【特集】期限は5月末まで! 「県民割」のお得と注意点を再確認
FP&社会福祉士事務所OfficeShimizu代表
1968年東京生まれ。中央大学在学中より生損保代理店業務に携わるかたわらファイナンシャルプランナー(FP)業務を開始。2001年に独立後、翌年に生活設計塾クルー取締役に就任。2019年よりOfficeShimizu代表。家計の危機管理の観点から、社会保障や福祉、民間資源を踏まえた生活設計アドバイスに取り組む。一般生活者向けの相談業務のほか執筆、企業・自治体・生活協同組合等での講演活動なども幅広く展開、テレビ出演も多数。 財務省の地震保険制度に関する委員を歴任、現在「地震保険制度等研究会」委員。日本災害復興学会会員。
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新型コロナ禍が始まってから初めての"制限なき大型連休"で、観光地によっては人手がコロナ禍前の水準に戻りました。
当初、連休明けをメドに再開を見込んでいた国による旅行支援策「GoToトラベル」は停止中で、再開の見通しは未だたっていません。ただし近場なら、45道府県が旅行支援策である「県民割」をゴールデンウィーク(GW)明けに再開しています。1人1泊あたり最大7000円の割引が受けられ、おトクに旅ができます。
当初4月末までとしていた実施期間は5月末まで延長されており、5月中に旅行できるならチャンスです。以下、県民割の利用要件などを確認します。
県民の旅行に1人1泊あたり最大7000円を補助
県民割(地域観光事業支援)は、感染症拡大の影響で落ち込む旅行需要を喚起するため、各都道府県が実施する県民向けの観光需要創出策です。
5段階で示す新型コロナの警戒状況で、3段階目の「レベル2(警戒強化)」相当以下に該当する都道府県で実施可能となり、旅行者は対象となる旅行の代金割引やクーポン配布を受けられます。
「GoToトラベル」の実施主体は国で、旅行者への補助内容も全国一律でした。一方、県民割は観光庁から補助金の交付を受けて各都道府県が企画、実施します。そのため実施内容や割引等は都道府県により異なります。
ただ実際に実施されている補助額はおおむね下表の政府による支援額に準ずる1人1泊あたり最大5000円、飲食店等で利用できるクーポンは1人1泊2000円で、1人1泊あたり最大7000円とするところがほとんどです。
■「県民割支援(地域観光事業支援)」の観光庁による支援内容
対象となる旅行 | ・県民による県内旅行 ・隣接都道府県からの旅行者による県内旅行 ・地域ブロック内の都道府県からの旅行者による県内旅行 |
参加要件 | ワクチン接種歴(3回)または陰性の検査結果* |
補助額 | ・1人1泊あたり最大7000円を補助 ・1人1泊あたり最大5000円。 日帰り旅行は1人5000円・商品代金の50%上限 ・飲食店等で利用できるクーポン等1人1泊あたり2000円 日帰り旅行は1人2000円上限 |
注:2022年5月9日以降。旅行者が受けられる割引内容は都道府県により異なる
*感染拡大局面になく、関連リスクが低いと知事が判断する都道府県における同一県内旅行は、ワクチン接種歴(2回)または陰性の検査結果も可能。
**12歳未満は監護者同伴を条件に検査不要
東京、大阪の2都府以外の45道府県で実施
県民割は住んでいる県内旅行のみを対象としていましたが、今年5月現在は隣接する都道府県や、住んでいる地域ブロックに旅行する場合も利用できるようになっています。
地域ブロックは以下の6つに分かれます。神奈川県に在住の人は関東、兵庫県の人は近畿、福岡県の人は九州・沖縄に旅行する場合に適用されます。
ただし同じ地域ブロック内の旅行でも、県民割を利用できない場合があります。たとえば石川県は、同じ地域ブロック内の新潟県や富山県など8県から石川県に旅行する人向けに県民割を実施しています。しかし、同ブロック内でも三重県からの旅行者には県民割旅行を実施していないため、三重県の人は石川県への県民割旅行はできません。
また5月16日時点で、東京と大阪は県民割に参加していません。そのため、他県の人がこの2府県へ旅行する場合も、この2府県に住む人が他県へ旅行する場合も、県民割を利用できません。
■6つの地域ブロック割
北海道・東北 | 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 |
関東 | 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 |
北陸信越・中部 | 新潟県 富山県 石川県 福井県 長野県 静岡県 愛知県 岐阜県 三重県 |
近畿 | 大阪府 京都府 兵庫県 奈良県 滋賀県 和歌山県 |
中国・四国 | 島根県 鳥取県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 高知県 愛媛県 |
九州・沖縄 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 |
先に触れたように、県民割は実施する県で内容が異なります。主な県のプランを確認してみましょう(5月16日時点)。
北海道、滋賀、石川県の割引は
北海道が実施する「どうみん割」は、北海道・東北ブロック在住者が対象です。1人1泊1万円以上の対象旅行等の予約について、最大5000円の割引、およびクーポンは1人1日2000円で、最大5泊まで割引が適用されます。
滋賀県が実施する「今こそ滋賀を旅しよう !第6弾」は、滋賀県のほか、福井県、岐阜県、和歌山県在住者が対象です。近畿ブロックでも対象にならない県がある一方、他の地域ブロックの指定県在住者が対象になっています。
1人1泊1万円以上の予約で6000円、4000円以上1万円未満で3000円が補助され、クーポンは1人1日2000円です。ただし事前に1000円の宿泊補助券を購入する必要があるので、実質的な割引額はやはり1人1泊あたり最大7000円。泊数制限はなく、何泊でも割引を受けられます。
石川県が実施する「石川県旅行応援事業 県民旅行割」では、石川県民の旅行に手厚い割引があります。1人1泊2万円以上で1万円の割引とクーポンが1人1日2000円で、最大3連泊まで割引を受けられます。旅行の回数に制限はなく、何度でも割引が受けられます。
三重県を除く北陸信越・中部ブロック在住者については、1人1泊1万円以上の対象旅行等の予約について、最大額5000円の割引および1人1日2000円のクーポンが配布され、こちらは1人1泊あたり最大7000円のメリット。
これら支援事業は、利用額が予算に達すると終了する"早い者勝ち"となります。詳細や申し込みは、旅行会社や旅行サイト、対象となる宿泊施設で行います。「地域観光事業支援」で検索するとたくさんの旅行会社等がヒットするので、まずは確認してみてください。
なお、東京都は、GoToトラベルキャンペーン再開に合わせて都民割を再開するとしています。まだ状況が詳細はわかりませんが、GoToトラベルが開始すると、県民割と並行して割引が利用できる可能性もあります。
レベル3で県民割支援は停止
感染が拡大する局面になると、国の都道府県への県民割支援は停止されます。具体的には、
・感染状況がレベル3相当と知事が判断した都道府県
・緊急事態宣言の対象となった都道府県
・まん延防止等重点措置の対象になった都道府県
――で停止されます。加えて、
レベル2相当であっても、感染拡大局面にあると知事が判断した場合は県民割事業の停止を検討することが5月以降に新たに加えられました。
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