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【特集】デリカフHD Research Memo(7):2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円を目指す

デリカフHD <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

2. 第四次中期経営計画
デリカフーズホールディングス<3392>は2022年3月期からスタートする第四次中期経営計画「Transformation 2024」を発表した。コロナ禍に同社を取り巻く市場環境が大きく変わるなかで、新たな食の生活様式に対応するため、同社の強み(企業力、研究開発力、販売力、調達力)を生かしながら、従前の延長線上にない、新たなビジネスモデルを構築して、「Transformation」を実現していく考えだ。その実現を達成するための基本方針は以下のとおりとなる。

(1) 事業ポートフォリオの変革
ウィズコロナを見据えた事業ポートフォリオの変革に取り組んでいく。具体的には、外食業界のなかでもコロナ禍に強い業態(テイクアウト、ドライブスルー、宅配・デリバリー、専門店)への販売を拡大していくほか、外食以外の分野(スーパー・量販店、コンビニエンスストア、給食事業、宅配事業)へも積極的に営業展開し、販路を広げていく方針だ。

さらに、BtoC/DtoC事業については2024年3月期に売上高で30億円強を目指していく。「野菜BOX」については2021年3月より「ワタミの宅食」でも販売をスタートさせており、今後のプロモーション強化によって会員数を増やしていく。また、百貨店のECサイトでの販売だけでなく、自社ECサイトでの販売やリアル店舗での販売、異業種連携コラボ等の推進などを、新たな商品開発にも取り組みながら進めていく。また、ミールキット事業(ワタミ向けを除く)についても同様に2024年3月期に売上高22億円強を目指していく。

販売先ポートフォリオの拡充だけでなく、商品ラインナップの拡充にも取り組んでいる。2022年3月期より新たに冷凍野菜の製造販売を開始する予定となっており、これでホール野菜、カット野菜、真空加熱野菜、冷凍野菜の提供が可能となり、同社ではあらゆる形態の野菜に対応できることになる。このため、新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客の売上深耕につながるものと期待される。さらに、冷凍野菜は賞味期限が格段に伸びるため、食材廃棄ロスの削減につながるといったメリットもある。まずは愛知事業所に製造ラインを構築し、年間数億円規模の売上を目指す。

こうした取り組みを推進していくことで、2024年3月期の売上高に占める外食向けの比率は前期実績の73.8%から63%に低下し(うち、コロナ禍に強い外食は同9.1%から8%に低下)、逆にBtoC/DtoC事業が同1.2%から7%に、ミールキット事業が同0.3%から5%に上昇する見込みとなっている。

(2) 青果物流通インフラの構築
a) 新工場・物流センターの拡充と新エリアへの進出
同社は2024年3月期までに、新工場または物流センターを3ヶ所開設する計画を立てている。まだ、土地の手当てができていないため、稼働時期は最終年度となる可能性が高く、収益への貢献は2025年3月期以降と見られる。候補地としては、需要増加が見込まれる関東地区、関西地区に加えて、直営事業所が空白地帯だった中国地区に拠点を開設する予定だ。土地代や建屋の内容によって投資額は変わるが、直近では福岡FSセンターの設備投資額が23億円となっており、工場の場合は同程度要すると見られる。

b) 幹線物流網の強化と物流事業への参入
同社は現在、幹線便として仙台~東京~福岡までのルートを構築しており、野菜の調達機能を図っている。このルートをさらに北海道まで伸ばす予定にしており、福岡から北海道までつなぐことで、資材・商材の共同購買及びフードロスを防ぐ在庫コントロールを実現していく。

また、自社配送の内製化率は前期の32%から直近は45%と年々上昇しており、配送ルートや積載の効率化を実現していく。

そのほか、他社から幹線便ルートでの物流の依頼を受けるケースが増えてきたことから、物流の受託サービスも本格的に開始する予定である。従来も自社トラックの空きスペースを活用して資材品等の配送を受託(2021年3月期売上215百万円)していたが、食料品に領域を広げていく。

c) イノベーション・DXによる徹底した効率化の推進
AIやRPAの活用による徹底した効率化を推進していく。2024年3月期までに新たな受注システムの導入や、発注・在庫管理システムの高度化、BIツールの導入などを進めていくことで業務の効率化と生産性向上を図っていく。

(3) サスティナビリティ経営の推進
同社グループは「農と健康を繋ぐ創造企業」を経営方針に掲げており、永続的な成長を指向するとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進していく。SDGsへの貢献として、「天の恵みである野菜を100%使い切る」持続可能な青果物流通ビジネスを創出していくことを掲げており、健康社会や地域貢献、環境への配慮、人財育成などの分野別に取り組みを進めていく方針だ。

また、青果物流通事業の拡大を通じた持続可能な脱炭素社会の構築に向けては、野菜の消費量拡大によって農作物の生産量拡大を図り、その結果として二酸化炭素の吸収量拡大に取り組んでいく。同社の事業活動に伴う二酸化炭素の吸収量は2021年3月期の7,040トンから、2024年3月期は42%増の10,000トンを目指している。

(4) 経営数値目標
経営数値目標として、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期に売上高450億円、経常利益10億円、親会社株主に帰属する当期純利益6.5億円、ROE7.0%、一株当たり配当金10.0円を掲げた。売上高については今後3年間で年率11.2%成長となり、一見ハードルが高そうに見えるが、2020年3月期を起点として考えると年率2.7%成長となり、コロナ禍が収束すれば十分達成可能な水準と見ることができる。経常利益率で2.2%という水準も過去平均と変わらない水準であり、市場環境が悪化したり、予想外のコスト増要因が発生したりしなければ達成可能な水準と思われる。コロナ禍で前期は厳しい決算を強いられたが、事業ポートフォリオの変革に成功すれば、対象市場は従来売上高の大半を占めていた外食業界にとどまらず、幅広い分野へと成長の可能性が広がることを意味しており、現在は成長ステージに入るための過渡期にあると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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