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【市況】明日の株式相場に向けて=三菱重に海外マネー怒涛のごとく

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(15日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比104円安の2万8051円と反落。FOMCの政策金利は予想通りの0.5%引き上げだったが、金融引き締め策は長期化を示唆するものとなった。ただ、その後のパウエルFRB議長の記者会見が思ったほどタカ派ではないとの見方も広がり、NYダウは一時400ドル安から小幅上昇に転じるなど乱高下をみせた。結局安く引けたが、気迷いムードが値動きに如実に反映された。

 東京市場では、米株安を嫌気したといっても押しは浅い。値上がり銘柄数が値下がりを上回るなど、投資マネーは個別株重視の様相を呈している。中身を見るとまず防衛関連株への投資資金の流入が際立っている。防衛費増額を増税で賄うという岸田首相のセンスのなさがクローズアップされ多方面で物議を醸しているが、これは米国と財務省に言わされている部分が大きい。米国の圧力で防衛費はまず増額ありき、そして法人税、所得税、たばこ税の増税で財源に充てるというのは財務省の意思を忠実に反映した。「人の話をよく聞くこと」が首相の特技というが、この特技は党利党略とは符合しても国益とは必ずしも一致しない。一つ確かなことは国民の意見をよく聞こうとはしていないということだ。

 しかし、株式市場にとって増税はもちろんネガティブワードだが、そこまでしてでも防衛費増額に本気で取り組むという動き自体は国策としてのテーマ性を帯びており、関連銘柄には強力な追い風となる。政府は今後5年間の防衛費を43兆円程度とする方針を明示しているが、当然ながら防衛省との関係が密接な企業ほど収益機会の拡大につながる。防衛省との年間取引額が3100億円超と一頭地を抜く存在である三菱重工業<7011>は、防衛関連では正真正銘の中核銘柄。きょうは一時236円高の5687円まで買われ、6月9日以来約半年ぶりに年初来高値を更新した。市場では「三菱重工には海外投資家の大口資金が流れ込んでいる。きょうの手口では個人投資家は売り越しだが、その売り玉を全部外国人がさらっていく感じになっている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。

 このほか、防衛省との取引額で2位に位置する川崎重工業<7012>も高い。更に防衛関連といえば、反射的に動く“常連銘柄”としてお馴染みの石川製作所<6208>、豊和工業<6203>、細谷火工<4274>、東京計器<7721>なども買い人気を集めていた。そして、同関連の穴株ではカーリットホールディングス<4275>もマークしておきたい。また、防衛力は今やネット空間も重視される時代となっている。サイバー防衛も日本は全力で強化しなければならない領域である。そのなか、情報セキュリティー分野で独自ノウハウを持つセグエグループ<3968>やTDCソフト<4687>はいずれも食指の動くチャートといえる。

 中小型材料株で派手な値動きを見せる銘柄も多い。年末は海外機関投資家がクリスマス休暇に入るなか値の軽い小型株が動きやすく、まさに個人投資家の腕の見せどころでもある。買いにくい銘柄ほど高くなるという相場の特性もあるが、この時期はそれが特に目立つ。スマートパチンコ・パチスロ関連ではゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>の上げ足が強烈で上場来高値圏を舞い上がる動きとなっている。更に、“ハイスペック過ぎる”グローバル・ニッチトップ商品の宝庫、ジェイテックコーポレーション<3446>もきょうはさすがに上ヒゲを形成したものの7連騰と気を吐いている。

 押し目狙いではワイエイシイホールディングス<6298>に着目。11月以降は信用買い残が漸次増勢で100万株を超え個人投資家の参戦活発化を物語るが、一方で外資系証券などを経由した貸株調達による空売り増加も顕著で、株式需給面で踏み上げ演出に向けた思惑が漂う。パワー半導体周辺やマグネシウム電池などテーマ買いの切り口は多彩な株だが、足もとの株高誘導材料となっているのは米バイオ企業のライナスバイオとの業務提携。「毛髪エクスポソーム解析およびバイオマーカー開発」における提携が主眼だが、同社のグループ会社であるワイエイシイダステックは毛髪を縦に切ることを可能とした高精度なバイオスライサーを開発しており、ここに白羽の矢が立った形だ。

 あすのスケジュールでは、3カ月物国庫短期証券の入札など。また、IPOが3社予定され、フーディソン<7114>、オープンワーク<5139>、Rebase<5138>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外では11月の英小売売上高のほか、12月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、12月の米製造業PMIなど。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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