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【市況】米国株式市場見通し:決算シーズン開始、金融決算に注目


来週から、金融を皮切りに第1四半期決算シーズンが開始するため、結果に注目だ。ロシアのウクライナ侵攻やFRBの急速な利上げ軌道がどのように業績に影響したかに特に焦点を当てたい。急速な金融引き締めと同時に景気減速への警戒感も強まりつつあるなか、堅調な決算内容が相場を支えることに期待。経済に不透明感が広がるなか、ディフェンシブ銘柄に投資資金が向かい、さらに、春にかけての経済活動の一段の正常化を見越して旅行、航空関連の上昇にも期待。ただ、来週は15日が休場となるため、取引日が限られ持ち高調整が先行する場面もありそうだ。

また、来週は3月消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)といった重要インフレ指標の発表が予定されている。5月FOMC直前に発表される最新のインフレの情報になるため特に注目だ。新型コロナパンデミックに加えウクライナ戦争勃発で、サプライチェーン混乱が一段と悪化し、物価上昇に繋がった。FRBがインフレ指標として注視している変動の激しい食料や燃料を除いたコアCPIの3月分は前年比6.6%増と、伸びが2月からさらに拡大し、1982以降40年ぶりの最高を記録する見込み。FRBのインフレ目標である2%の3倍にも達し、インフレのさらなる高進が確認されれば、5月FOMCでの0.5ptの利上げを正当化することになろう。

FRBは3月開催分のFOMC議事要旨の中で、年内数回の0.5ptの利上げの可能性を示唆したほか、保有資産の月額上限950億ドル規模の縮小が適切となるとの見解で合意したことが明らかになった。2017-19年の2倍のスピードで縮小を進めることになる。ただ、パンデミック時に資産が4兆ドル膨らんだことを考えると、1兆ドルの縮小では、まだ、遅いペースとの見方もある。2022年のFOMC投票権を有するセントルイス連銀のブラード総裁はFRBの金融政策が立ち遅れていると認め、年内に政策金利を3%-3.25%に引き上げるべきだと主張している。タカ派は、年内の利上げで3%、バランスシート縮小による効果が0.5-0.75%の利上げに相当するため、合計3.5-3.75%程度の金融引き締めの必要性を主張。今後は、経済がこのペースの引き締めに十分に耐えられる程、強い基調を維持できるかどうかに注目だ。

なお、15日はグッドフライデーの祭日で株、債券市場は休場となる。

経済指標では、3月消費者物価指数(CPI)(12日)、3月生産者物価指数(PPI)(13日)、3月小売売上高、3月輸入物価指数、週次失業保険申請件数、2月企業在庫、4月ミシガン大学消費者信頼感指数(14日)、4月二ューヨーク連銀製造業景気指数、3月鉱工業生産・設備稼働率(15日)、などが予定されている。

主要企業決算では、金融でJPモルガン(13日)、ゴールドマンサックス、モルガン・スタンレー、シティグループ、ウェルズファーゴ(14日)、そのほか、中古乗用車と軽トラックを販売するカーマックス(12日)、航空会社ではデルタ(13日)、小売りチェーンのベッド・バス・アンド・ビヨンド(13日)、管理医療会社のユナイテッドヘルス(14日)、などが予定されている。

JPモルガンの昨年の決算は軒並み市場予想を上回る内容となっており、第1四半期の結果にも期待したい。また、人件費などコストの上昇がどのように影響したかに注目だ。航空会社は経済活動再開が一段と進み、業績回復が継続しているだろう。また、航空機メーカーのボーイングが第1四半期の出荷数を発表する予定で注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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