【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】インデックスの影響を受けづらいグロース市場の中小型株物色に
RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一
「インデックスの影響を受けづらいグロース市場の中小型株物色に」
●米金融引き締め加速が警戒され、日経平均は2万7000円割れ
新年度入り後の日経平均株価は、連日で陰線を形成する格好で調整を継続し、心理的な節目である2万7000円を割り込んだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表し、0.5%の利上げを複数回行うほか、5月から資産圧縮を開始する見通しが示された。金融引き締め加速による景気への影響が警戒されるなか、米国市場は調整を強めており、東京市場も不安定な相場展開を見せている。
ただし、VIX指数は直近のボトム水準での推移を続けている。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchによると、5月のFOMCにおける0.5%利上げを8割超の確率で織り込んでいるほか、6月についても8割を超えてきている。市場では利上げの織り込みがかなり進んできており、不安定な相場は次第に落ち着きを見せてくる可能性はありそうだ。
ただし、今後、決算シーズン入りするため、機関投資家は積極的には動きづらくなるだろう。新年度相場入り後も東証プライムの出来高は低水準であり、資金流入も限られている。また、東証は市場再編に伴うTOPIXの浮動株比率の見直しを発表した。これに伴いウェート低下が見込まれる銘柄への売りが目立つなど、薄商いの中ではインデックスに絡んだ商いの影響を受けやすい。そのため、目先的にはインデックスの影響を受けづらいグロース市場の中小型株のほか、外部環境の影響が比較的小さいゲームやIT系の銘柄に短期的な値幅取り狙いの資金が向かいやすいだろう。
●来週の活躍期待「注目5銘柄」
◆サーバーワークス <4434> [東証P]
米アマゾン・ドット・コム<AMZN>のAWS(Amazon Web Services)に特化したクラウドインテグレーション事業とサービスの提供を行っており、AWSプレミアコンサルティングパートナーとして認定されている。新型コロナウイルス感染症の影響の後退に伴って受注環境が改善するなか、企業のAWS利用の増加に加えて、為替の円安基調が売上拡大を後押しする。株価は3月半ば以降、順調にリバウンドを続け、上値抵抗線として意識される75日移動平均線を突破。直近で調整を見せているものの、押し目狙いのスタンスで注目。
◆ワンキャリア <4377> [東証G]
就活サイト「ONE CAREER」のほか、採用DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する新卒採用サービス、転職サイトを手掛け、これまで可視化されていなかった「キャリアデータ」を活用することで、就職・採用の意思決定をサポートする。取引先の新規獲得が進み、法人取引累計社数は順調に拡大。2021年12月期第4四半期に1000社を超えている。DX市場の規模は今後さらに拡大する見通しであり、成長期待は大きいだろう。株価はこれまでの2000円~2500円のレンジを上放れてリバウンド基調を強めており、21年12月に付けた上場来高値3565円突破からの一段高を想定。
◆ウェルスナビ <7342> [東証G]
全自動の資産運用サービス「WealthNavi」を提供。目標金額とリスク許容度の設定、最適なポートフォリオの自動構築、分配金の自動再投資、自動リバランスなどを行えるほか、マネーフォワードMEやMoneytree、Zaimといった他社家計簿アプリとの連携も可能。16年1月19日を100としたリスク許容度別運用パフォーマンスは、22年2月末時点で130~180で推移。株価は3月16日に付けた1341円を安値にリバウンド基調を強めており、直近で13週、26週線を突破。今後、3090円辺りに位置する52週線を捉えてくるようだと、昨年5月の高値を上値抵抗線とした4700円処が意識されてくる。
◆日本電解 <5759> [東証G]
プリント配線板用電解銅箔、半導体パッケージ用電解銅箔、 リチウムイオン電池用電解銅箔などを手掛ける。足元の業績は、自動車のEV化の動きが拡大し、車載用リチウムイオン電池分野の需要が堅調。株価は1月4日に付けた5890円を高値に調整に転じ、2月24日には2907円まで下落。ただし、足元はリバウンド基調を強めてきており、直近では13週線を突破し26週線を捉えてきた。26週線突破から1月高値を射程に入れたリバウンドの継続に期待。
◆カプコン <9697> [東証P]
NFT(非代替性トークン)関連の一角。NFT関連としてゲーム関連株が物色されており、同社も堅調な値動きを続けている。ただし、21年4月9日の上場来高値3800円(分割修正後)をピークとする調整トレンドをようやく脱してきた水準であり、52週線突破からの一段のリバウンドを想定。なお、自民党のデジタル社会推進本部は3月30日にNFT政策検討PTを開き、「Web3.0」をわが国の成長戦略の柱にすべく、提言(案)を取りまとめており、カプコンを含め関連銘柄への関心は今後も高まろう。
2022年4月8日 記
株探ニュース