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【市況】明日の株式相場に向けて=「隠れメタバース関連相場」

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比70円高の2万8110円と8日続伸。外部環境を見れば悪材料が山積しているにもかかわらず、日経平均は前日まで7営業日続伸で2900円近くも水準を切り上げるという破竹の戻り相場を演じてきた。しかし、前日の欧州株市場が全面安で米国株市場もNYダウが440ドルあまりの下落という形でバトンを渡されては、さすがに東京市場だけ上値を突き進むという展開にはなりにくい。

 ということで、必然的にきょうは朝方から売りが優勢、日経平均は一時400円を超える下げとなったが、これはここまでの上げ幅を考えれば大幅反落とはいえない下げだ。ところが、驚いたことに2万7000円台後半では押し目に敢然と買い向かう動きが観測され、後場に入ると下げ幅を急速に縮め取引終盤にプラス圏に浮上した。アジア株の動きは高安まちまちだったが、「米株価指数先物がしっかりした動きであったことで、これを拠りどころに出遅れた向きが押し目買いを入れた」(中堅証券ストラテジスト)という見方があった。

 では、買い手に回っているのは一体誰か。「国内の機関投資家は元来動きにくいタイミングだが、GPIFや大学ファンドの買いが断続的に入っているもようだ。この流れは新年度のリバランスの買いにつながっていく公算もある」(同)とする。また、大手証券出身の評論家筋によると「個人の現預金は1000兆円を突破している。思った以上に個人投資家の懐は深い。来期の企業業績など深く考えずに、インフレヘッジ目的で本能的に株を買っている投資家も少なくないと思う」という見解を述べている。

 当欄では、ウクライナ情勢が不透明ななか、コモディティ価格の上昇という川上から降りてきたインフレで消費需要が停滞し、企業業績も23年3月期は厳しいとの見方を示してきた。これが超金融緩和環境の終焉と相まって、株市式場の中長期トレンドは下向きであるという見方を本線としている理由だが、ひたすら下り坂が続くということではない。直近の大出直り相場で問答無用に踏まされた売り方の論理は、ウクライナ問題はどちらかというと副次的で、やはり来期の企業業績と金融政策の転換をベースとした仕掛けであったと思われる。

 しかし、日経平均は今のところ正体不明の浮揚力が働いている。単なる自律反発では片づけにくい。一つ光明を見出すとすれば、現在タカ派に急傾斜しているFRBをはじめ世界の中央銀行が、現時点で大方がイメージしているほどは金融引き締め政策を推進しないというシナリオが考えられる。インフレ高進と並行する形で株価が大きく下落してしまうクラッシュフレーションという最悪のケースに直面することを中央銀行は回避する義務がある。つまり、物価高が沈静化しなくても、金融引き締めに歯止めをかけることは十分に考えらえる。例えば、3月のFOMCでは年内に7回の利上げ見通しが示されたが、これが3~4回程度にとどまれば、7回で織り込んでいた株式市場にとってはポジティブ材料となる。

 「原料コストの上昇によるインフレは深刻だが、これは地政学リスクが絡んだ供給する側の問題によるもの。これを解決するのは金融政策ではない。供給サイドのボトルネック的な構造を解消することに腐心しなければならない」(準大手証券アナリスト)という指摘もある。23年3月期の企業業績の停滞は避けられないとしても、逆金融相場のシナリオは覆される可能性がある。ウクライナ問題はいうまでもなく世界にとって難事だが、ロシアへの経済制裁の反動が顕在化した場合、これが金融政策や財政政策を引き出すという、コロナ禍と同じ原理が働くという逆転シナリオも念頭に置いておくところかもしれない。

 東京市場は主力株を中心に幅広く循環物色が続いているようだが、そうした中でテーマ買いの動きも垣間見られるようになってきた。今は「隠れメタバース関連相場」のようにも見える。これは暗号資産NFT、ハード分野では量子コンピューターも含めたバーチャル相場だ。今週取り上げたタカショー<7590>はメタバガーデンへの展開でも注目される。また、直近人気化したフィールズ<2767>もメタバース分野への参入に意欲満々だ。Web3に踏み込むドリコム<3793>にも光が当たっている。このほかでは、今期業績悪を株価に織り込み、来期急回復が期待されるホットリンク<3680>はメタバースをフィールドとした販促支援ビジネスに舵を切る構えにある。

 あすのスケジュールでは、3月の都区部消費者物価指数(CPI)、2月の企業向けサービス価格指数、2月の外食売上高など。海外では2月の英小売売上高、3月の独Ifo景況感指数、3月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)、2月の米中古住宅販売仮契約など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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