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【市況】ETFの決算に伴う売り需要が重荷となり安値引けに【クロージング】

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

8日の日経平均は続落。248.92円安の28118.03円(出来高概算11億4000万株)で取引を終えた。東京都に4度目となる緊急事態宣言が発出される見通しとなったことから、国内経済の正常化期待が後退し、景気敏感株中心に幅広く売られた。また、日経平均型の上場投資信託(ETF)の分配金の基準日にあたり、指数構成銘柄に資金捻出のための売り需要が重荷となり、日経平均は本日の安値で取引を終えた。

東証1部の騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1800を超え、全体の8割超を占めた。セクター別では、機械を除く32業種が下落しており、鉱業、その他製品、空運、その他金融、繊維、石油石炭の下落が目立っていた。指数インパクトの大きいところでは、ダイキン<6367>、KDDI<9433>、トレンド<4704>、協和キリン<4151>がしっかり。半面、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、エムスリー<2413>、アドバンテス<6857>、TDK<6762>などが軟調だった。

緊急事態宣言の再発令に伴い、7-9月期の国内景気の回復が一段と厳しいものになりかねないと懸念する向きが多い。仮に8月22日までの期間であれば、経済的損失は飲食店を中心に9000億円程度に達すると試算されているようであり、前日の米国市場の上昇にも反応薄だった。むしろ、東京五輪の開幕を目前にしているなかでの再発令となるだけに、菅政権に対する不信感が強まる恐れもあり、海外勢の売りスタンスを警戒する向きも。加えて、本日は日経平均型のETFの分配金捻出のための売り需要が発生したことにより、指数インパクトの大きい値がさ株が下げ幅を広げる一因になったようだ。

米国や中国では市場予想未達の経済指標が目立ち、米中景気はピークアウトしているのではないかとの懸念がくすぶる。このため、当面の注目材料として、明日9日に予定される安川電<6506>の決算に関心が集まっている。中国を始めとして、各国の設備投資状況がどのようなものになっているのか探る手立てになるとみる投資家が多い。また、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を受けて、金融緩和政策の長期化観測が株高をもたらした。こうしたなか、新規失業保険申請件数が発表されるだけに、その結果にも関心が集まりそうだ。

《FA》

 提供:フィスコ

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