【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):郵船、豊田通商、カカクコム
郵船 <日足> 「株探」多機能チャートより
日本郵船<9101>が後場上げ幅を拡大。この日正午ごろ、21年3月期の連結業績予想について、売上高を1兆4600億円から1兆5400億円(前期比7.7%減)へ、営業利益を300億円から570億円(同47.3%増)へ、純利益を350億円から900億円(同2.9倍)へ上方修正し減益予想から一転して増益予想としたことが好感された。定期船事業で、想定を大幅に上回る輸送需要により需給ひっ迫が継続し、オーシャン・ネットワーク・エクスプレスの収支は想定を上回っていることに加えて、航空運送事業で引き続き供給スペース不足による需給の引き締まりにより収支が良化していることが要因。また、物流事業が航空貨物取扱事業とロジスティクス事業の好況に支えられた収支で推移していることも寄与する。なお、同時に発表した第3四半期累計(20年4~12月)決算は、売上高1兆1459億円(前年同期比8.6%減)、営業利益479億5300万円(同47.7%増)、純利益523億6200万円(同2.8倍)だった。
■豊田通商 <8015> 4,480円 +225 円 (+5.3%) 本日終値
豊田通商<8015>が3日続伸し昨年来高値を更新。2日の取引終了後、21年3月期の連結業績予想について、最終利益を800億円から1200億円(前期比11.5%減)へ上方修正し、あわせて60円を予定していた期末配当を62円に引き上げると発表したことが好感された。第3四半期累計(20年4~12月)業績が、自動車関連ビジネスが想定よりも堅調に推移していることを受けて、計画を上振れたことが要因としている。なお、年間配当は112円となり、前期実績に対しては2円の増配となる予定だ。同時に発表した第3四半期累計(20年4~12月)決算は、売上高4兆4469億円(前年同期比12.1%減)、営業利益1433億4300万円(同12.6%減)、純利益893億7100万円(同23.3%減)だった。
■カカクコム <2371> 3,270円 +155 円 (+5.0%) 本日終値
カカクコム<2371>が底堅い動き。午前11時40分ごろに発表した第3四半期累計(20年4~12月)連結決算が、売上高377億6800万円(前年同期比16.5%減)、営業利益134億6900万円(同35.5%減)、純利益88億8900万円(同36.4%減)と大幅減益となったが、目先の悪材料出尽くし感から買われたようだ。価格.comのショッピング事業及びファイナンス事業で売り上げが増加した一方、価格.comのサービス事業、食べログ事業及び新興メディア・ソリューション事業における旅行・移動領域の各事業における売り上げが減少したという。なお、21年3月期業績予想は引き続き未定としている。
■TOA <6809> 912円 +41 円 (+4.7%) 本日終値
TOA<6809>が大幅高で4連騰と気を吐いた。きょうは一時8.7%高の947円まで駆け上がる場面があった。放送設備機器の大手メーカーだが、持ち前の技術力を生かし防犯カメラなどにも注力している。2日取引終了後、21年3月期の業績予想の修正を発表、営業利益は従来予想の7億円から18億円(前期比48%減)に大幅増額されたことでポジティブサプライズとなった。ほぼ1年前の昨年1月22日に昨年来高値1189円をつけ、その後はコロナ禍による業績不振を嫌気されて売り込まれた経緯がある。そのため株式需給面では信用買い残が払底した状態にあり、戻り売り圧力が希薄であることが足もとの株高を助長している。
■デクセリアルズ <4980> 1,517円 +64 円 (+4.4%) 本日終値
デクセリアルズ<4980>は大幅高で3日続伸し昨年来高値を更新。2日の取引終了後、21年3月期の連結業績予想について、売上高を610億円から645億円(前期比11.8%増)へ、営業利益を70億円から100億円(同2.2倍)へ、純利益を25億円から42億円(同53.6%増)へ上方修正したことが好感された。経済・社会のデジタル化進展により、ノートパソコン、タブレット、5Gスマートフォンを中心とするモバイルIT製品の需要が世界的に拡大し、モバイルIT製品で使われる同社製品の数量が上期に続いて伸びたことが要因。また、第4四半期においても堅調な製品需要が見込まれることも寄与するとしている。なお、第3四半期累計(20年4~12月)決算は、売上高491億9300万円(前年同期比9.9%増)、営業利益85億8500万円(同94.7%増)、純利益41億2600万円(同45.7%増)だった。
■デンソー <6902> 6,601円 +250円 (3.94%) 本日終値
デンソー <6902> が大幅に3日続伸。株価は連日人気に沸き一時6796円と18年2月以来、約3年ぶりの高値水準に上昇した。同社は2日の午前11時20分に21年3月期業績予想の増額修正を発表。今期の営業利益を1000億円から1500億円(前期比2.5倍)に見直した。自動車生産の回復で部品需要が伸びているが、同日開催された説明会では「22年3月期の売上高5兆5000億円、営業利益4500億円が視野に入っている」「トヨタ自動車<7203>の好調が続けば、売上高5兆7000億円、営業利益5000億円も無理ではない」との趣旨のコメントがあった模様。国内大手証券では、同社を「電動化筆頭銘柄」と評価しており、電気自動車(EV)など電動車へのシフトが追い風となるとみている。
■日本電気硝子 <5214> 2,477円 +100 円 (+4.2%) 本日終値
日本電気硝子<5214>が3日続伸。株価は1月20日以降一貫した上昇基調を示しており、日経平均が波乱展開を強いられた前週も個別に頑強な値運びをみせていた。前日2日引け後に発表した20年12月期通期決算は営業利益が前の期比9%増の176億6000万円と好調だったほか、21年12月期見通しについても前期比13%増の200億円と2ケタ成長を見込んでおり、これが株価上昇を後押しする格好となった。主力の薄型パネルディスプレー用ガラスが、7~9月期以降巣ごもりを背景としたテレビ向けや、企業のテレワーク導入加速による情報機器向けなどに伸びて業績に反映されている。
■三菱UFJ <8306> 498円 +19 円 (+4.0%) 本日終値
三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>や第一生命ホールディングス<8750>などに買いが集まった。前日の米国株市場ではゴールドマン・サックスが4.5%高に買われるなど大手金融株の上昇が目立った。米国長期金利が再び上昇基調を強めており、米10年債利回りは前日終値ベースで1.10%まで上昇、これが銀行株などに追い風となった。東京市場でも米国事業を展開するメガバンクや大手生保には買い材料として意識された。なお、三菱UFJの決算はあす4日に予定されている。
■パナソニック <6752> 1,434.5円 +53 円 (+3.8%) 本日終値
パナソニック<6752>が続伸。注目された同社の20年4~12月期決算は売上高が前年同期比15%減の4兆8732億8900万円、最終利益が同27%減の1301億4200万円だったが、直近四半期である10~12月期でみると改善色が鮮明となった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に落ち込んだ車載情報機器事業が想定を上回る回復を示し、家電部門も巣ごもり消費需要に後押しされる形で収益に貢献している。これを受けて、21年3月期通期業績予想の上方修正を発表、売上高は従来予想の6兆5000億円から6兆6000億円(前期比12%減)に最終利益は1000億円から1500億円(同34%減)に増額した。これを好感する買いが優勢となった。株価は前週後半から急速な調整を入れたが、押し目買い意欲は強く、決算発表に先立って25日移動平均線を足場にきれいに切り返しに転じており、1月27日につけた昨年来高値1476円を意識する場面も予想される。
■日本酸素HD <4091> 2,137円 +78 円 (+3.8%) 本日終値
日本酸素ホールディングス<4091>が大幅高で3日続伸。2日の取引終了後、21年3月期の連結業績予想について、営業利益を820億円から830億円(前期比9.9%減)へ、純利益を440億円から481億円(同9.8%減)へ上方修正したことが好感された。新型コロナウイルスの感染拡大長期化による需要回復の遅れを受けて、売上高は8300億円から8020億円(同5.7%減)へ下方修正した。ただ、出張旅費の減少や各種コスト削減に加えて、生産性向上に取り組んだことなどが寄与する。なお、第3四半期累計(20年4~12月)決算は、売上高5922億5600万円(前年同期比6.5%減)、営業利益631億5400万円(同12.2%減)、純利益373億1800万円(同9.8%減)だった。
株探ニュース