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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─“恐怖の瞬間”はリスクを取るチャンス!

経済評論家 杉村富生

「"恐怖の瞬間"はリスクを取るチャンス!」

●株式市場は売られすぎゾーンに突入!

 背中がゾクゾクとし、ギョッとするような"恐怖の瞬間"が近づきつつある。いや、2月24日がそうだったのではないか。ロシア軍のウクライナ侵攻のニュースにマーケットは動揺、 日経平均株価はザラ場安値2万5775円、マザーズ指数は同648ポイントまで売り込まれた。テクニカル、株価指標的には売られすぎゾーンだろう。

 ちなみに、安値水準の日経平均株価のPERは12.6倍、PBRは1.17倍だ。1月27日の安値(2万6044円)時のPER12.9倍、PBR1.19倍を下回っている。直近高値~直近安値の下落率は日経平均株価が16.3%、マザーズ指数が45.5%に達する。

 一方、24日の米国市場は急落のあと、猛烈に切り返して終わった。NYダウのザラバ安値は3万2272ドル、終値は3万3223ドル、ナスダック指数は同様に1万2587ポイント、1万3473ポイントだ。NYダウは安値比951ドル戻したことになる。売りたい人(投資家)はほとんど売ったのではないか。

 さて、問題は今後の展望である。焦点のウクライナ情勢だが、「小さな戦争」と「小さな制裁」にとどまって欲しいと思う。しかし、ロシアは「国際紛争を解決する手段は戦争しかない」と信じている国だ。クリミア半島、ウクライナ東部のドネツク州、ルガンスク州の独立→承認、キエフ(首都)攻撃は予定のコースである。

 恐らく、ロシアは「ウクライナは自国の領土」と考えている。最終的に、東西分断をもくろんでいるのだろう。しかし、一気にはやらない。既成事実を積み上げていくのだろう。なにしろ、ブダペスト覚書(1994年)、ミンスク合意(2014年)など国際的な取り決めは何の役にも立たない。こんな無法国家に対し、西側陣営は弱腰すぎる。

●ウクライナ情勢は当面のヤマ場を越えた?

 19万人の兵員を集結させ、核ミサイルの使用をちらつかせている相手に、「平和的な解決を」とか、「制裁に資源・エネルギーを除くべきだ」、さらには「ロシアの銀行とのドルの決済を凍結する手法は現状では無理」などの発言はクリミア半島併合のときの小出し、小手先制裁に通じる。

 もっとも、今回はここまでだろう。ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟していないし、「紛争当事国はNATOに参加できない」というルールがある。西側陣営はどうやって、ウクライナを守ろうとしているのか。これは難しい。ドイツは天然ガスの49%をロシアに依存している。

 結局、ロシア制裁の強化は資源・エネルギー、穀物価格の高騰を招きインフレを加速する。FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)は金融引き締め策を強化せざるを得ない。ともあれ、GDPは1兆7107億ドルと、韓国以下の国が「好き勝手」にやれるのは国連安全保障理事会の常任理事国(拒否権)、軍事大国だからこそ、であろう。

 当面の投資戦術、物色対象はどうか。引き続いて有効なのは、突っ込み買いの吹き値売りである。青山財産ネットワークス <8929> [東証2]、好業績なのに深押しのSEホールディングス・アンド・インキュベーションズ <9478> [JQ]、大商いのNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]は狙える。

 青山財産ネットワークスの売上高は2020年12月期が191億円、21年12月期が242億円、22年12月期が365億円(会社側計画)と急増するのがポイントだ。もちろん、利益は増える。このところ海外ファンド、国内法人の買いが継続しているという。

2022年2月25日 記

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