【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):ソニー、テルモ、日本製鉄
ソニー <日足> 「株探」多機能チャートより
ACCESS<4813>が5日続伸。午後2時ごろ、衛星位置情報DXサービス「Linkit Maps」が、東北電力ネットワーク(仙台市青葉区)に採用されたと発表しており、これが好感された。今回の採用は、顧客サービスレベル向上のため、これまで電話・FAX・紙中心で行っていた外回り作業員の復旧・保守・保安業務を段階的にデジタルトランスフォーメーション(DX)化する一環として行われるもの。これにより「Linkit Maps」は、東北電力ネットワーク配電部門の全62事業所に導入され、21年4月1日から利用開始されるとしている。
■ソニー <6758> 11,595円 +100 円 (+0.9%) 本日終値
ソニー<6758>が全体地合い悪のなかで強さを発揮。21年3月期業績はコロナ禍にあってトップライン、利益ともに伸びる見通しにあり、営業利益は前期比2ケタ伸長を見込んでいる。業態からはグロース株に位置しているが、市場ではPER が13倍前後と割安でハイテクセクターの中でも買いやすさを指摘する声が強い。また、世界的な電気自動車(EV)シフトの動きが強まるなか、試作モデルのEVが既に公道実験に漕ぎつけていることで、業態を超えた成長思惑が機関投資家などの買いを誘導しているもようだ。
■片倉工業 <3001> 1,455円 +5 円 (+0.3%) 本日終値
片倉工業<3001>がしっかり。30日の取引終了後に自社株買いを実施すると発表しており、これが好感された。上限を70万株(発行済み株数の2.06%)、または10億円としており、取得期間は4月1日から12月31日まで。株主還元の充実と資本効率の向上を図るためとしている。
■テルモ <4543> 3,999円 +13 円 (+0.3%) 本日終値
テルモ<4543>は全般軟調地合いのなかも堅調に推移。同社はきょう、筒先に薬液が残留してしまう量を少なくした薬剤投与用注射器「FNシリンジ」の製造を開始したことを発表した。同製品は3月5日に厚生労働省から製造販売承認を取得したもので、2021年度に2000万本の生産を予定しているという。
■日本製鉄 <5401> 1,886.5円 +5.5 円 (+0.3%) 本日終値
日本製鉄<5401>をはじめ鉄鋼株は全般軟調地合いに抗して買いが集まった。世界的な景気回復期待に加え、米国ではバイデン政権下で巨額の経済投資が実施される予定で、既に成立した1兆9000億ドルの景気刺激策に加え、新たにインフラ投資などを中心に3兆ドル規模を投じることが報じられている。景気敏感セクターの鉄鋼株にとっては追い風が意識される局面にある。また、鉄鋼業界は世界的に進む脱炭素の流れに乗り遅れないように積極的な対応をみせており、日本製鉄は2030年までに国内に大型電炉を実用化させる方針で、脱炭素に向けた取り組みを積極化することが伝わっている。ESG投資の観点からも国内外機関投資家の買いが入りやすくなっている。
■日立製作所 <6501> 5,004円 -394 円 (-7.3%) 本日終値 東証1部 下落率3位
日立製作所<6501>が後場急落。日本経済新聞電子版はこの日の午後1時前に、日立は「米IT(情報技術)企業のグローバルロジックを買収する」と報道した。買収額は96億ドル(約1兆500億円)で電機業界では過去最大級のM&A(合併・買収)になると伝えた。グローバルロジックはデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が使うシステム開発を手掛けているという。この買収報道を受け、日立の財務悪化を警戒する売りが膨らんだ。
■レオパレス21 <8848> 153円 -9 円 (-5.6%) 本日終値 東証1部 下落率8位
30日に発表した「2.9億円の固定資産売却損を計上」が売り材料。
■イオンモール <8905> 1,925円 -92 円 (-4.6%) 本日終値
イオンモール<8905>は冴えない。30日の取引終了後、集計中の21年2月期連結業績について、営業利益が300億円から343億円(前の期比43.6%減)へ、最終損益が40億円の赤字から19億円の赤字(前の期342億3900万円の黒字)へ上振れて着地したようだと発表したが、目先の材料出尽くし感か強まっているようだ。第4四半期に入り、国内一部地域で緊急事態宣言の再発出の影響があり、一時的に専門店売り上げが落ち込んだものの、年間を通じて国内外の専門店売り上げは改善基調で推移したことから、売上高は2800億円(前の期比13.6%減)の従来見通しを据え置いた。ただ、コスト削減効果により利益は前回予想を上振れた。
■三菱UFJ <8306> 591.7円 -23.8 円 (-3.9%) 本日終値
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>が売りに押される展開。米長期金利が再び上昇傾向にあり、前日に米10年債利回りは一時1.77%まで上昇する場面があった。これを背景に米国株市場ではゴールドマン・サックスやシティグループなどが2%近い上昇をみせるなど大手金融株が買われている。東京市場でもメガバンクは米国事業における運用利ザヤの拡大期待が株価にプラス材料となるが、三菱UFJは前日に欧州子会社で米国顧客との取引に関し損失が発生した可能性があることを発表しており、これが売りを誘発する材料となった。国内大手金融機関は、米投資会社アルケゴス・キャピタルに絡む影響も警戒されており、米長期金利の上昇がこれまで通り素直に株高材料に反映されにくい局面となっている。
■コマツ <6301> 3,419円 -60 円 (-1.7%) 本日終値
コマツ<6301>が5日ぶりに反落。バイデン米大統領が31日に発表するインフラ投資などの新たな経済政策は建機大手の同社株にはプラス要因に働くとの観測から株価は上昇基調にあるが、きょうは利益確定売りが膨らみ一服状態となっている。この日発表された3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.9と2月に比べ1.3ポイント上昇し市場予想(51.0)も上回ったが、株価の反応は限定的だった。
株探ニュース