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【市況】米中の株安を映してリスク回避の動きも経済対策報道で下げ渋る【クロージング】

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

18日の日経平均は続落。89.67円安の29598.66円(出来高12億2000万株)で取引を終えた。前日の米国市場でハイテク関連株が下落した流れを受けて、売りが先行して始まった。その後、中国などアジア市場株安も加わって、リスク回避の動きが高まり、前引け間際に一時29402.57円まで下押した。その後は、11月の特別清算指数(SQ)値である(29388円)近辺に接近すると、押し目を拾う動きもあり、下げ渋る動きに。午後2時に「経済対策の財政支出55.7兆円、呼び込む民間資金を加えた事業規模が78.9兆円に上る」などと伝わると、対策効果への期待から買い戻しの動きが強まり、取引終盤にかけてプラスに転じる場面もあった。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄が1300を超え、全体の6割を占めた。セクター別では、ガラス土石、サービス、その他製品など13業種が上昇。一方、鉱業、海運、石油石炭など20業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、TDK<6762>、リクルートHD<6098>、ファナック<6954>、ダイキン<6367>、塩野義<4507>がしっかりだった半面、ファーストリテ<9983>、ソフトバンクG<9984>、エーザイ<4523>、アドバンテス<6857>、東エレク<8035>が値を消した。

バイデン米大統領が17日、日本や中国などに石油の戦略備蓄の放出を要請したことから、原油先物相場が下落し、鉱業や石油石炭など資源セクターが下落。午後に入り、中国政府当局が「原油備蓄を放出する作業を行っている」と海外メディアが伝えたこともあり、下げ圧力が強まった。また、英半導体設計会社アーム売却を巡り米当局が懸念を示したと伝わったことで、ソフトバンクGが一時3%超下落したことも投資家心理を悪化させていた。一方、経済対策の事業規模が伝わったことで、市場では「想定以上の規模の対策になりそうで、相場もひとまず好感した形になった」とされ、短期筋中心に買い戻しの動きが活発化した。

なお、日経平均は節目の3万円大台回復は再び厚い壁になりそうな気配だ。米国の債務上限問題や中国の不動産企業の経営不安、国内でも政府・与党が岸田首相の掲げる所得再分配に向け、来年以降に金融所得課税の強化を本格的に議論する方向で調整に入るなど、懸念要因が山積しているためだ。また、ヘッジファンドなど短期筋の買い戻しが中心で新規の買いが入ってきていないとの指摘もあり、目先はこう着感の強い値動きが続きそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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