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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─海外投資家が日本株に注目する理由!

経済評論家 杉村富生

「海外投資家が日本株に注目する理由!」

●政治の安定、株主還元が魅力に!

 日本市場は海外投資家主導のマーケットである。実に、委託売買代金シェアの6~7割を海外投資家が占めている。このため、システム売買、先物などの動向に影響を受けやすい。いわゆる、“空中戦”だ。そして、値動きは一方通行になる。特に、ハイフリークエンシー・トレーディング(高頻度・超高速取引)にはついていけない投資家が多いと思う。

 その海外投資家が7月に入って、買い越しに転じている。7月第1週(7月4日-8日)の買い越し額は1兆1890億円(現物株と先物の合計)だった。かなりのハイペースである。当たり前の話だが、彼らが買えば上がる。なにしろ、最大の投資主体なのだ。海外投資家の買いは継続する傾向がみられる。今後が楽しみじゃないか。

 彼らが日本株に注目するのは、NY市場の底打ち観測に加え、顕著な出遅れ感、好業績(中国景気の回復)、政治の安定、株主還元姿勢の積極化などにあろう。海外投資家は日本、および日本企業に対し、大きな誤解をしていた。それがここにきて解消されつつある。たとえば、株主還元だ。日本企業は「消極的」とのイメージを持っている。

 しかし、これは違う。配当+自社株買いは2021年度が23.4兆円(うち配当が16.4兆円)、22年度が26兆円(同17.5兆円)、23年度が27.4兆円(同18.4兆円)と増えている。3年連続の過去最高更新だ。企業のコーポレートガバナンスは確立され、スチュワードシップコードの取り組みは強化されている。

●ANYCOLOR、BeeXなどを!

 それに、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)では相変わらず割安だ。ちなみに、日経平均株価のPERは13.2倍、PBRは1.19倍だが、世界平均(MSCI AC WORLDベース)ではPERが14.5倍、PBRが2.58倍に評価されている。日本企業の低PBRはROE(自己資本利益率)の低さにあった。それが近年、改善が著しい。ROEが9~10%になるのは時間の問題だろう。

 物色面ではどうか。やはり、値幅が取れるのは小物だ。アメリカ市場では中・小型株が元気だし、日本ではマザーズ指数が堅調だ。大きく売り込まれた銘柄が戻りに転じている。具体的にはANYCOLOR <5032> [東証G]、BeeX <4270> [東証G]などがそうだ。ともに、切り返しの動きを強めている。大きな上値が期待できる。

 ANYCOLORの高値は6月16日の9200円だ。その後は利食い売りに押され、5500円台まで下落していたが、このところ猛烈な反発をみせている。一方、BeeXの高値は3月1日の5880円だ。それが何と、6月20日には1411円の安値をつけた。需給悪は恐ろしい。だが、これまた戻り歩調に転じている。

 株主面は面白い。ANYCOLORにはソニー・ミュージックエンタテインメント、フリークアウト・ホールディングス <6094> [東証G]の創業者でエンジェル投資家としても著名な本田謙氏が登場、BeeXには大株主にテラスカイ <3915> [東証P]、サーバーワークス <4434> [東証P]、NTTデータ <9613> [東証P]、TIS <3626> [東証P]などが名を連ねている。“毛並み”は良好である。

 このほか、PERが8.0倍、PBRが0.72倍、配当利回り3.64%のグローバルキッズCOMPANY <6189> [東証P]、同様にPERが6.5倍、PBRが0.87倍、配当利回り3.74%のドリームベッド <7791> [東証S]は狙える。グローバルキッズCOMPANYはさくらさくプラス <7097> [東証G]と経営統合することで基本合意している。

2022年7月22日 記

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