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【特集】迫る「老老介護」危機、存在感増す関連銘柄に再評価機運 <株探トップ特集>

老老介護の割合が6割に迫るなか、介護関連サービスを手掛ける企業へのニーズが増しており、株式市場でも投資対象として注目を集め始めた。

―超高齢化社会で深刻化する介護問題、サービス提供企業にマーケットの熱視線―

 高齢化と核家族化が進むなか、社会全体の課題となっているのが介護問題だ。総務省によると、今年9月時点で65歳以上の高齢者は3617万人と過去最多で、総人口に占める割合は28.7%と過去最高を更新。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971~74年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には35.3%になると予測されている。こうした状況下、より深刻になっているのが高齢者同士による「老老介護」の問題で、介護関連企業には今後より一層の需要が見込めそうだ。

●老老介護6割に迫る

 厚生労働省は7月、19年の国民生活基礎調査の結果を公表した。介護状況の調査で、要介護者と同居する主な介護者との組み合わせを年齢別に分類したところ、介護をする側と受ける側が互いに65歳以上の老老介護の割合は59.7%と、16年の調査から5ポイント上昇。このうち互いが75歳以上の割合も約3ポイント上昇の33.1%となり、ともに01年以降で最も多くなっている。

 背景には諸外国に例をみないスピードで高齢化が進んでいることや、子供が独立して別居する世帯が増えたことによる核家族化に加え、医療の進歩によって平均寿命と健康寿命(介護を受けたり寝たきりになったりせず日常の生活を送れる期間)との差が拡大し介護を必要とする期間が長くなっていることが挙げられる。内閣府が7月に公表した20年版「高齢社会白書」によれば、平均寿命は01年から16年の間に男性が2.91歳、女性が2.21歳(16年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳)に延びている一方、同期間の健康寿命の延びは男性2.74歳、女性2.14歳(16年の健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳)にとどまっている。

 老老介護では介護者も高齢であるため、体力が落ちた状態で介護を行わなければならない問題があるほか、ストレスによる精神面への負担も大きく、限界が来れば介護者本人も第三者のサポートがないと生活できない、いわゆる共倒れ状態になるリスクがある。こうした問題に対して政府は、団塊の世代が75歳以上となる25年をメドに、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を目指しているが、問題解決には民間企業が提供するデイサービスや訪問介護などの利用が欠かせない。厚労省が21年度予算の概算要求で「安心で質の高い介護サービスの確保」として3兆3571億円(20年度当初予算は3兆3557億円)を計上していることもあり、関連銘柄に改めて注目してみたい。

●在宅系サービス企業に注目

 ケア21 <2373> [JQ]は関西を地盤に訪問介護や老人ホームなどを展開。足もとでは施設系事業所の稼働率が想定を上回って推移しているほか、在宅系介護事業も新規利用者獲得の施策効果などで堅調に推移しており、9月4日には20年10月期通期の連結営業利益見通しを前期比15.4%増の13億円(従来予想は9億円)に引き上げた。

 セントケア・ホールディング <2374> は訪問介護事業が主体で、新型コロナウイルスの感染拡大を機に訪問入浴などのニーズが増えているとみられる。21年3月期第1四半期(4-6月)時点の連結営業利益は前年同期比40.7%増の5億9300万円と、通期計画20億2300万円に対する進捗率は29.3%となっており、11月9日に発表予定の第2四半期決算が注目される。

 ツクイホールディングス <2398> は在宅介護を主力に全国展開。直近9月のサービス利用状況は新型コロナの影響でデイサービスが前年同月比で微減となっている半面、訪問介護サービスや訪問入浴サービスは堅調に推移している。なお、21年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結決算は11月10日に発表される予定だ。

 ロングライフホールディング <4355> [JQ]が9月25日に発表した20年10月期第3四半期累計(19年11月~20年7月)の連結営業損益は6600万円の赤字(前年同期は1100万円の赤字)となったが、5~7月期に限れば9400万円の黒字。事業拠点の収益力向上に注力したことなどが功を奏し、在宅介護事業が順調に伸びている。

 このほか、関西を中心に老人ホームを展開するチャーム・ケア・コーポレーション <6062> 、精神疾患に特化した訪問看護サービスを提供するN・フィールド <6077> 、リハビリ型デイサービス「レコードブック」を運営するインターネットインフィニティー <6545> [東証M]、通所介護併設の高齢者住宅を手掛けるSIホールディングス <7070> [JQG]、在宅型の病床「医心館」を展開するアンビスホールディングス <7071> [JQ]、多機能型介護施設「そよ風」を運営するユニマット リタイアメント・コミュニティ <9707> [JQ]などにも注目したい。

●配食サービスなどにも商機

 また、高齢者向け配食サービスをフランチャイズ(FC)展開するシルバーライフ <9262> のビジネス機会拡大も期待できそうだ。同社は「まごころ弁当」と「配食のふれ愛」の2つのブランドを手掛け、7月末時点で834店のFC店舗網を持つ。今期は50~60店の増加を計画し、期末の店舗数は890店前後と見込んでいる。

 加えて、福祉用具レンタル大手の日本ケアサプライ <2393> [東証2]、介護用品の製造・販売を行う幸和製作所 <7807> [JQ]、介護用ベッドの製造・販売専業のプラッツ <7813> [東証M]なども要マークだ。

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