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【経済】【クラウドファンディング】独自“省エネAI”で社会課題を解決! 東工大発ベンチャーのSOINN、1月7日募集開始

 省エネ分野で社会的課題の解決を目指す大学発AIベンチャー、SOINN株式会社(東京都町田市)が、株式投資型クラウドファンディング(新株予約権型)による出資を募集します。申し込みは2023年1月7日10時開始を予定しています。

・ 新株予約権型
・ 目標募集額:1008万円、上限募集額:4032万円
・ VC出資実績あり
・ 新株予約権者優待あり:「SOINN」のAIを1年間、割引価格で利用できる
・ 類似上場企業:ENECHANGE、SDSホールディングス、協立電機、テックファームホールディングス、グリムス、テスホールディングス

あらゆるAI技術を適材適所で

 SOINNは東京工業大学発のAIベンチャーで、現在、省エネ分野に最も力を入れています。

 同社は、私たちが日々行っている膨大なエネルギー消費について、CO2など温室効果ガスの排出につながり、地球規模の気候変動や異常気象の要因となっていると指摘。異常気象の被害は甚大で、すでに地球規模で山火事や干ばつ、豪雨、巨大台風が頻発し、海面の水位が上昇していると警鐘を鳴らします。

 こうした社会的課題の解決に貢献しようと、同社は2018年ごろから、独自の省エネAI「SOINN(ソイン) E-1」の開発・導入を進めています。

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(出典:FUNDINNO)

 「SOINN E-1(以下、E-1)」は、同社が開発したショッピングモールや大規模地域冷暖房(一定地域内の多数の建物へ、熱製造プラントから導管を通し、冷水や蒸気を供給して、冷暖房・給湯などを行うシステム)で運用実績のある独自AIをモジュール化したもので、「E-1」機能を最大限活用した場合、平均8~10%程度のエネルギーコスト削減が見込めるといいます。

 「E-1」は2020年より、東京駅皇居側の丸の内ビル群や首都圏の大規模商業施設等で、施設の空調を管理するAIとして採用されているほか、同社での導入による効果検証やアップデートの実施を経て、2021年より、省エネAIとして一般販売も開始しています。

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(出典:FUNDINNO)

 また、2022年11月に開催された東京都「都政課題解決スタートアップピッチイベント UPGRADE with TOKYO」の電力消費を「減らす」分野で優勝したことで、東京都の関連施設の省エネ化に向けた取り組みにも参画。行政との取り組みや実績がメディアに取り上げられたことで、問い合わせが増加し、2023年にはさまざまな施設への導入を見込んでいます。

 同社によると、「E-1」は独自技術により、少ない教師データから効率的に学習して高い精度が得られるため、ノートPCなどの小さなハードウエアでも運用可能。大規模施設での導入実績を活用しながら、今後は駅や病院などの公共施設や中小規模の工場、スーパー、コンビニなどの省エネ化に向けて導入を進めつつ、家庭向けの省エネアプリも開発・提供したい考えです。

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(出典:FUNDINNO)

 同社は自社の特色として、社名でもある「SOINN」と呼ぶ独自のAI技術を根幹技術として保有している点を挙げています(特許取得済み)。「SOINN」は現在、AI業界で主流のディープラーニングよりも、非常に少ないデータと演算量で実用レベルの性能が得られるそうです。

 「SOINN」の学習メカニズムは、専門用語で「教師なし学習」と呼ばれる手法に分類され、1個の学習データからでも学習可能。また、学習データに合わせて、ネットワークの構造やサイズを自律的に成長させ、"賢く"なっていくといいます。

 「SOINN」はディープラーニングとは異なるAIとして、さまざまなメディアに取り上げられているほか、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)との5年間の研究開発プロジェクトにも採択されています。

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(出典:FUNDINNO)

 ただし、同社は「SOINN」しか使わないということではなく、「SOINN」を独自の強みとしつつ、あらゆるAI技術を適材適所で活用し、課題解決に最適なAIを構築・提供したい考えです。



省エネAI実現は「無駄の削減」から

 同社は、省エネAIの実現に有効なアプローチの第1として、「無駄の削減」を挙げています。

 同社によると、省エネを図りたい対象(ビルや工場など)が必要とするエネルギーは、季節、天候、曜日、時間帯などにより時々刻々変化します。一般に夏の日中は気温が上昇し、エアコンが稼働して電力消費が増えますが、オフィスビルでは週末の電力消費は下がります。逆に、商業ビルでは週末に人出が増え、エネルギーの消費も増えます。

 また、エネルギーの消費は商業ビルであれば、テナントの変化、イベントホールであれば、開催されるイベントの種類や内容、工場であれば、生産される製品の変化などによっても変動します。

 そこで、管理対象が日々消費するエネルギーをAIが学習して、「(1)需要予測」し、将来必要となるエネルギーを無駄なく供給するよう、関連機器を制御できれば、省エネにつながるといいます。

 また、関連機器が最大効率で稼働するよう、機器の運転の順列・組み合わせを決める「(2)運転計画」や、当日の天候の変化等に柔軟に対応させるための「(3)リアルタイム最適化」も有効だそうです。

 通常、ディープラーニングの学習には多くのデータが必要ですが、管理対象のデータが十分とは限らず、そもそも、テナントの変更などでエネルギー消費のパターンが大きく変わった直後はデータが存在しないといいます。

 そうした場合、ディープラーニングは十分に学習できず、成果が出ないか、データの変化に追随できないことも起こり得るそうです。

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(出典:FUNDINNO)

 また、ディープラーニングでは多くの場合、学習にGPU(Graphics Processing Unit)が用いられますが、GPUの長時間の演算には多大な電力が必要で、省エネを達成するための計算に、膨大なエネルギーを消費することは本末転倒だとしています。

少量のデータ、少ない演算で学習可能な「E-1」

 同社は「E-1」について、NEDOが実施する研究開発プログラムからの支援もあり、ディープラーニングではなく、省エネAIに必要な3つの機能、(1)需要予測(2)運転計画(3)リアルタイム最適化を併せ持った独自のAIだとしています。

 「E-1」は少量のデータから、少ない演算で学習・推論が可能で、大規模地域冷暖房システム向けでも市販のパソコンで運用でき、高額なGPUマシンやクラウド上での大量演算は必要ないといいます。

 季節やテナントの変化といったデータの変動も2週間程度で自動的に追随するため、ディープラーニングよりもさらに効率的なエネルギー削減が期待できるそうです。

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(出典:FUNDINNO)

 同社はAI技術「SOINN」を適材適所で活用する方針で、「SOINN」の特許は、日本のほか、米国、欧州、アジアなどの国々で取得しています。

 「SOINN」は「Self-Organizing Incremental Neural Network」の略で、ディープラーニングが脳の視覚系(見る機能)をモデル化しているのに対し、「SOINN」は脳の側頭葉(覚える機能)のモデル化となっており、何十年という人生の記憶が小さい脳の中にすべて収まっているのと同様、覚えておくべき重要な事柄のみ、コンパクトに学習できる点が特色だといいます。

 「E-1」導入時には、管理対象に設置されている機器や装置に合わせた初期設定や、管理対象のデータで学習が進むよう調整を行いますが、導入後は基本的に全自動で稼働するため、導入後は必ずしも、同社に関連データを開示する必要がなく、情報セキュリティー上のメリットも大きいそうです。

 「SOINN」の人工細胞は学習データに反応して増殖しつつ、脳の神経細胞のように自律的につながってネットワークを構成するため、ディープラーニングのように、人間がタスクや学習データに対して必要十分なネットワークのサイズや構造を想定し、あらかじめ用意する必要がないといいます。

 「これにより、必要なことだけ覚え、不要なことは忘れるという効率的な学習を実現しています」(同社)

 たとえば、初期学習時にはなかった新たなパターンのデータでも、「SOINN」はそのパターンに対応する細胞を増殖・生成することで、柔軟に学習できるそうです。

 「SOINN」は、あるタスクを学習済みのネットワークを、類似の別のタスクに転用することもできます。これは「転移学習(Transfer Learning)」と呼ばれる最新の技術で、同社は「SOINN」による転移学習の特許も、海外を含めて取得しています。

 「弊社は『SOINN』を『E-1』以外にも、異常検知やロボット制御など、さまざまなタスクに活用しており、今後も独自の基幹技術として改良を続けてまいります」(同社)

成長する「省エネルギー化」の国内市場規模

 政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」や日本経済新聞社の「脱炭素経営調査GX500」など、国全体の取り組みもあり、環境省は「省エネルギー化」の国内市場規模を2020年時点で 約14.3 兆円と推定しています(環境省「環境産業市場規模の推計結果の概要」)。

 省エネや「脱炭素」への強いニーズを受け、同社はまず、丸の内のビル群などで実績のある「E-1」を、東京都関連のイベントホールやオフィスビル等に導入して実績を増やす計画です。

 東京都は、導入後の経過が良好であれば、東京都以外への展開を後押しする枠組みがあり、それらを通じて、東京都の市区町村や大阪府などの他の地方自治体、国の施設などへの展開も図りたいとしています。

 現在、同社は「E-1」の他、「SOINN」を根幹技術にしたAIサービスを5種類ほど保有しています。既存の「SOINN」の技術に加え、既存の機械学習等の技術も組み合わせることにより、プラントやEMS(環境マネジメントシステム)などのシステムの最適化、ベテランの知見やスキルの継承による省人化など、さまざまなシーンでビジネスレベルの運用実績があるそうです。

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(出典:FUNDINNO)

 大規模プラント向けAIの開発実績としては、川崎重工業 <7012> [東証P]のごみ処理発電プラントの運転を支援するAIがあり、2021年4月より、AIのライセンス提供を開始しています。

 同社によると、「E-1」は導入先のインフラとなることで、安定したマネタイズが期待できるといいます。

 すでに導入済みの大規模施設は、エネルギーを削減できた量のコスト換算分の数割をライセンス料として受け取る収益モデルで、顧客は、コスト削減分の一部を支払うライセンス料となるため、安心して導入・利用できるとしています。

 一方、民間の多様な施設への導入は、価格を抑えたサブスクリプションプランでパッケージ化することで導入障壁を下げ、これまで、AI活用に縁のなかった中小企業などへも幅広く販売していきたい考えです。

 エネルギー消費の大きな施設では、大きな省エネ効果が見込めるため、商業施設や大型ビルへの導入を先行していますが、民間の多様な施設への導入も可能であり、一般販売も併行して実施していくといいます。

 なお、「E-1」の民間企業への拡販は、提携している技術商社やSIer(システム開発や運用などを請け負う企業)とも協力して進める計画です。別途、「SOINN」を活用した画像検査AI、異常検知AIのアプリ化も進めており、それらの自社販売や、商社・SIer経由の販売も推進したい考えです。

今後の成長に向けて

(1)「E-1」の海外展開も計画

 省エネを通じたCO2排出削減や気候変動対策のニーズは世界共通であることから、今後は「E-1」の海外展開も計画しています。特に「SOINN」の特許を取得済みの欧米やアジアの国々は、知財が保護されていることから、展開しやすいと考えています。

 すでに、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)への相談や、ハイテク技術の輸出規制のリサーチといった準備をしており、2024年ごろから、本格的な海外販売を開始する計画です。

 その他の「画像検査AI」「異常検知AI」は現在、主に工業製品の製造ラインの自動化・DX(デジタルトランスフォーメーション)向けに提供していますが、今後はディープラーニングが苦手とされる食品など他分野にも幅広く提供していく予定です。

(2)「SOINN」をロボットにも活用

 同社によると、「SOINN」は多様なセンサーを搭載したロボットの動作をCPUのみで数秒で学習できるなど、ロボットにも効果的に活用可能であることが分かっており、今後、人からロボットへのスキル伝承を通じて、生産現場のみならず、介護現場などでも活躍するロボットの実現も目指す計画です。

 現在、日常業務や生活で使うソフトウエアはほぼ欧米製ですが、同社は「SOINN」など、日本発の独自AIをCO2排出削減や気候変動対策、DXを通じた労働力不足対策など世界共通の課題解決に活用することで、「Made in Japan」のソフトウエア技術を世界に発信していきたい考えです。

(3)将来的なEXITはIPOを想定

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(出典:FUNDINNO)

(4)2029年に画像AIライセンスで累計340件以上の販売を計画

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(出典:FUNDINNO)

株主構成

 同社は、以下のVCから出資を受けています。

・西武しんきんキャピタル

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・ENECHANGE <4169> [東証G]
・SDSホールディングス <1711> [東証S]
・協立電機 <6874> [東証S]
・テックファームホールディングス <3625> [東証G]
・グリムス <3150> [東証P]
・テスホールディングス <5074> [東証P]

新株予約権者優待

【基準日】
毎年2月末日

【内容】
・1~45個
月額20万円(税込み)以下の「SOINN」のAIを1年間、3%オフで利用できる。

・46~899個
同じく、5%オフで利用できる。

・900個以上
同じく、10%オフで利用できる。

※すでに利用中の顧客で新株予約権者になった人については、申し込みの翌月から同様の割引を適用する。

【申し込み方法】
同社「お問合せフォーム」より、新株予約権者優待を利用する旨を連絡する。

【注意事項】
新株予約権者本人以外の利用はできない。また、当優待は1人1度限りとする。

発行者・募集情報

■募集新株予約権の発行者の商号及び住所、資本金等
SOINN株式会社(東京都町田市)
資本金:155,151,700円(2022年12月12日現在)
発行済株式総数:134,918株(同)
発行可能株式総数:50,000,000株
設立日:2014年7月8日
決算日:10月31日

■本新株予約権の発行者の代表者
代表取締役 長谷川修

■本新株予約権の数(以下の個数を上限とする)
4,032個

■本新株予約権の払込金額
1個あたり 10,000円

■投資金額のコース及び個数
90,000円コース(9個)
180,000円コース(18個)
270,000円コース(27個)
360,000円コース(36個)
450,000円コース(45個)
900,000円コース(90個)
1,800,000円コース(180個)
2,700,000円コース(270個)
3,600,000円コース(360個)
4,500,000円コース(450個)
9,000,000円コース(900個)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、450,000円コース(45個)までしか申し込みできない。なお、特定投資家口座からの申し込みの場合、9,000,000円コース(900個)を上限とする。

■申込期間
2023年1月7日~1月13日

■目標募集額
10,080,000円(上限募集額 40,320,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は31,500,000円とする。

■払込期日
2023年2月6日

■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額1,008万円を以下の目的に充てる予定
人件費 786万円
手数料 221万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額3,024万円(目標募集額1,008万円と上限募集額4,032万円との差額)を以下の目的に充てる予定
人件費 2,100万円
研究開発費 258万円
手数料 665万円

■連絡先
SOINN株式会社
電話番号:070-4011-8989
メールアドレス:soinn_cf@soinn.com

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

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