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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「需給懸念の12月後半、バラ色で締め括れるか?」

株式評論家 富田隆弥

◆師走になり、日米欧の株式市場が揃って勢いよく上げた。クリスマス・ラリー、サンタ・ラリーなどの文言を見聞きする機会も増えてきた。11月相場が冴えなかっただけに、ここから巻き返して2021年の終わりはバラ色で締めてほしいものである。

◆ただし、日経平均株価のチャートはまだ好転を確認していない。12月3日のザラバ安値2万7588円から切り返したものの、9日終値は2万8725円。25日移動平均線や75日移動平均線、200日移動平均線の集まる2万9000円処、週足で割り込んだ26週移動平均線、52週移動平均線(9日現在2万8700円台)に接近あるいはタッチしたところだ。

◆つまり、チャートはアヤ戻しの正念場にある。バラ色で締めるには少なくとも日足の移動平均線を突破する2万9050円以上が必要だし、好転確認には9月高値(3万0795円)から引く上値抵抗線(2万9600円近辺)の突破が必要だ。

◆逆に、この正念場で頭を叩かれると、大納会に向けて軟調になりかねない。信用買い残が3兆7401億円(11月26日時点)と14年2カ月ぶりの高水準に膨れ、評価損率は-10.83%(12月3日時点)に悪化している。12月は新規上場銘柄が集中(33銘柄)するため購入資金準備のための売りや、年末特有の節税対策売りも出やすくなるなど、個別株の需給環境は良好とは言えない。

◆12月8日までの上昇は、10日のメジャーSQ(先物、オプション清算日)に絡んで先物主導で上げた部分もある。SQを通過すると、先物は3月限となり仕切り直しとなるので、月後半の動向がポイントになる。ちなみに、クリスマス休暇を控えて外国人投資家はポジション調整(売却)に動きやすくなる。

◆日本株は年末高で締めることが多かったが、それは遠い昔の話。いま証券界の正月休みはわずか4日間で、証券マンが正月気分に浸る時間はなく、師走のラストスパートという意気込みも乏しくなった。バラ色の師走を期待したいところだが、2018年のようなケースもある。チャートの流れに従い、冷静に対応したい。

(12月9日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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