【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「調整を暗示するチャート」
株式評論家 富田隆弥
◆来週のマーケットは、ジャクソンホール経済シンポジウムにおける8月26日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演がカギを握るだろう。本稿執筆段階ではその内容は不明だが、マーケットがどう評価するのかは、この記事が配信された頃には明らかになっているかもしれない。ただ、チャート的には株式市場が上昇に向かっていけるかは疑問だ。
◆NYダウは8月16日に3万4281ドルの高値を付けたが、翌日から下げに転じて24日時点で3万2828ドルまで下げている。週足チャートで16日高値は6月17日安値の2万9653ドルから数えて基本数値の9週目にあたり、年初1月5日高値の3万6952ドルから引く上値抵抗線に差し掛かる。また、年初から6月安値までの下げ幅(7299ドル)に対して61.8%戻したところでもあり、そして週足の罫線は「宵の明星」を描く。
◆NYダウは24日まで調整して、3万2000ドル台にある25日移動平均線や26週移動平均線に差し掛かった。下値の節目に達したことで、一旦は反発する可能性はある。だが、上記の週足チャートを踏まえると、16日の3万4281ドルは当面の高値として強く意識され、目先反発した場合は「どこまで戻せるか」が焦点になる。逆に下落するなら、24日の安値「3万2828ドル」割れが要注意となる。
◆日経平均株価は17日高値の2万9222円から調整に転じ、24日に2万8282円の安値を付けた。この安値は25日線(25日時点2万8213円)に迫り、ネックライン(3月と6月の高値2万8300円台)に差し掛かったことで目先反発してもおかしくない。しかし、17日の高値は日足で短期過熱信号を多く灯したほか、週足チャートで納得できる水準(前回の本コラム参照)に到達したことで調整未了という見方もできる。
◆米国では長短金利(10年債と2年債)の逆転が2カ月近く続くほか、為替市場でユーロ・ドルが1ドル割れ(25日時点0.995ドル)、原油価格(WTI)の100ドル割れなど注意すべき動きが見られる。株式市場としては慎重さが求められる局面で、そして日本株は米国株次第でもある。日経平均株価が17日の高値を抜くなど好転の兆しを見せるまでは様子見も必要と考える。
(8月25日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース