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【市況】明日の株式相場に向けて=乱調!レーザーテック、鳴りやまぬ警報

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 名実ともに2月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比76円高の2万7078円と3日続伸。月替わり初日は機関投資家の買いが入るため、日経平均は上昇しやすい面がある。きょうも例に漏れず朝方から大口買いが入り上値指向の展開だったが、その買いが一巡すると失速モードとなった。

 日経平均は寄り付きから次第高の展開で午前10時20分前後に400円を超える上昇をみせたが、2万7400円台が戻りいっぱいだった。その後は上値がどうにも重く、30分ほどもみ合った後は根負けしたように買いが途絶え、急速に上げ幅を縮小した。前日までの2営業日で800円強の戻りをみせたことを考えれば、目先筋の利益確定売りも想定されるところ。しかし、今回の戻りは上げ足こそ派手に見えるが買い戻しが大半であり、「利益を確定すべき玉がない。いわば勝者不在。鬨(とき)の声が聞こえない戻り相場」(国内証券ストラテジスト)という声も出ていた。きょうあたりから、地合いのカイ転換を意識して実需の買いが観測されたが、上ヒゲ陰線で出鼻を挫かれた格好だ。

 象徴的だったのは断トツの売買代金をこなしたレーザーテック<6920>。寄り付きはカイ気配スタートで前日終値から1600円あまり高い2万6700円で寄り付いたのだが、何と寄り天に近い状態でその後はあっという間に値を消してしまい、後場は2万3000円近辺まで売り込まれる場面があった。

 ネット証券大手の店内手口では「レーザーテックは前場終了時点で個人投資家は大幅に買い越していた」という。前日の米国株市場では半導体関連が軒並み買われ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が今年最大の上げ幅を記録した。ここは信用枠をフル活用してシンボルストックであるレーザーテックを買い漁りたくなるのも無理はないところだ。しかし、結果的に個人投資家は、1600円あまり高く寄り付いた後に急転直下で一時2000円以上も下落するような、ジェットコースターに乗る羽目となった。

 レーザーテックの値運びが暗示するように、全体相場もまだ足もとはおぼつかない。きょう昼過ぎに発表されたオーストラリア中銀の金融政策は、あっさりと量的緩和策の終了を決めた。これも日本株市場にはボディーブローのように地味に効いたとみられる。また、今週は3日にECB理事会の結果とラガルドECB総裁の記者会見が予定されている。ECBはFRBほどタカ派的ではないが、やはりインフレに対する警戒感は拭えない。3月の量的緩和終了後、利上げは急がない方針にあったが、前倒しを匂わす可能性は十分にある。そして、週末4日に予定される1月の米雇用統計では、否が応でも賃金インフレの度合いにマーケットの耳目が集まることになる。2月SQに向け、売り方の仕掛けで起爆材料となるイベントをまだ複数控えている。今しばらくは、上値を買わず突っ込み買い狙いに徹したい。

 個人投資家の土俵であるマザーズ市場も引き続き不安定だ。テクニカル的には底値圏で前日の上昇を受けてきょうは目先買いシグナル点灯の場面だった。だが3日続伸とはなったものの、800近辺で戻り売りに押され上ヒゲ形成となった。マザーズの前日時点の騰落レシオ(25日移動平均)は70%を下回っており陰の極を示唆、短期的には買い向かって報われそうだが、なかなか一筋縄ではいかない。「追い証の回避に絡む投げも確認されているが、まだ一部にとどまっており、需給改善には至っていない」(ネット証券マーケットアナリスト)とする。マザーズの信用評価損益率は最悪期でマイナス37%台まで落ち込み、直近は少し改善したがマイナス34.6%と依然として危険水域である。投げ売りを期待してはいけないが、少なくともマザーズ銘柄は投げ売り局面に遭遇するリスクをまだ内包していることを忘れてはならない。逆張りが前提ならば、個別株を選別するよりは時価総額上位銘柄のパッケージ買いか、分かりやすく東証マザーズETF<2516>を拾う手がある。

 あすのスケジュールでは、1月のマネタリーベース、2月の財政資金対民間収支など。海外では1月のユーロ圏消費者物価指数、1月の米ADP雇用統計、OPECプラス会合など。また、国内主要企業の決算では日立製作所<6501>、パナソニック<6752>、ソニーグループ<6758>、デンソー<6902>、日本航空<9201>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などが予定されている。海外主要企業ではメタ・プラットフォームズ<FB>、クアルコム<QCOM>などの決算発表が注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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