三井化学はDNAチップの8%超の大株主に浮上する。株価はストップ高カイ気配のまま場中は商いが成立しなかった。

 当欄でも取り上げたオンコリスバイオファーマ<4588>は6連続陽線を形成、きょうは大陽線を示現し急勾配の5日移動平均線から上放れた。このほかブライトパス・バイオ<4594>も“過激”な上げ足を披露している。バイオ関連ではないが、ライフサイエンス分野にAIソリューションを横軸展開するFRONTEO<2158>なども動兆。またバイオ人気から派生しやすいテーマでは、明日からスタートの電子処方箋関連も注目。ソフトマックス<3671>が急伸。メディカル・データ・ビジョン<3902>の3ケタ台も魅力的に映る。

 あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の主な意見(1月17~18日開催分)、2022年12月の企業向けサービス価格指数、12月の首都圏マンション販売など。また、東証グロース市場にテクノロジーズ<5248>が新規上場する。海外では10~12月期韓国GDP速報値、南アフリカ中銀の政策金利発表、10~12月期米実質GDP速報値、12月の米耐久財受注、12月の米新築住宅販売件数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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