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【特集】“リスクの高いNG取引”で成功の陰に「売買日記」あり

第30-3回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)

登場する銘柄
任天堂<7974>、レーザーテック<6920>、東京エレクトロン<8035>

取材/真弓重孝・高山英聖、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)

湘南トレーダーさん(ハンドルネーム・60代・男性・専業投資家)
【タイトル】日本株運用資産5800万円
累積投資元本1000万円
累積リターン5000万円
投資スタイルファンダメンタルズ、需給を重視
主な保有期間中期(1カ月~1年)
保有銘柄数40~60銘柄
投資開始年2013年7月
他の投資対象賃貸不動産
自身の性格分析自らの創意工夫・判断が好き
好きな言葉「臥薪嘗胆」「大胆かつ繊細」
湘南トレーダーさんとは:
2011年にシステム系の上場企業を退職し、13年7月に元手300万円から株式投資を始めた。
最初はバイオ株やIPOで失敗が重なったが、「売買日記」を活用してノウハウを積み上げてきた。
結果、勝ちパターンとなったのが、ファンダメンタルズ分析を軸にした値がさ株投資。
あらゆる視点で下値リスクを軽減するのが特徴で、1カ月以上の中期で安定的にリターンを
稼げるようになった。累計リターンは5000万円。
今後はテンバガーを狙える銘柄への長期投資にもチャレンジしたいという。

第1回「高価な『値がさ株』狙いに戦略転換したら資産6倍になった技」を読む
第2回「現物株担保の信用買いでも、コロナ暴落で『追証なし』の技」を読む

累計1000万円の元本を6倍に増やした湘南トレーダーさん(ハンドルネーム)の最終回は、値がさ株の勝ち技をどのように身に着けてきたのかを紹介する。

現物株を担保に一般信用取引で委託保証金に近い金額を取引しながら、昨年のコロナショックを追証にかかることもなくやり過ごし、昨年末には任天堂株で120万円の利益をさらった湘南トレーダーさん。だが、6年くらい前までは「失敗の連続だった」という。

そのスランプを克服し、値がさ株に狙いを定めて利益を積み上げていくイケイケモードに導いてくれたのが「売買日記」だ。

このシリーズで取り上げてきた多くの強い投資家がそうだったように、湘南トレーダーさんも個々の取引の記録を欠かさず記してきた。何を記録し、記録した内容をどう活用するかは、投資家によって異なるだろう。

湘南トレーダーさんが意識してきたのが、経験値をシステム化すること。失敗にしろ、成功にしろ、そのときの取引の特殊事情・要因で済まさず、別の場面でも活かせるように普遍化する。

会社員時代、事業を立ち上げ、組織を司る際に活用してきたPDCA(計画、実行、評価、改善)を、売買日記にも反映した。

湘南トレーダーさんが資産を6倍に増やしてきた売買日記の中身を見ていこう。

意識すべきは「同じ間違いの防止」「観察力の向上」

売買日記を記すうえで、湘南トレーダーさんが意識しているポイントが2つある。

1つは、同じ間違いを繰り返さないこと。
もう1つは、銘柄や相場に対する観察眼を磨くことだ。

まず日記を書き留める際には、記録する際に「反省点」「改善点」などのコメントを加えるようにしている。どこに問題があったのかを考え、それを言語化することで、次に注意すべきポイントが明瞭になる。

次に、マーケットの流れや出来事に対し、自分が売買した銘柄がどう反応したかを毎月記録する。継続することで観察力が積み上がり、相場の状況に応じて的確な判断ができるようになっていく。昨年のコロナショックで追証を免れたのも、こうした取り組みの積み重ねが生きているはずだ。

では、ここから本人が実際に書き込んだ内容を基に、ポイントを見ていこう。

「エクセル」を使って月別に管理、購入・売却時に取引内容を記録

投資家さんによっては、売買記録をノートに手書きし続けている人もいれば、クラウドサービスを利用してパソコンで書き込んでいる人もいる。

湘南トレーダーさんは記録できるものなら何でも活用する姿勢だが、書き込むことが多いのが表計算ソフトの「エクセル」だ。1つのファイルの中で月別にシートを分け、購入・売却時に取引した内容をメモしている。

基本項目は、下の一覧になる。信用取引を活用しているため、現物取引にはない「逆日歩」や「金利」、「管理費」などの項目を用意している。

「買い」 ~ 株価、株数、約定額、手数料・税、逆日歩、買付額、買付日
「売り」 ~ 株価、売却額、手数料・税、管理費、金利、清算額、売却日、粗利、利益率


エクセルへの入力でも、数字に関係するもの以外に、先に挙げた同じ失敗を繰り返さないポイントと、相場に関わるコメントを書き込んでいる。

同じ失敗を繰り返さないポイントを書き込むのは、下のエクセル画像の上部にある個別銘柄の取引内容のところだ。ここに「買った理由」や「売った理由」のほか「反省点」「改善点」を書き込むようにしている。

記入する際には、教訓になりそうなポイントを赤色で目立つようにすると、後の振り返りが便利になるという。画像下部の囲みが、相場にかかわるコメント欄だ。詳細は後述するが、上の画像では2020年11月の相場の流れなどを記録している。

■コメント欄のイメージ画像
【タイトル】

どんなに成功した取引でも、反省点があれば必ずメモ

以上が湘南トレーダーさんの売買日記の基本的な活用方法だ。ここからは先の2つのコメント欄を活かすために、湘南トレーダーさんがどうこだわっているかを紹介しよう。

個別銘柄にかかわるコメント欄で、次に活かせる教訓を書き込む際に意識していることが、

・どんなに儲かった売買でも、反省点があれば書き込む
・どんなに小さなミスも、油断せずに記録に残す


――の2つになる。

例えば任天堂<7974>では、第1回の記事でも詳しく紹介した120万円のリターンさらった売買になる。「去年で一番うまくいった取引」だというが、ただ満足するだけでなく、購入時に犯してしまったケアレスミスを反省点としてしっかり日記に残している。

それが、指値注文時の入力ミス。コメント欄には赤色で「金額が大きい場合の指値は要注意!」とあり、未来の自分に注意喚起している。

実はこの時、本人は526万円で指値注文したかったところ、うっかり10万円多い536万円を画面に入力し、そのまま取引を進めてしまった。ミスに気づいたのは約定後。悔やんだ湘南トレーダーさんは、同じ失敗を繰り返さないよう日記に記録したのだ。

最終的には100万円を超える利益をさらっているが、当初の指値で購入できていれば、利益はさらに10万円積み上がった。

会社を退職後、投資で生活費を稼ぐ湘南トレーダーさんにとっては、決して10万円の取り逃しは笑って済ませられる金額でないのだ。

相場コメントは、自分の売買とリンクさせるのがコツ

相場にかかわるコメント欄では、何に気を付ければよいのか。

湘南トレーダーさんは、マーケットの動向や出来事を書き留めるだけでなく、マーケットの流れが自分の投資にどう影響を与えたかまで記録するようにしている。

例えば先の画像では、20年11月の記録として「大統領がバイデンに決まり、大きな混乱もなかったため月間としては(日経平均株価が)30年ぶりの上げ幅で急騰して、売ってしまった銘柄が上場来高値を更新し続けた」と書かれている。

こうすれば全体の相場の中で、自分がどう取引してきたかを俯瞰できるようになる。実際に、過去の売買で何となく疑問に思っていたことが解消されたケースもあったという。

相場の先行きを正確に読むのはプロでも至難の技で、湘南トレーダーさんの読みとは違う動きをすることもある。「最近は、マーケットの動きを読まない方が、いいのかもしれない」という感想を持っているが、それもこれまで記録してきたからこその感想といえる。

70万円獲得したレーザーテック株、改善点は何?

上の相場コメントに対する考え方に示したように、湘南トレーダーさんにとって売買日記に完成形はない。勝ちを呼び込むために記録することには変わりはないが、記録することは日々変化し、進化している。

では直近の売買ではどんなコメントを残しているのか。レーザーテック<6920>と東京エレクトロン<8035>の例を紹介しよう。

いずれもリターンをさらった事例。日記に書き残したのは、利益をより最大化するための改善点だ。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



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