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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「大きな三角の中でもみ合い圏」

株式評論家 富田隆弥

◆またしてもパウエルマジックを見せつけられた。注目された15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明を受けて、一時前日比150ドル安まで売られたNYダウは最終的には383ドル高の3万5927ドルと大きく切り返して終えた。パウエルFRB議長は2022年に量的緩和終了(3月)と利上げに動く可能性を示唆したが、マーケットは想定内の結果として安心感を強めて「株買い、ドル買い」で反応した。

◆そして、翌16日の日経平均株価は前日比606円高の2万9066円と大きく上昇。2万8800円台にある25日移動平均線と200日移動平均線を突破し、75日移動平均線(16日時点2万9095円)に迫った。12月9日の高値2万8908円を抜いたことで、短期の日足は3日安値(2万7588円)から二段上げに踏み出しており、75日線を抜いて年内2万9500円を目指す可能性も出てきた。

◆ただ、今年を振り返ると、FOMC後の日本株の動きはあまり芳しくない。前回11月3日のFOMC声明の翌日に、日経平均株価は273円上げたが、5日から4日続落。その前の9月22日の時は発表後に609円上げたが、翌営業日から8日続落。6月16日の後は3日続落(16日を含めると4日続落)で計1280円も下げ、3月17日の後は18日に302円上げたもののその翌日から4日続落し計1811円も下げている。

◆こうした動きを振り返ると、FOMC直後は買い戻しで上昇するが、買い戻しが一巡した後に改めて売りが出てくると思われる。特に3月、6月、9月とメジャーSQ(先物・オプションの清算値算出)のある月にその傾向が強く、この12月も17日以降の動向には注意が必要と思われる。

◆その懸念が杞憂に終わり、年末にかけて「掉尾の一振」を期待したいところだが、日経平均株価のチャートを少し離れて見ると、9月高値の3万0795円から引く上値抵抗線がいま2万9500円近辺にある。一方、8月安値の2万6954円から引く下値支持線がいま2万7700円台にあり、その間で大きな三角もみ合いを形成している。しばらくはこの範囲内での推移が想定され、そして新年はこの三角もみ合いからの放れが焦点になるだろう。

(12月16日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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