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【特集】笹木和弘氏【逡巡する日経平均株価、掉尾の一振はあるか】(2) <相場観特集>

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

―FRBによる金融引き締めの手綱さばきに注目高まる―

 週明け12日の東京株式市場では日経平均株価が2万7000円台後半でもみ合う展開となったが、やや売りに押される地合いだった。前週末の米株安が投資家心理を冷やし上値を重くしている。FRBによる金融引き締め長期化への警戒感が拭えないが、年末年始の日米株式市場は果たして強調展開が期待できるのであろうか。株式マーケットの洞察力に定評のある市場関係者2人に年末年始相場の見通しを聞いた。

●「ボーイングなどグローバル景気敏感株に注目」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 年末・年始にかけて米株式市場は、いったん利益確定売りで調整に入る可能性があるとみている。この1年ほど「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は20を割ると株価は戻りのピークをつけ、35程度まで上昇すると株価は下げ止まり底を打ってきた。片道1~2ヵ月の期間でこのリズムを刻んできたが、VIX指数は12月初旬に20を割り込んだ。これまでのパターンが繰り返された場合、今後、同指数は上昇し株価は調整局面入りが予想される。

 13~14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。FOMCでの利上げは0.5%にとどまるとの見方が有力だ。ただ、FOMCの当日は株式市場が上昇するかもしれないが、徐々に利益確定売りが優勢となる展開も予想される。

 重要なのは、米連邦準備制度理事会(FRB)がハト派姿勢を示した場合、来年に向け景気後退に目が向かう可能性があることだ。タカ派姿勢はもちろん嫌気されるが、ハト派姿勢でも株式市場は下落する可能性がある。

 もっとも、年明けからは株式市場に新しい見方が出てくることも予想される。米国には景気後退懸念が浮上する一方、中南米や東南アジア、日本、そして中国などにはコロナ禍の一巡による経済再開に伴う経済回復期待が強まるだろう。また、来年は米国景気減速に伴うドル安も予想され、海外比率の高い米国企業には追い風が吹く展開も期待できる。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のNYダウの下値は3万500ドル、上値は3万4000ドル前後を見込んでいる。トレンドは下向きだろう。個別銘柄では、グローバル景気敏感株であるボーイング<BA>やナイキ<NKE>、ディフェンシブ株でユナイテッドヘルス・グループ<UNH>、ウォルマート<WMT>、それにハイテクのディフェンシブ株でもあるIBM<IBM>などに注目している。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。

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