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【特集】高値波乱!ニューヨーク市場、米金融政策とオミクロン株に揺れる <株探トップ特集>

米国株式市場は最高値圏にあるが、新年に向けて不透明感は少なくない。米金融政策の行方と「オミクロン株」の影響が判明しないうちは、値動きの荒い展開が続くことが予想される。

―QT開始時期に関心集まる、コロナ禍次第の側面強く値の荒い展開も―

 米株式市場が高値波乱の状況にある。NYダウはこの3日間で1000ドル近く下落した。米株式市場は依然として史上最高値圏にあるが、足もとでは米金融政策は新年の利上げを視野に入れる状況にあるほか、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対する警戒感も根強い。例年なら、この時期はクリスマスラリーから新年相場に向けた期待が高まる頃だが、今年は新年を前に不透明感がぬぐえない状況にある。高値警戒感が強まる米株式市場の行方を探った。

●FOMC通過でいったん安心感も高値波乱に

 21日の日経平均株価は前日比579円高の2万8517円と急反発。前日607円安の反動で大幅高に転じた。ただ、足もとでの不安定な相場環境は続いている。その震源となっているのが米株式市場だ。NYダウは20日に前日比433ドル安の3万4932ドルと大幅安となった。この3日間で1000ドル近い下落を記録した。市場で注目を集めた15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過したことで同日にNYダウは安心感から前日比383ドル高と急伸したが、その後は一転して高値波乱となっている。この背景にあるのは、ひとつはテーパリング(量的緩和縮小)を加速することを決定した米金融政策の先行きに対してなおも不透明感がぬぐえないこと。もうひとつは「オミクロン株」の感染拡大に対する警戒感が高まっていることだ。

●金利引き上げによるGAFAMへの影響を注視

 市場関係者の高い関心を集めているのは、依然として米金融政策だ。15日のFOMCではテーパリングの終了時期の想定を2022年6月から3月へ前倒しし、22年中に3回の利上げを見込んでいることが明らかになった。これまで「一時的」としていたインフレの見方も取り下げられた。この金融政策の転換は「タカ派的」とみる市場関係者は少なくなく、足もとの下げにつながっている。特に、高PERのハイテク株には、金利引き上げが逆風になるとの警戒感が強い。米国市場を牽引してきた米IT大手のGAFAM(グーグル持ち株会社のアルファベットC<GOOG>、アマゾン<AMZN>、メタ・プラットフォームズ<FB>(旧フェイスブック)、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>)の株価上昇には米国の量的緩和が大きく寄与したとの見方がある。初の時価総額3兆ドル(約340兆円)に接近していたアップルの株価は足もとで一服しているが、「米国が利上げ局面に入った後のGAFAMなどハイテク株の動向は注視する必要がある」(フィリップ証券笹木和弘リサーチ部長)との声は少なくない。

●「QT開始はいつか」が次の焦点に浮上

 ただ、FOMC直後の株高の反動安は「直近の下げでいったんは収まるのではないか」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役)との見方が出ている。同氏は、「来期の3回の利上げも相場には織り込まれつつある」とみているが、「むしろ市場の関心は量的引き締め(QT)がいつ始まるかに向かっている」とも強調する。

 QTとは、米連邦準備制度理事会(FRB)の保有資産を縮小する動きをいう。FRBの総資産はコロナ後の大規模緩和で2倍以上に膨らみ、これに伴う過剰流動性が株価押し上げの要因に働いた。このQTの開始は市場では22年の年末頃を想定する見方が多いが、状況次第では来年半ば頃に前倒しされる可能性も出ている。

 このQT開始の時期を探るため新年もFOMCでの議論の行方が注視され、その議論のベースとなる米経済指標の動向に一喜一憂する展開は続くことが予想される。22年はまず1月25~26日、続いて3月15~16日にFOMCが予定されており、このFOMCを意識して来春にかけても神経質な展開となりそうだ。

●相場はオミクロン株の毒性次第の側面も

 そして、もうひとつの懸念材料が「オミクロン株」が経済に与える影響だ。オミクロン株が確認された11月下旬には、感染力が非常に高いとの観測から株式市場にはオミクロン・ショックが走り、株価が急落する場面があった。しかし、その後、従来型に比べて重症化しにくいのでは、との見方から株価は上昇に転じた。けれども、足もとでは英国など欧州を中心に感染が急拡大し、オランダがロックダウン(都市封鎖)に踏み切るなか再び警戒感が台頭している。

 オミクロン株に関しては、毒性が強いのか、それとも弱いのかに関心が向かっている。第一生命経済研究所の嶌峰義清常務取締役は、「結局オミクロン株が経済に与える影響次第で新年の相場も大きく変わることになる」と指摘する。また、前出の秋野氏は「もし弱毒化していてコロナ禍の収束の方向が見えてくるようなことになれば、それはそれで米金融政策を緩和方向に向かわせる要因も失うことにつながる」と言う。コロナ禍は実体経済への多大な悪影響をもたらす一方で、株式市場はそれに伴う大規模金融緩和の追い風を受けた面も否定できない。それだけにオミクロン株が米金融政策に影響を与える影響は小さくなく、その評価が固まらないうちは、相場の方向感も定まりにくいのが実状だ。

 更に、バイデン政権の看板政策である子育て支援や気候変動対策に向けた1兆7500億ドル(約200兆円)規模の予算の成立が窮地に立ったことも悪材料視されている。米株式市場は、1月からの決算発表を視野に再び最高値更新もありうるが不透明要因を背景に値の荒い展開が続きそうだ。

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