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【特集】新春3大テーマを追う(1)メタバース 「仮想空間に巨大な新市場誕生」 <株探トップ特集>

旧フェイスブックの社名変更を機に、メタバースへの関心が高まっている。21年はまさに「メタバース元年」となり、日本でも参入企業が相次ぐ。22年も引き続き注目が必要だ。

―21年の元年を経て本格成長軌道に突入、海外大手に加え日本企業も続々参入―

 インターネット上の仮想空間に新たな潮流が起こっている。「メタバース」と呼ばれる仮想的な3次元空間がその潮流を起こしており、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術の進化やネットワーク通信の高速・大容量化、更に新型コロナウイルスの感染拡大に伴いリモートワークなどのデジタル化などがこの動きを後押ししている。海外の大手IT企業が本腰を入れ始めているほか、国内でも参入する企業が相次ぎ現れるなど、メタバースを巡る動きは活発化しており、2022年は更にこの流れは加速しそうだ。

●「超越」を意味する「メタ」と「ユニバース」からの造語

 「メタバース」は「超越」を意味する「メタ」と、ユニバース(世界)の「バース」を結びつけた造語だ。定義は定まっていないものの、インターネット経由でアクセスできる共有の仮想世界空間を表す用語で、スマートフォンやパソコンに加えて、ゴーグル型の端末などを用い、仮想空間を現実のように体験するVRや、現実の画像の上に仮想の画像を重ね合わせるARなどを利用した巨大なデジタル空間を指すことが多い。

 仮想空間のムーブメントでは、米リンデンラボ(カリフォルニア州)が2003年にリリースし、世界的に一大センセーションを巻き起こした「セカンドライフ」が有名だ。ネット上の仮想世界にユーザーがアバター(分身)として住み、もう一つの人生を送ることができる世界で、1990年代後半に登場した大人数が参加するロールプレイングゲーム(MMORPG)は、多数のプレイヤーが仮想世界で一緒に冒険をしたり戦ったりする多人数参加型のゲームだったのに対して、経験値を貯めたり、特定の目的を達成したりする必要はない自由な空間であることが人々に受け入れられ、世界中の多くの人が参加した。日本からも2万人以上の人が参加したとされたが、2000年代後半になるといつの間にか衰退していった。

●海外IT大手がメタバース注力の動き強める

 その後、大きな話題に上ることのなかった仮想空間だが、世界的ソーシャルネットワーク企業である米国のフェイスブックが21年10月のカンファレンスイベント「Connect 2021」で、社名をメタ・プラットフォームズ<FB>に変更し、ソーシャルメディア企業からメタバース企業への移行を目指すと表明したことで、「仮想空間=メタバース」との認識が高まり、再び関心を集めることになった。同社は同年8月にバーチャル会議室「Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)」を約20の国と地域で開始したほか、メタバースの開発加速を目指して欧州連合(EU)域内で今後5年間で高度IT人材1万人を採用すると発表。更に21年に100億ドル規模の投資を行い、今後も増やす方針であることも明らかにした。

 これを受けて他のIT企業もメタバースへの動きを強めており、米マイクロソフト<MSFT>は22年から会議システム「チームズ」にメタバースの機能を試験的に導入するほか、米アップル<AAPL>もメタバースをにらみAR向けのスマートグラスを22年に発表する可能性があると報じられている。また、世界最大級のゲームの一つである「フォートナイト」を運営する米エピック・ゲームズ(ノースカロライナ州)は21年4月、メタバースに10億ドル超を投資すると発表。更にネット大手ではないものの、米エヌビディア<NVDA>はメタバースでのユーザー体験などを実現するためのソフトウェア基盤「オムニバース」を立ち上げメタバースへの注力を強めている。

●28年まで市場は年43%成長の見方も

 今後、メタバースは5Gの普及による通信スピードや半導体の処理能力の向上で一段と進化するとの期待が高まっており、それに伴い市場規模も拡大が見込まれている。カナダの調査会社エマージェン・リサーチによると、メタバースの市場規模は20年に476億9000万ドルに達し、28年までの年平均成長率が43%になると予測している。

 当然ながら、日本でもメタバースを巡る動きが加速し始めている。NTT <9432> は20年11月、日本初の3D空間型メディア「DOOR」をスタートした。また、KDDI <9433> は21年11月、東急 <9005> 、みずほリサーチ&テクノロジーズ(東京都千代田区)、渋谷未来デザイン(東京都渋谷区)と共同で、「バーチャルシティコンソーシアム」を立ち上げ、22年春に展開予定の都市連動型のメタバース(バーチャルシティ)の利活用に向けたガイドラインの策定に乗り出している。

●メタバースへの積極投資を行うグリーなど

 最近では、キャリア以外でもメタバースにビジネスチャンスを期待する企業は増えており、21年は参入する企業が相次ぎ、まさに「メタバース元年」ともいえる状況となった。今後も参入企業は増えるとみられるが、これまでに参入した企業にも引き続き注目が必要だろう。

 シーズメン <3083> [JQ]は21年10月、業務提携を通じ「メタバースファッション事業」に進出すると発表。メタバースファッション専門アパレルブランド「ポリゴンテーラーファブリック」を新設。更に12月にはファッションブランドのメタバース参入支援を行う「ポリゴンテーラーインポート」事業を開始すると発表するなど同事業の拡大に注力している。

 ANAP <3189> [JQ]は21年12月、メタバースファッションプラットフォーム「APPARELED Meta connect by ANAP」の提供を開始すると発表した。企業が保有する洋服や小物などファッションアイテムの採寸データとアイテム画像素材を入力することで、メタバース空間に適したファッション素材に変換。さまざまな仮想空間で利用可能となり、企業のメタバース事業参入を支援する。

 グリー <3632> は、21年8月、メタバース事業に参入すると発表した。バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」をメタバース事業と位置づけ直し、投資を積極化すると表明。広告宣伝や開発体制の強化などに今後2~3年間で100億円を投じ、国内にとどまらず米国など海外でのユーザー獲得を目指すとした。また、法人向けには3DCGやXRを活用したメタバース構築プラットフォーム「REALITY XR cloud」を展開している。

 CRI・ミドルウェア <3698> [東証M]は21年11月、米ホロテック・スタジオズ(カリフォルニア州)が提供するバーチャルアバター制作支援ツール「Animaze」に、同社の音声解析リップシンクミドルウェア「CRI LipSync」が標準搭載されたと発表した。これにより、高い精度でキャラクターを動かすことができるとしており、アバターの一層の普及に貢献すると期待されている。

●シャノン、ポート、バードマンなど注目

 シャノン <3976> [東証M]は子会社ジクウを通じ、21年11月に3DCGでバーチャル展示会を実現できるメタバース型バーチャルイベントサービス「ZIKU」の提供を開始した。利用者は3Dのバーチャル空間を従来の展示会のように自由に歩き回ることができ、新しい企業を発見したり、企業の説明員と音声で会話したりすることができる。

 IMAGICA GROUP <6879> は、グループ会社でXRテクノロジーを駆使したエンタメテック分野に特化した事業を展開するIMAGICA EEXを通じてメタバース事業に取り組んでいる。21年9月に開催された「東京ガールズコレクション2021 AUTUMN/WINTER」では、VR空間アプリ「バーチャルTGC(β版)」を共同開発した実績を持つ。

 ポート <7047> [東証M]は21年12月、メタバースを活用した就活相談サービス「就活メタバース」を正式にリリースしたと発表した。バーチャルプラットフォームを活用することで、オンライン面談とは異なり、対面で会話をしているようなリアルな仮想空間を構築し、就活生の希望に沿ったキャリアプランの提案や人材紹介を提供するとしている。

 Birdman <7063> [東証M]は21年12月、「さわれるライブ5D LIVE」を提供開始したと発表した。これは、専用スタジオで撮影した高解像度の3DCG映像に没入感の高い高品質なメタバースを設計し、デジタル上のさまざまな仕掛けを組み合わせることで、リアルタイムに「さわって」楽しめる新しい体験型のデジタルコンテンツを企画・制作するサービス。映像(画面)に触れることで、バーチャルライブ会場で自由に視点を動かしたり、タップした商品をオンラインショップですぐに購入できるようになるという。

 このほか、メタバースプラットフォーム内で提供するゲームの開発を行うガーラ <4777> [JQ]、子会社がアバターを活用したバーチャルオープンキャンパスなどを開催したエスユーエス <6554> [東証M]、エピック・ゲームズ社の3D制作プラットフォーム「Unreal Engine」を使用したCG映像製作を自治体や官公庁、企業向けに行いメタバースへの展開も視野に入れる理経 <8226> [東証2]、更にグループが展開する「CLUB CAMELOT」でメタバース事業を開始したほか、メタバース上でコミュニケーションが楽しめるアプリや、NFTを保管するウォレットなどの開発を目指すGFA <8783> [JQ]などにも注目したい。


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