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【特集】ホットリンク Research Memo(1):ソーシャルメディア広告市場の成長により、業績は飛躍期に入る可能性

ホットリンク <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ホットリンク<3680>はソーシャルメディアデータを活用したデジタルマーケティング支援サービスを主に展開するIT企業である。主要子会社として、大手ソーシャルメディアのデータアクセス権販売を行う米Effyis, Inc.(エフィウス)や、中国市場をターゲットとしたWebプロモーション支援サービス「トレンドPR」※1、中国向け越境ECサービス「越境EC X(クロス)」※2等を展開する(株)トレンドExpressがある。

※1 「トレンドPR」とは中国人消費者をターゲットに自社商品の販売拡大を目指す企業に対して、SNS上の口コミデータ分析をもとに、最適なプロモーション施策を立案し実行するサービスとなる。中国大手SNSのデータを利用できる強みを生かしたサービスで、マーケティングにかかる費用対効果を可視化できるほか、費用対効果も高いことが特徴となっている。
※2 「越境EC X」とは約45万店舗の日中間のソーシャルバイヤーや、大手ECモール「Taobao」の有力店舗、有力KOLなどを活用したプロモーション施策により、集客から物流までをワンストップでサポートするサービス。


1. 2020年12月期第2四半期累計業績の概要
2020年12月期第2四半期累計(2020年1月?6月)の連結業績は、売上高で前年同期比15.8%増の1,897百万円、営業損失で121百万円(前年同期は408百万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響で国内や中国で一部のプロモーション案件のキャンセル・延期が発生したものの、国内でのSNSマーケティング支援サービスが前年同期比96.7%と急成長しており、売上高は上期として過去最高を更新した。また、利益面でも増収効果に加えて2019年から取り組んできたコスト削減施策(事業の集中と選択、人員削減等)が奏功し、損失額が縮小した。

2. 2020年12月期業績見通し
2020年12月期の業績見通しは、コロナ禍における事業への影響を精査中であり、合理的な算定が可能となった段階で公表する方針としている。足元の状況について見れば、中国からのインバウンド需要に対するプロモーション案件の回復は見通しにくいものの、中国現地でのプロモーション案件が動き始めているほか、国内におけるSNSマーケティング支援サービスが2020年6月以降は回復トレンドに転じており、2020年12月期下期は上期を上回る売上高が期待できる。また、EffyisのDaaS事業についても2020年5月に世界最大級の知識共有プラットフォーム「Quora」を運営する米Quoraと独占的データパートナーシップを締結したこと、ソーシャルメディアデータの需要はグローバルで拡大基調を続けていることから下期以降も安定成長が見込まれている。このため、方向性としては第3四半期以降も増収基調が続くものと予想される。

3. 今後の成長戦略
同社は創業来、蓄積してきた「ビッグデータ解析技術」と、Effyisが持つソーシャルメディアに関する「世界規模のデータアクセス権」を保有する強みを生かして、国内におけるSNSマーケティング支援事業、並びにトレンドExpressで展開する中国市場におけるマーケティング支援事業にリソースを傾注し、高成長を目指していく方針を打ち出している。国内ではインターネット広告市場が年率2ケタ成長で伸びるなか、今後はソーシャルメディア広告が成長のけん引役になると見られ、同領域で強みを発揮する同社にとっては飛躍的な成長を遂げる好機となる。トレンドExpressが展開する中国市場においては、ソーシャルメディアの口コミ情報が個人の消費行動に与える影響が日本以上に大きい。中国大手SNS企業のデータをフルに活用できる利点を生かして、費用対効果の高いサービスを提供することで高成長を実現していく。Effyisについては、主要ソーシャルメディアのデータアクセス権のさらなる取得を進めていくほか、新たにダークウェブ※データを商品化すべく、2020年より先行販売&テストマーケティングを開始している。テロ対策等のデジタルリスクマネジメントを行う政府関係機関や企業に対してニーズがあると見られ付加価値も高く、今後の収益貢献が期待される商品として注目される。

※ダークウェブとは、通常のGoogleなどの検索エンジンで見つけることはできず、またChrome、Firefox、Safariなど通常のウェブブラウザで閲覧することができないウェブサイトのこと。犯罪組織などが利用するケースが多い。


■Key Points
・世界最大級のソーシャルメディアデータを収集・分析し、利活用できる体制を構築していることが強み
・2020年12月期第2四半期累計業績は売上高で過去最高を更新、事業構造改革の実行によって営業損失も縮小
・ソーシャルメディア広告の市場拡大と同社が持つ運用ノウハウを強みに日本と中国市場で高成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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