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【特集】“脱炭素”と“食料不足”で再脚光、「代替肉」関連株に吹く追い風 <株探トップ特集>

カーボンニュートラルやSDGsの取り組みが広がるなか、代替肉への関心が再び高まっている。小売店での取り扱いが増え一段と身近になってきたことで、市場は更に拡大しそうだ。

―環境負荷を減らす食からのアプローチ、食肉需要の拡大もプラス要因に―

 カーボンニュートラルやSDGs(国連の持続可能な開発目標)の取り組みが広がるなか、 代替肉(培養肉や植物肉)が改めて注目されている。背景には牛のゲップや排せつ物などから多くの温室効果ガスが排出されている問題に加え、世界的な人口増加及びライフスタイルの変化によって食肉消費量の増加が見込まれていることが挙げられる。ロシアのウクライナ侵攻に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱で食料不足が懸念されていることもあり、関連銘柄に目を配っておきたい。

●価格差が縮小

 食肉は経済成長によって国民の所得水準が向上するにつれて1人当たりの消費量が伸びるとされ、世界的な人口増加や新興国の経済成長に伴って需要が急速に拡大する見通しだ。また、畜肉の生産は穀物の生産に比べて多くの水や飼料が必要であるほか、メタンをはじめとする温室効果ガスを排出することから、地球環境に与える大きな負荷が問題となっている。

 加えて、食料価格が上昇していることも代替肉に関心が向かう理由のひとつだ。国連食糧農業機関(FAO)が6月3日に発表した5月の食料価格指数は、157.4ポイントと4月から0.6%低下したが、前年同月比では22.8%高と依然として高水準にある。乳製品や砂糖、植物油の価格指数が低下した半面、穀物価格指数はウクライナの生産減少の見通しやインドの小麦輸出規制などから上昇。また、食肉価格指数もサプライチェーンの混乱などを受けて上昇し、過去最高を更新した。

 世界的な飼料価格やエネルギー価格の高騰、円安などから国内の食肉価格も上昇基調にあり、農畜産業振興機構(東京都港区)によると4月の輸入牛肉の全国小売価格は、豪州産かたロースが前年同月に比べて7%以上高い100グラム288円となっている。

 一方、代替肉の製造・販売を手掛けるネクストミーツ(東京都新宿区)は、4月から主力製品の「NEXTカルビ1.1」や「NEXTハラミ1.1」などの価格を約30%値下げした。これを受けて小売店での取り扱いが拡大し、関東圏を中心にセブン&アイ・ホールディングス <3382> [東証P]傘下のイトーヨーカドーやイオン <8267> [東証P]、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> [東証S]傘下のマルエツなどで販売されている。代替肉が一段と身近になったことで、今後の更なる需要拡大が期待できそうだ。

●培養肉関連

 代替肉の一種である培養肉は、畜肉から採取した細胞を体外で組織培養することによって得られる肉のこと。家畜の飼育に比べて環境に与える負荷が低いほか、畜産のように広い土地を必要とせず、厳密な衛生管理が可能といったメリットがある。

 日清食品ホールディングス <2897> [東証P]は、2017年度から東京大学と「培養ステーキ肉」の実用化に向けた研究を共同で進めており、3月には「食べられる培養肉」の作製に日本で初めて成功したことを明らかにした。今後は立体筋組織の更なるサイズアップや、おいしさと低コストを両立させる大量生産技術の確立を目指すとしている。

 シグマクシス・ホールディングス <6088> [東証P]と島津製作所 <7701> [東証P]、大阪大学は培養肉の自動生産装置の開発に向けた共同研究契約を締結している。阪大の3Dバイオプリント技術と、島津の自動前処理装置を含む分析計測機器、シグマクシスが強みを持つフードテック領域におけるコンサルティングやエコシステム構築を組み合わせ、培養肉をつくる技術の確立を目指す構えだ。

 味の素 <2802> [東証P]は3月、自社のコーポレートベンチャーキャピタルを通じて培養肉の開発・製造を手掛けるイスラエルのスーパーミート社に出資したと発表。スーパーミート社が持つ開発技術や知見と、自社のバイオ医療や発酵に関する技術、呈味(ていみ)や食感などのおいしさ設計技術を組み合わせ、培養肉に関連する新技術・素材の開発を進めていくという。

 日揮ホールディングス <1963> [東証P]は昨年11月に、動物細胞を培養して食肉を生産する培養肉の商業生産を目指して技術開発を行う「オルガノイドファーム」を設立した。グループが医薬品分野を通じて培ってきた細胞培養関連技術や大規模生産を可能にする工程の自動化・効率化などのエンジニアリング技術力を駆使し、30年に商業プラントの運転開始を予定している。

●植物肉関連

 植物肉とは、大豆やこんにゃくなどの植物由来の原材料でつくる代替肉の一種で、プラントベースドミートなどとも呼ばれる。畜産に比べて温室効果ガスの排出が大幅に少ないというメリットがあり、ヘルシー志向からニーズが高まっている。

 日本ハム <2282> [東証P]や伊藤ハム米久ホールディングス <2296> [東証P]傘下の伊藤ハムが大豆ミートを販売しているほか、丸大食品 <2288> [東証P]はこのほど大豆ミート商品として新たに「PlantRECIPE」シリーズを立ち上げた。

 また、薬王堂ホールディングス <7679> [東証P]傘下でドラッグストアを展開する薬王堂は3月、ネクストミーツと資本・業務提携した。両社は21年11月から協業を開始し、専用什器を設置しての販売など他の小売販売に先駆けてプラントベース食品を広めている。

 これ以外では、今春から植物肉市場に参入した亀田製菓 <2220> [東証P]、大豆ミートを含む粒状大豆たん白などさまざまな食品素材を提供している不二製油グループ本社 <2607> [東証P]、双日 <2768> [東証P]及びユニテックフーズ(東京都中央区)と植物肉事業に関する戦略的業務提携契約を結んでいるロイヤルホールディングス <8179> [東証P]に注目。

 植物肉の開発・生産・販売を手掛けるDAIZ(熊本市中央区)に出資している、きちりホールディングス <3082> [東証S]、物語コーポレーション <3097> [東証P]、三菱ケミカルホールディングス <4188> [東証P]、長谷川香料 <4958> [東証P]、東洋製罐グループホールディングス <5901> [東証P]、兼松 <8020> [東証P]、丸井グループ <8252> [東証P]なども見逃せない。

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