【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):アンジェス、ツガミ、塩野義
ツガミ <日足> 「株探」多機能チャートより
メディシノバ・インク<4875>がストップ高。同社は10日取引開始前、化学ガス暴露脅威の治療法の共同開発のために米国保健福祉省(HHS)・米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)と提携合意したことを発表、これを材料視する形で投資資金が集中した。株価は2月上旬に705円の高値をつけた後は漸次水準を切り下げる展開にあったが、時価は高値から17%近く水準を切り下げた位置にあったことで、値ごろ感も働いている。
■アンジェス <4563> 1,065円 +125 円 (+13.3%) 本日終値
アンジェス<4563>が急反騰。株価は2月下旬に下放れ、前週後半から終値で4ケタ大台も下回っていたが、きょうは満を持して切り返し急となっている。きょう取引開始前に開発中の新型コロナウイルスDNAワクチンの第2/3相臨床試験において関西及び関東の8施設で500症例の接種を完了したことを発表、これが株価を強く刺激する材料となった。
■ツガミ <6101> 1,600円 +89 円 (+5.9%) 本日終値
ツガミ<6101>やオークマ<6103>、牧野フライス製作所<6135>それにファナック<6954>といった工作機械株が高い。日本工作機械工業会が9日発表した2月の工作機械受注額・速報値は前年同月比36.7%増の1055億5300万円と大幅な伸びとなった。特に、外需は同66%増となり受注金額は好不況ラインと呼ばれる1000億円を上回った。中国向け需要の拡大などに牽引されており、設備投資需要の回復が好感される格好で工作機械株には見直し買いが流入している。
■イーレックス <9517> 1,805円 +89 円 (+5.2%) 本日終値
イーレックス<9517>が大幅反発。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が9日付で同社の投資判断「Buy(買い)」を継続し、目標株価を1900円から2200円へ引き上げたことが好材料視された。レポートでは、3日に発表した通期計画の上方修正により、JEPXの価格変動リスクを軽減する同社の電力小売部門の堅実性が証明されたと評価。また、販売電力量は高圧部門、低圧部門ともに今後も成長が可能とみるほか、発電部門は今年7月に運転開始する沖縄中城発電所が来期業績の押上げ要因になると指摘している。
■三櫻工業 <6584> 1,167円 +55 円 (+5.0%) 本日終値
三櫻工業<6584>が大幅高で3連騰、6%を超える上昇で1180円台に歩を進め、昨年1月7日につけた昨年来高値1239円の約1年2カ月ぶりとなる更新が視界に入ってきた。自動車用チューブや配管部品で国内シェア40%前後と高い競争力を誇っている。出資先の米ベンチャー企業による全固体電池分野への展開などが折に触れ材料視されるほか、自動車業界向け以外でも富士通<6702>と理科研が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」の重要部分である冷却回路に三桜工の「冷却水用樹脂配管製品」が搭載されるなど、確かな商品技術力が評価されている。業績は売上高、利益ともに21年3月期が大底と見られており、世界新車販売台数の急回復を追い風に22年3月期営業利益はV字回復を予想する声が強い。
■日進工具 <6157> 2,946円 +120 円 (+4.3%) 本日終値
日進工具<6157>が大幅高で5日続伸。9日の取引終了後、3月31日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表しており、これが好感された。株式の流動性の向上及び投資家層の拡大を図ることが目的という。
■ウェルビー <6556> 1,465円 +55 円 (+3.9%) 本日終値
ウェルビー<6556>が大幅続伸。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が9日付で同社の投資判断「Buy(買い)」を継続しており、これを好材料視する買いが入った。レポートでは、高い成長性と収益性は株価に十分に織り込まれていないという見方に変更はないと強調。先行きの不透明要素であった21年4月報酬改定は、障害者の就職実績が高い事業所の単価を高く設定する方向性が改めて示されており、同社にとって明るい内容としている。注目点には今後3年の出店動向を挙げた。なお、目標株価は前回の2500円から2400円に引き下げている。
■塩野義製薬 <4507> 5,925円 +186 円 (+3.2%) 本日終値
塩野義製薬<4507>が後場一段高に買われた。きょう12時30分に、資本参加している英ViiV HealthcareがCabenuva(カボテグラビル及びリルピビリン)のATLAS-2M試験について、96週時点の良好な結果を発表したことを明らかにしており、これを好感する買いが入った。今回の試験結果で、2カ月に1回のCabenuvaの投与により、HIV感染患者が96週においてもウイルス抑制を維持できることが示された。この結果は、今後患者の利便性が更に向上することで、HIV治療におけるパラダイムシフトが起こる可能性を示唆しているとしている。
■富士通 <6702> 15,695円 +490 円 (+3.2%) 本日終値
富士通<6702>が続伸。2月下旬以降は上げ下げを繰り返しながらも徐々に下値を切り下げてきたが、きょうはマドを開けて上値を指向、25日移動平均線とのマイナスカイ離を解消する動きをみせている。民間企業や各省庁・地方自治体など、官民を問わず業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進する動きが本格化しているが、ビッグデータ時代にそれを利活用するためのITインフラも重要視され、そのなかスーパーコンピューターなど日本の技術力に改めて光が当たっている。同社は理化学研究所と共同で開発を進めてきたスーパーコンピューター「富岳」が前日(9日)に完成したことを発表、この日を起点に富岳は学術・産業分野向けでの活躍が大いに期待される状況にある。これを背景として同社株には機関投資家とみられる大口の買いが流入している。
■USENHD <9418> 1,900円 +58 円 (+3.2%) 本日終値
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>が反発。10日付の日本経済新聞朝刊で「USEN-NEXT HOLDINGSの2021年8月期の連結営業利益は、前期比3割増の145億円強になりそうだ」と報じられており、これが材料視された。記事によると、巣ごもり需要の高まりで動画配信サービスが伸びるうえ、主力の飲食店など向けの店舗サービスでは、人件費や業務委託費などのコストの抑制が増益要因となるという。会社計画の110億円を大幅に上回る観測で期待感が高まっているようだ。
株探ニュース