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【特集】再生エネを需給調整せよ!出番到来の「スマートグリッド」関連株 <株探トップ特集>

脱炭素社会の実現に向けて再生エネの導入機運が高まっているが、天候に左右され供給量が不安定になりやすいことが問題点。これを解決する手段として再注目されているのがスマートグリッドだ。

―太陽光や風力の導入促進で再注目、次世代のエネルギー供給網で課題解決へ―

 温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目標にする動きが世界的に広がっている。欧州連合(EU)や中国などが既に表明しているほか、日本も菅義偉首相が昨年10月に2050年の実現を宣言した。脱炭素社会を実現していくためには、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの更なる導入が必要となるが、再生エネは天候に左右され供給量が不安定になりやすいといった問題がある。そこで注目したいのが“賢い(smart)送電網(grid)”といわれる スマートグリッドだ。

●電力供給の安定化に寄与

 スマートグリッドとは、IT技術を駆使して事業者側と需要家側の双方の電力利用効率を最適化する技術の総称。具体的には、消費者の電力使用量と電力会社の発電量を監視し、消費者と供給者との間でリアルタイムに双方向通信を行うことによって、電力会社はピーク需要に合わせて柔軟な電力供給を行うことで停電などのリスクを回避でき、消費者側にとっても電力需要の削減や電気料金の低下につながるメリットがある。スマートグリッドは電力の需要と供給のバランスを制御する仕組みであることから、発電量が不安定な再生エネを活用した電力供給の安定化にも利用でき、化石燃料の消費を最小限に抑えることが可能になる。

 関連銘柄では、東光高岳 <6617> に注目したい。同社は次世代のエネルギーマネジメントシステムの構築・提供によって、スマートグリッド社会の実現に不可欠な電力系統の安定化を推進しており、そのひとつが電力系統出力変動対応技術研究開発事業。これは30年頃の再生エネの電力系統への大量導入を見据え、再生エネ設備の「出力予測」「出力制御」、また火力などの既存電源及び蓄電池などとの「協調運用制御」を行い、再生エネを最大限受け入れ可能な系統システムの構築を目指している。

 また、電力監視ソリューションを提供するアドソル日進 <3837> 、配電制御システム機器メーカーの戸上電機製作所 <6643> [東証2]、リアルタイムで消費電力量を把握することができるスマートメーター大手の大崎電気工業 <6644> 、電力系統の総合制御所システムなどを手掛ける正興電機製作所 <6653> も要マーク。

 3月3~5日にかけて東京ビッグサイトで開催される「スマートグリッドEXPO」では、朝日ラバー <5162> [JQ]が風車の効率や負荷の改善を目的とした「プラズマ気流制御電極」、オーナンバ <5816> [東証2]が太陽光発電所遠隔監視システム「PVU-Finder」などを紹介する予定となっている。

●需給バランスを調整するDR

 スマートグリッドを構築するうえでのキーテクノロジーとなるのが、電力の需給バランスを調整するための仕組みである「ディマンドリスポンス(DR)」だ。これは卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時に、電気料金価格の設定やインセンティブの支払いに応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力消費パターンを変化させるもの。需要を減らす(抑制する)下げDRと、需要を増やす(創出する)上げDRに区分される。

 ENECHANGE <4169> [東証M]は1月中旬から、子会社がLooop(東京都台東区)と共同開発した電気使用の需要変容を促す家庭向けDRの仕組みを活用したDR型節電をLooopでんき契約者を対象に開始。また、同社は2月上旬にDRリソースのマッチングプラットフォーム「エネチェンジDR」のサービスを開始することを明らかにした。

 このほか、ソフトバンク <9434> 子会社のSBパワーと九州電力 <9508> は昨年12月、家庭用DRサービスを通じて「スマホアプリによるDRサービス」の共同実証を行うと発表。東京電力ホールディングス <9501> 子会社の東京電力ベンチャーズは同月、九州エリアで行っていたDR事業を全国に拡大することを表明している。

●実証実験が進むVPP

 再生エネの普及がもたらす電力系統の不安定化問題に絡み、エネルギー資源を統合制御できるバーチャルパワープラント(VPP)の実証実験が進んでいる。VPPとは、域内に点在する再生エネ発電設備や蓄電池、電気自動車(EV)などをまとめて管理し、あたかも1つの発電所として機能させる仕組み。例えば、太陽光発電の出力が増えて電気が余った場合は、各家庭に設置されている蓄電池に充電することで電力消費を増やし、反対に供給力が不足した場合には蓄電池から放電するなどして需要側で需給を調整する。現在は出力側で需給が調整されるため、電力会社は一時的な電力需要を満たすための予備発電施設を持つ必要があるが、VPPが構築できればこうした設備はいらなくなり、建設費や整備費を抑えることが可能になる。

 注目は日本ユニシス <8056> が実施するVPP構築実証事業で、人工知能(AI)エンジンを活用した需要・発電予測の実証実験を行っているSREホールディングス <2980> だ。この実証実験では、SREHDがSaaS型AIクラウドサービスの開発・運用を通じて培ってきた技術や経験を生かし、電力業界向けに開発した大量の入力データに対する高速・高精度の需要・発電予測アルゴリズムを利用。発電予測モデルの精度を検証し、日本ユニシスによるリソース制御サービス提供時の実装を共同で目指す。

 横河電機 <6841> グループの横河ソリューションサービスは、出光興産 <5019> 及び神戸市水道局と地域協調型のVPP構築実証を開始。神戸市内の水道施設にあるポンプ(電力を消費する設備)と出光興産が設置する蓄電池を、高度なエネルギーマネジメント技術とデジタル技術により遠隔・制御することで、1つの発電所のように機能させる仕組みを構築することが狙いだ。

 東芝 <6502> 傘下の東芝エネルギーシステムズはこのほど、世界最大規模のVPP事業者であるドイツのネクストクラフトベルケと新会社を設立。日本国内を中心にVPP技術を活用し、再生エネ発電事業者や需要家、発電事業者を束ねるアグリゲーター向けに、計画値同時同量(発電事業者や小売電気事業者などが30分単位で発電計画と発電実績、需要計画と需要実績を一致させるように調整を行う仕組み)への対応や電力の需給調整市場における最適なトレーディング運用などの支援サービスを提供するとしている。

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