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【特集】ネットイヤ Research Memo(3):2021年3月期第2四半期以降の受注は回復傾向に


■業績動向

1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要
ネットイヤーグループ<3622>の2021年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比3.5%減の2,197百万円、営業損失が298百万円(前年同期は273百万円の損失)、経常損失が299百万円(同273百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が289百万円(同277百万円の損失)となった。コロナ禍により一部の受注見込み案件の成約に時間がかかったこと、子会社のソーシャル広告案件の受注がクライアントの広告予算絞り込みの影響を受けて減少したことが要因だ。特に、緊急事態宣言が発出された第1四半期において、商業施設の閉鎖や映画・テレビ番組の公開延期等があり、SNSを使ったキャンペーン案件が中止となったことが響いた。

売上原価率は前年同期の91.6%から93.3%に上昇した。売上高を確保するため、短納期ではあるものの採算の低い小・中規模案件の受注を取りにいったことが要因だ。このため売上総利益は前年同期比43百万円の減益となった。コロナ対策として2020年4月よりテレワークを義務化したことにより、オフィス関連経費や交通費等を中心に販管費が同17百万円減少したものの売上総利益の減少をカバーできず、営業損失は25百万円拡大する結果となった。

会社別で見ると、同社個別業績は売上高で前年同期比3%減となり、営業損失は販管費の圧縮効果で5百万円の拡大にとどめた。一方、トライバルメディアハウスは売上高で同5%減となり、営業損失は同20百万円拡大した。なお、同社の業績は例年、売上の検収時期が第4四半期に集中する季節要因があるため、第3四半期までは営業損失が続く傾向にある。第2四半期(7月~9月)の業績を見ると、売上高は前年同期比7.0%減の1,188百万円、営業損失は72百万円(前年同期は50百万円の損失)と引き続き低迷しているが、これは第1四半期の受注が大きく減少した影響が大きい。第2四半期以降は受注も徐々に回復しているもようで、下期は収益も上向くものと予想される。

なお、同社は以前からテレワークを推奨しているが、4月以降は派遣を含む全従業員へ推奨し、業務時間のコアタイム廃止、テレワークによる一時金及び手当の支給を実施している。2020年9月のテレワーク率は87.5%(全従業員の出社日数÷勤務日数)に達しており、管理部門の一部が出社している以外、事業部ではすべてテレワーク体制となっている。テレワークによる生産性が懸念されたが、特に問題なく移行できたようで、逆に移動時間を業務時間に充てることができるようになるなど、生産性の向上が期待できるようだ。今後もテレワーク体制を継続することから、オフィスの在り方を含め、勤務環境の全面見直しを行う予定にしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

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