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【経済】【クラウドファンディング】革新的な「導電性インク」を! 岡山大学発ベンチャーのC-INK、11月26日募集開始

 電子回路製造に欠かせない「導電性インク」の開発に取り組む岡山大学発のベンチャー、株式会社C-INK(岡山県総社市)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは11月26日10時開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:2011万1000円、上限募集額:9964万5000円
・ VC出資実績あり
・ 事業会社/CVC出資実績あり
・ エンジェル出資実績あり
・ みなし時価総額:12億1347万8500円
・ 類似上場企業:ディジタルメディアプロフェッショナル、オキサイド、オムニ・プラス・システム・リミテッド、ティアンドエス、QDレーザ、テックポイント・インク
※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

導電性インクの主流「銀ペースト」

 C-INKは、エレクトロニクスにおける電子回路の製造に不可欠な「導電性インク」の開発に取り組む岡山大学発のベンチャー企業です。印刷精度や耐久性に強みを持つ独自技術の導電性インクで、市場拡大が見込まれるエレクトロニクス産業の製造効率化と省資源化を目指しています。

 IoTや5Gの浸透に伴い、あらゆるモノの電子化が進行。同社によると、自動車やスマートフォン、超軽量のウェアラブル端末や折り畳めるディスプレイなど、電子機器の形態は産業用・家庭用を問わず、これまで以上に多様化・複雑化しています。

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(出典:イークラウド)

 これらの電子機器を支える主要部品の一つが電子回路基板で、同基板は電子部品同士の信号や電力の伝送などに必要な配線を配置した部品です。電子機器の血管・神経とも言うべき、なくてはならない存在だといいます。

 電子回路基板の形成に欠かせないのが「プリンテッドエレクトロニクス」と呼ばれる印刷技術で、金属など電気を通す物質を含んだ「導電性インク」を用い、基板上に電子回路を形成します。この導電性インクの中で、現在主流なのが、樹脂のペーストの中に銀の粒子を分散させた「銀ペースト」だといいます。

 しかし、同社によると、銀ペーストで使用される「スクリーン印刷」という印刷方法には、印刷用の版(スクリーン)の制作、インクの充填、版の洗浄など、手作業が多いという課題が存在。そのため、電子回路基板製造者や電子機器メーカーは、人件費の問題のほか、自動生産プロセスの構築が困難という問題を抱えているといいます。

 製造業では近年、製品を製造する国で素材や部品も調達する「地産地消」型サプライチェーンの構築が進行。同社によると、背景には、新型コロナウイルス感染症や各国貿易摩擦の拡大などに伴い、世界的なサプライチェーンの混乱が顕在化したことなどがあるといい、地域経済を支える工場の海外移転などが指摘されてきた日本でも、製造現場の国内回帰が加速すると予想されているそうです。

 慢性的な人手不足である日本の製造業の国内回帰を後押しするのが、省人化のカギを握る自動生産技術ですが、電子回路の製造現場では、銀ペーストという材料が理由でほとんど生産自動化が進まず、依然として手作業に頼らざるを得ない状況だといいます。電子機器の多様化により、一層の生産性向上が求められる状況で、電子回路基板製造者や電子機器メーカーでは、これまで以上に、生産プロセスの自動化ニーズが高まっているといいます。

 同社によると、自動生産のニーズが高まる中、注目されているのが「銀ナノインク」を活用したインクジェット印刷で、銀ナノインクとは、数十ナノメートルの銀のナノ粒子が、液中に分散している状態のインクを指します。

 銀ナノインクは銀ペーストに比べて、粘度が低く、安定的に回路を印刷することが可能で、また、回路の設計から印刷までをデジタル化・自動化できるため、製造現場の大幅な工数削減が可能だといいます。

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(出典:イークラウド)

 また、版の全面にインクを塗り付けるスクリーン印刷とは異なり、インクジェット印刷は、設計した部分のみにインクを出すことが可能。銀の国際価格が年々高騰する中、インクジェット印刷は銀の使用量も大幅にカットし、コストが低く、資源の消費が少ない電子回路を製造できるといいます。

 使い捨て心電図用の電極の生産を行う企業では、C-INK製品を使ったインクジェット印刷により、電子回路形成で年間5000万円かかっていた人件費を1000万円に削減できる見込みで、使用していた銀の材料費も50%削減できるそうです。

 銀ナノインクとインクジェット印刷は製造現場の生産性向上とコスト削減を実現できる技術で、同社は「私たちの身の回りの電子機器を素材から刷新することで、製造現場の持続可能性を高めるとともに、日本の製造業の再興や世界の地産地消型サプライチェーンの構築に挑戦します」としています。

「DryCure」の3つの特徴

 同社は、国内でも有数の銀ナノインクの製造実績を持っているといいます。銀ナノインクにもいくつかの種類があり、他社製品がトルエンなどの有機溶剤に粒子を分散させた「溶剤系」なのに対し、C-INK製品の「DryCure(ドライキュア)」は、水に溶かした「水系」のナノインクです。

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(出典:イークラウド)

 同社によると、金属のナノ粒子は本来、化学構造的に不安定で変質しやすい性質を持っており、安定させるには、ナノ粒子の周りに有機物などで保護層を形成する必要がありますが、粒子の表面を加工する独自技術で、この保護層を薄くすることに成功しているそうです。

 この技術にたどり着くまでに、同社は試験管を用いた研究レベルで1万回以上の試行錯誤を繰り返しており、この特殊な銀ナノ粒子を大量生産するのは極めて難しく、高い技術が必要だとしています。

 同社は、この合成技術に関して特許を取得しているほか、ナノ粒子合成に関するノウハウを秘匿することで、他のインクメーカーへの参入障壁を築いているとしています。

【特徴1】インクジェット印刷による安定的な細線印刷

 DryCureの最大の強みは、微細な回路を印刷できる点だといいます。銀ナノインクは一般的に、PET素材のフィルムなどに印刷すると、インクが広がったり、にじんだりしてしまうため、クオリティーの高い印刷が困難で、インクを意図した場所に定着させるには、印刷する基板に専用の下地材を塗るなど特別な前処理が必要だったそうです。

 一方で、DryCureは基板を温めながら印刷することで、微細な配線を形成することが可能で、これはC-INKの独自技術により、インクの液温を上げると金属ナノ粒子同士が瞬時に凝集し、インクの粘度を高める特性を持たせているためだといいます。

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(出典:イークラウド)

 また、他社製品で、DryCureのような十分な導電性を得るには、金属ナノ粒子の周りの保護層を高温で熱分解することが必要で、これは、保護層が電気を通しにくい性質を持つためだといいます。第三者機関(ダン計画研究所)の調査では、有機物の少ないDryCureは125度の加熱で十分な抵抗値が得られた一方で、他社製品は200度以上加熱しなければ、十分な抵抗値が得られなかったそうです。

 高温処理を必要とする場合、熱に弱いフレキシブル基板やPET素材への印刷が難しくなりますが、低温で処理できるDryCureなら、より幅広い素材に印刷することが可能だといいます。

 また、同機関の調査で、DryCureを使った印刷機では、安定的に精度の高い印刷ができることが確認されたといいます。断続的に30分間印刷したところ、他社製品は途中で、プリンターの吐出口(ノズル)が目詰まりしたり、インクの吐出が不安定になったりしましたが、DryCureは30分間、高い精度を保った印刷をすることができたとしています。

【特徴2】金属純度が高く、抵抗劣化が生じにくい

 DryCureには、現在主流の銀ペーストに比べ、抵抗劣化が少ないという特徴もあります。DryCureなどの銀ナノインクの場合、ナノ粒子同士が融着して金属結合し、アルミホイルのような純度の高い金属薄膜を形成することができるため、耐久性の高い電子回路を形成できます。また、室温85度・湿度95%の試験環境下でも、内部まで酸化が進むことはなく、抵抗率の経年劣化もほとんどなかったといいます(同社試験結果)。

 一方で、銀ペーストは銀ナノインクに比べて銀の粒子が大きく、時間が経つと銀が酸化し、電気が流れにくくなります。DryCureの抵抗率は従来の銀ペーストの10分の1以下にとどまり、銀の使用量も10分の1で済ませることができるといいます(同)。

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(出典:イークラウド)

【特徴3】環境負荷の少ない生産・製造が可能

 DryCureは、資源消費や環境負荷の少ないサステナブルな素材で、銀ペーストよりも電気を通しやすいため、銀の使用量は10分の1程度に抑えられます。また、インクジェットで印刷するため、必要な部分に必要な量のみインクを使用できます。

 さらに、銀ペーストによるスクリーン印刷は、版を洗う際に洗浄用シンナーが使われることがありましたが、インクジェット印刷のため、こうした資材も不要に。また、銀ナノインクの中でも、溶剤系インクはナノ粒子の製造時、毒性を有するトルエンなどの有機溶剤を多量に使い、印刷時にも、溶剤の揮発による作業環境の汚染が生じますが、DryCureの原料のほとんどは銀と水なので、こうした心配がありません。

 「DryCureは人にも環境にも優しい素材として、製造現場の持続可能性を高められる可能性があります」(同社)

ISO取得で国内外メーカーと直接取引

 C-INKは「導電性インク」のメーカーとして、電子回路基板製造者や電子機器メーカーに対して、導電性インクと、インクジェット印刷に必要な専用のプリンターを販売することで収益を上げるビジネスです。

 同社はISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)を取得しており、製造品質や環境を整備したことで、国内外のメーカーと直接取引を行うこともできるといいます。

 取り扱うインクについては、売上高に占める原材料費の比率が化学産業全体の値(70%程度)よりも極めて低い10%程度で、これは、独自の製造技術による参入障壁で価格競争が起きにくいことや、水系インクのため、溶剤系よりも製造コストを低減しやすいことなどが主な理由だそうです。

 また、インクを販売するには、それを印刷するためのプリンターの提供や印刷方法の提案も重要で、同社では初期評価と量産用プリンターの供給をスムーズに進めるため、主にセイコーエプソン、ナカンテクノ、マイクロクラフトの3社とタイアップ。それぞれの印刷機メーカーと、電子機器メーカーのニーズに合わせた印刷方法の提案と、専用印刷機の共同開発を行っているといいます。

 同社によると、NASDAQ上場の米航空機器メーカーの、航空機内に搭載するシステム制御用タッチパネルの外周配線に同社製品が採用される計画。既にマイクロクラフトと共同提案したインクジェットによる配線量産機をメーカー側に導入済みで、計画通りに進めば、2023年初頭から、実際の生産が開始されるそうです。

 航空機器の製造で同社製品の導入が実現したのは、多様な回路を簡単に自動生産することができるためで、信頼性の高い配線形成が可能など、同社製品の特徴も評価された形だといいます。

 また、別の顧客企業が東証プライム上場の電子機器メーカーに対して、同社製品を使った、ディスプレイ内部に組み込むプリント基板を製造・供給しています。スマートフォン用電子部品への活用に向けた共同開発の試みなども進んでいるそうです。

市場規模は2030年に6兆6300億円へ

 同社によると、あらゆる電子機器の加速度的な進化で、プリンテッドエレクトロニクス市場は今後も大きく成長することが見込まれており、パノラマデータインサイト社によると、2021年、世界の同市場の規模は1兆3800億円。2022年から2030年にかけての年平均成長率は19%で、2030年には6兆6300億円に達する見込みだといいます(※1ドル=140円換算)。

 また、プリンテッドエレクトロニクスの拡大を背景に、導電性インク市場の伸びも期待されており、導電性インクのうち、Report Ocean社の調査で、現在の世界の銀ペースト市場は1兆円超と推計されています。

 同社は「C-INKは、プリンテッドエレクトロニクスの劇的な生産効率化と省資源化に寄与する銀ナノインクで、現在主流である銀ペースト市場を代替していくことを目指します」としています。

調達資金は試作用の開発費に

 同社によると、銀ペーストなどの従来素材を銀ナノインクに代替しようとすると、電子回路基板製造者や電子機器メーカー側は新たな印刷機の導入や、印刷工程のすり合わせが必要で、これらの要因がボトルネックとなり、銀ナノインクはこれまで、本格的な量産に用いられてきませんでした。

 電子機器メーカー側の導入ハードルを下げるため、同社では、現在の印刷機メーカー3社との連携を進めると同時に、自社で試作用プリンターを開発中。プリンターは2023年販売予定で、厚みの異なる基板にも対応できるほか、販売価格は従来機(約1000万円)よりも大幅に安価な200万円になる予定といいます。

 今回の調達資金は主に、新型の試作用プリンターや試作用インクの開発費に充当。これらの試作機でインクジェット印刷の優位性に関する認知を高め、導入実績を積み上げたい考えです。2027年7月期からは、量産プリンターの販売を機にさらなる事業拡大を目指すといいます。

 銀ナノインクの製造体制の強化も行い、2026~2028年7月期にかけて生産設備の拡充を実施。2028年7月期には、新たな工場を建設する予定です。

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(出典:イークラウド)
(※上記は導電性金属インク、およびプリンターの売り上げ計画で、ナノ顔料・導電性カーボンインクの売り上げは含まない)


 同社によると、C-INKのインクは原価率が低いため、売り上げが伸長すれば収益が確保しやすくなり、2025年7月期に黒字転換、以降、黒字幅が拡大する事業計画です。さらに今後、更なる事業拡大に向けて、ナノ粒子の合成技術や生産管理のノウハウを生かし、ナノ顔料や導電性カーボンインクなど新たな機能性材料の開発を視野に入れています。

2023年
・試作用プリンターの販売

2026年
・生産設備の強化

2027年
・品質管理設備の強化
・量産用プリンターの販売

2028年
・新工場建設による増産体制の整備

202X年
・株式公開(IPO)

株主構成

 C-INKは、以下のベンチャーキャピタルなどから出資を受けています。

・MBC Shisaku1号投資事業有限責任組合
・JSR Active Innovation Fund合同会社
・TVC2号投資事業有限責任組合
・他事業会社、個人株主など

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> [東証G]
・オキサイド <6521> [東証G]
・オムニ・プラス・システム・リミテッド <7699> [東証G]
・ティアンドエス <4055> [東証G]
・QDレーザ <6613> [東証G]
・テックポイント・インク <6697> [東証G]

発行者・募集情報

■募集株式の発行者の商号及び住所、資本金等
株式会社C-INK
岡山県総社市赤浜550テクノパーク総社内
https://www.cink.jp/
代表取締役:金原正幸
資本金:10,000,000円
発行可能株式総数:50,000,000株
発行済株式総数:1,866,890株
調達前時価総額:1,213,478,500円
設立年月日:2012年8月29日
決算期:7月

■募集株式の数(上限)
普通株式 153,300株

■募集株式の払込金額
1株当たり 650円

■申込期間
2022年11月26日~12月9日
※上記申込期間のうち、募集期間は11月26日~12月8日。早期終了の場合、予定した申込期間の最終日よりも早く、申し込みの受付を終了することがある。
※上記申込期間のうち、12月9日は募集期間の最終日である12月8日中に上限募集額に達し、早期終了した場合に、その後24時間のキャンセル待ちに申し込める期間。その他の場合、遅くとも12月8日までに申込期間は終了する。

■払込期日
2022年12月23日

■目標募集額
20,111,000円

■上限募集額
99,645,000円

■投資金額のコース及び株数
91,000円コース(140株)
208,000円コース(320株)
312,000円コース(480株)
455,000円コース(700株)

■資金使途
・調達額20,111,000円(目標募集額)の資金使途
試作プリンター開発 12,150,000円
試作インク開発費 3,536,580円
手数料 4,424,420円

・調達額59,605,000円(目標募集額を39,494,000円超過)の資金使途
試作プリンター開発 30,270,175円
試作インク開発費 16,750,000円
手数料 12,584,825円

・調達額99,645,000円(上限募集額:目標募集額を79,534,000円超過)の資金使途
試作プリンター開発 60,000,000円
試作インク開発費 16,750,000円
マーケティング費 3,703,575円
手数料 19,191,425円

■連絡先
株式会社C-INK
0866-92-5111

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、イークラウドの下記ページをご覧ください。

特許技術の導電性ナノインクで電子回路の生産プロセス変革に挑む「C-INK」

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