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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─波乱相場での投資戦術(有効な作戦)とは?

経済評論家 杉村富生

「波乱相場での投資戦術(有効な作戦)とは?」

●ウクライナ、原油に振り回されるマーケット!

 相変わらず、マーケットはウクライナ情勢、および原油など国際商品市況の動向に振り回されている。これらの外部要因に一喜一憂し、株価は乱高下を繰り返す展開だ。ロシアのウクライナ侵攻は「失敗」との見方が強い。それに、病院などの民間施設、原発攻撃は明らかにジュネーブ条約に違反している。国際世論の反発は強まるばかりである。

 しかし、プーチン大統領は意に介さないどころか、ますます強硬姿勢を鮮明にしている。本来であれば国民が戦争を止める。だが、ロシアは「民主主義指数が3.24と、世界167カ国のうち、124番目の非民主主義国家だ」(英エコノミスト誌)。まあ、"独裁"に近い。短期的に、解決策を見つけるのは難しいのではないか。

 西側陣営はウクライナを全面的に支援するとともに、ロシアに対する経済制裁を強化するしかない。ロシア抜きの経済体制の構築である。もちろん、これは痛みを伴う。特に、ヨーロッパはきつい。穀物、資源・エネルギー価格は高騰、インフレリスクが高まる。結局、ロシア向け投融資、保有資産は「全損」となろう。

 アメリカの2月のCPI(消費者物価指数)上昇率は1月の前年同月比7.5%に続いて、7.9%だった。1982年1月以来の高さだ。FRB(米連邦準備制度理事会)は粛々と利上げ、QT(量的金融引き締め)を進めるだろう。なにしろ、CPI上昇率の目標は「2%」である。7%超の数値は容認できないと思う。

●深押しの双信電機、逆行高のホクシンを狙う

 ヨーロッパの物価上昇率はエネルギーのロシア依存度が高いだけに、このままでは10%を超える見通しだ。ECB(欧州中央銀行)は「ロシアとの経済戦争を優先、ハト派に転換した」とみられていたが、ここにきて再びタカ派(金融引き締め路線)に転じている。今後(4月以降)、利上げ、QTを加速する。

 欧米ともに、スタグフレーション(不況下の物価上昇)の懸念が残るものの、中央銀行は適切に対処するだろう。唯一、日銀は金融緩和政策を堅持している。このため、1ドル=116円台の円安である。これは輸入大国の日本にとって、コストアップ要因になる。すでに、企業物価は9%超の上昇率にハネ上がっている。

 さて、調整局面(テクニカル的には下降トレンド)での投資戦術には逆行高の銘柄を一本釣りで狙う、売られすぎの銘柄をコツコツと拾う、何もしない(様子見→嵐のときは動くな)などがある。

 逆行高の銘柄では好業績のプレミアムウォーターホールディングス <2588> [東証2]、アールプランナー <2983> [東証M]、価格上昇が著しい木材関連のホクシン <7897> などに注目できる。

 深押し銘柄では双信電機 <6938> はどうか。株価は昨年8月31日の936円を高値に、下がりっぱなしだ。日本ガイシ <5333> の子会社だったが、台湾系企業に売却された。株価は不振だが、業績は好調に推移している。会社側では2022年3月期の1株利益を61.78円(決算短信)と予想している。時価の500円近辺は押し目買いのチャンスだろう。

2022年3月11日 記

株探ニュース

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