【通貨】為替週間見通し:上げ渋りか、パウエルFRB議長の講演などが手掛かり材料に
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■米長期金利上昇や株高を意識してドル買い強まる
今週のドル・円は強含み。新型コロナウイルスのワクチン普及ペースは加速し、経済活動拡大への期待が広がったことから、米長期金利は上昇し、米国株式は堅調に推移したことから、リスク回避のドル売り・円買いは後退し、ドル・円は一時105円台後半まで上昇した。バイデン米大統領が提示した大規模な追加経済対策を民主党が成立させる可能性が高まったことや、2月3日発表の1月ADP雇用統計(民間雇用者数)は予想以上に増加し、1月ISM非製造業景況指数の改善もドル買い材料となった。
5日のニューヨーク外為市場でドル・円は、105円77銭まで上昇した。この日発表された1月米雇用統計で失業率は6.3%まで低下したが、非農業部門雇用者数は市場予想を下回る前月比+4.9万人にとどまった。12月の非農業部門雇用者数は当初発表の-14万人から-22.7万人に下方修正されたことから、ドル・円は105円34銭まで下落し、105円39銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:104円61銭-105円77銭。
【来週の見通し】
■上げ渋りか、パウエルFRB議長の講演などが手掛かり材料に
来週のドル・円は、上げ渋る展開が予想される。10-12月期のユーロ圏域内総生産(GDP)は低調だったことから、欧州中央銀行(ECB)による緩和的な金融政策の長期化を想定したユーロ売り・米ドル買いが観測された。この影響でドル・円の取引でもドル買いが優勢となっている。バイデン政権による新型コロナウイルス救済法案(追加経済対策)成立への期待で長期金利は上昇していることや、ワクチンの購入資金としてドルの需要が見込まれていることも、目先的なドル買い材料になるとみられている。
ただ、105円台後半から106円台の価格帯では顧客筋からまとまった規模のドル売り注文が観測されており、もう一段のドル上昇を抑える可能性がある。米国の中長期的な金融政策も注目されている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2月10日にニューヨークで講演(オンライン)を行う予定となっている。FRB議長から楽観的な景気見通しが提示されず、景気回復の遅れや雇用について懸念が表明された場合、米長期金利は低下し、リスク選好的なドル買い・円売りは縮小する可能性がある。持続的なドル高につながる新たな材料が提供されなかった場合、ドルの上値は重くなる可能性は残されている。
【米・1月消費者物価コア指数(CPI)】(2月10日発表予定)
10日発表の1月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+1.5%と底堅い内容が予想される。ただ、米国の金融緩和政策は長期化が見込まれ、予想通りの数値でも市場反応は限定的となりそうだ。
【米FRB議長講演】(2月10日開催予定)
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10日にエコノミッククラブ・オブ・ニューヨーク主催のオンライン講演を行う。米国の景気見通しは引き続き不透明であることや、雇用回復の遅れなどについて懸念を示す可能性がある。
予想レンジ:104円00銭-107円00銭
《FA》
提供:フィスコ