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【特集】和島英樹の「明日の好悪材料Next」~第13回
決算発表一巡、オンライン診療や物流、AI関連などをフォーカス
【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
8月14日分
8月17日分
8月18日分
8月19日分
8月20日分
決算発表シーズンが一巡し、手掛かり材料が減少してきた。そんな中でも、新型コロナウイルスで需要が増加しているオンライン診療や、ネット通販増で物流の増加などに関連する発表があった。ワクチン関連、AIなどのテーマ性ある話題などもチェックしておきたい。
8月14日分メドレー<4480>
■好悪材料~上期経常は4.5億円で着地。通期計画の5億円に対する進ちょく率は90.6%となった
ヘルスケア向けの人材紹介が主力。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、オンライン診療システムの動向が刺激材料に。
2020年12月期の第2四半期(1~6月)は初開示のため決算短信上の前年比較はなく、売上高が35億6400万円だった。そして同社が重要視している経営指標のEBITDA(同社は営業損益+減価償却費・のれん償却費で算出)は5億2200万円、営業利益4億5200万円だった。
実質的には大幅な増収増益で、増収の主因は医療プラットフォーム事業のオンライン診療の利用医療機関数の増加だ。決算短信によれば、緊急事態宣言の全面解除以降、医療プラットフォーム事業においてオンライン診療の時限的な規制緩和が実施されたことを背景に、クラウド診療支援システムの「CLINICS(クリニクス)の利用医療機関が増加し、前期末に比べて66.0%増の1900件を突破したとする。なお、医療プラットフォーム事業は、全社共通費用配賦前のセグメント損益が2億5000万円の損失となっている。
収益源の人材プラットフォーム事業は顧客事業者数が前期末比で8.6%増となったこともありセグメント売上高が30億円、同損益が14億円となっている。
通期の業績予想に変更はなく売上高66億円(前期比38.5%増)~69億円(同44.8%増)、EBITDA5億円(同2倍)~8億円(同2.2倍)、営業利益3億3000万円(同2.2倍)~6億3000万円(同4.1倍)と予想している。EBITDAの第2四半期時点での進ちょく率は下限を既に超過、上限でも65.2%となっている。
■『株探』プレミアムで確認できるメドレーの通期業績の成長性推移
注:前年比は会社予想の中間値から計算
オンライン診療サービスでは、オプティム<3694>とMRT<6034>が共同で開発した遠隔医療健康相談「ポケットドクター」を2016年4月から展開しているほか、LINE<3938>とエムスリー<2413>が共同出資で2019年1月に設立した「LINEヘルスケア」がオンライン診療サービスに参入している。
またメドピア<6095>は傘下企業が遠隔医療のプラットフォームを手掛け、ブイキューブ<3681>は遠隔問診などのシステムも手掛けるなど、関連銘柄にも再度注目が集まる可能性がある。
17日分 CREロジスティクスファンド投資法人<3487>
■好悪材料~今期経常は33%増で2期連続最高益更新へ
50年以上物流専門で展開している「CRE」がスポンサーの物流系REIT(不動産投資信託)。決算は半年ごと。
2020年6月期の営業収益は20億3000万円(前期比28.5%増)、営業利益11億5100万円(同39.0%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)は3086円。
決算短信によると、物流の事業環境は通販・電子商取引の拡大とそれらに伴う宅配便取扱個数が増加、また商品の保管と運送を包括受託する3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)の利用拡大などに伴い、物流不動産に対する需要は引き続き強いなどとしている。
今後についても新型コロナへの留意は必要としつつも、通販や電子商取引のさらなる拡大や、荷主企業が「サプライ・チェーン寸断などの不測事態に備えた在庫量の積み増しが起きることに伴い、物流不動産の賃貸市場は今後も堅調に推移するとみている。
20年12月期の売上高25億8900万円(前期比27.5%増)、営業利益15億1300万円(同31.5%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)は3297円を見込む。なお、21年6月期の1口当たり分配金(同)は3205円の予想。
■CREロジスティクスファンド投資法人の実績および予想分配金の推移
出所:「Japan-reit.com」
物流系REITには、日本ロジスティクスファンド投資法人<8967>、三菱地所物流リート投資法人<3481>、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人<3493>、SOSiLA物流リート投資法人<2979>、産業ファンド投資法人<3249>、GLP投資法人<3281>、日本プロロジスリート投資法人<3283>、ラサールロジポート投資法人<3466>などがある。
8月18日分アンジェス<4563>
■好悪材料~新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンの第1/2相臨床試験のすべての接種が完了
遺伝子治療薬などを手掛ける創薬ベンチャー。
大阪大学などと開発中の新型コロナ向けのDNAワクチンについては、第1/2相臨床試験で全ての接種が完了した。
これにより、今後は接種間隔および接種回数等を検討する別の第1/2相臨床試験を実施する予定。その詳細は後日に報告するとしている。
またすべての第1/2相臨床試験の接種完了後、経過観察の上、初期データとしての試験結果を20年第4四半期(10~12月)に公表を予定している。
フォローアップ期間を含め予定試験期間は21年7月31日まで。8月7日には厚生労働省が公募した「ワクチン生産体制等緊急整備事業」に採択され、93億8030万円の交付が決まっている。
アンジェスが手掛ける新型コロナ向けのDNAワクチンは、製造がタカラバイオ<4974>、ダイセル<4202>が遺伝子導入法、医薬品開発支援機関がEPSホールディングス<4282>、前臨床での安全性は新日本科学<2395>などが担当している。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。
【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
8月14日分
8月17日分
8月18日分
8月19日分
8月20日分
決算発表シーズンが一巡し、手掛かり材料が減少してきた。そんな中でも、新型コロナウイルスで需要が増加しているオンライン診療や、ネット通販増で物流の増加などに関連する発表があった。ワクチン関連、AIなどのテーマ性ある話題などもチェックしておきたい。
8月14日分メドレー<4480>
■好悪材料~上期経常は4.5億円で着地。通期計画の5億円に対する進ちょく率は90.6%となった
ヘルスケア向けの人材紹介が主力。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、オンライン診療システムの動向が刺激材料に。
2020年12月期の第2四半期(1~6月)は初開示のため決算短信上の前年比較はなく、売上高が35億6400万円だった。そして同社が重要視している経営指標のEBITDA(同社は営業損益+減価償却費・のれん償却費で算出)は5億2200万円、営業利益4億5200万円だった。
実質的には大幅な増収増益で、増収の主因は医療プラットフォーム事業のオンライン診療の利用医療機関数の増加だ。決算短信によれば、緊急事態宣言の全面解除以降、医療プラットフォーム事業においてオンライン診療の時限的な規制緩和が実施されたことを背景に、クラウド診療支援システムの「CLINICS(クリニクス)の利用医療機関が増加し、前期末に比べて66.0%増の1900件を突破したとする。なお、医療プラットフォーム事業は、全社共通費用配賦前のセグメント損益が2億5000万円の損失となっている。
収益源の人材プラットフォーム事業は顧客事業者数が前期末比で8.6%増となったこともありセグメント売上高が30億円、同損益が14億円となっている。
通期の業績予想に変更はなく売上高66億円(前期比38.5%増)~69億円(同44.8%増)、EBITDA5億円(同2倍)~8億円(同2.2倍)、営業利益3億3000万円(同2.2倍)~6億3000万円(同4.1倍)と予想している。EBITDAの第2四半期時点での進ちょく率は下限を既に超過、上限でも65.2%となっている。
■『株探』プレミアムで確認できるメドレーの通期業績の成長性推移
注:前年比は会社予想の中間値から計算
オンライン診療サービスでは、オプティム<3694>とMRT<6034>が共同で開発した遠隔医療健康相談「ポケットドクター」を2016年4月から展開しているほか、LINE<3938>とエムスリー<2413>が共同出資で2019年1月に設立した「LINEヘルスケア」がオンライン診療サービスに参入している。
またメドピア<6095>は傘下企業が遠隔医療のプラットフォームを手掛け、ブイキューブ<3681>は遠隔問診などのシステムも手掛けるなど、関連銘柄にも再度注目が集まる可能性がある。
17日分 CREロジスティクスファンド投資法人<3487>
■好悪材料~今期経常は33%増で2期連続最高益更新へ
50年以上物流専門で展開している「CRE」がスポンサーの物流系REIT(不動産投資信託)。決算は半年ごと。
2020年6月期の営業収益は20億3000万円(前期比28.5%増)、営業利益11億5100万円(同39.0%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)は3086円。
決算短信によると、物流の事業環境は通販・電子商取引の拡大とそれらに伴う宅配便取扱個数が増加、また商品の保管と運送を包括受託する3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)の利用拡大などに伴い、物流不動産に対する需要は引き続き強いなどとしている。
今後についても新型コロナへの留意は必要としつつも、通販や電子商取引のさらなる拡大や、荷主企業が「サプライ・チェーン寸断などの不測事態に備えた在庫量の積み増しが起きることに伴い、物流不動産の賃貸市場は今後も堅調に推移するとみている。
20年12月期の売上高25億8900万円(前期比27.5%増)、営業利益15億1300万円(同31.5%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)は3297円を見込む。なお、21年6月期の1口当たり分配金(同)は3205円の予想。
■CREロジスティクスファンド投資法人の実績および予想分配金の推移
出所:「Japan-reit.com」
物流系REITには、日本ロジスティクスファンド投資法人<8967>、三菱地所物流リート投資法人<3481>、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人<3493>、SOSiLA物流リート投資法人<2979>、産業ファンド投資法人<3249>、GLP投資法人<3281>、日本プロロジスリート投資法人<3283>、ラサールロジポート投資法人<3466>などがある。
8月18日分アンジェス<4563>
■好悪材料~新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチンの第1/2相臨床試験のすべての接種が完了
遺伝子治療薬などを手掛ける創薬ベンチャー。
大阪大学などと開発中の新型コロナ向けのDNAワクチンについては、第1/2相臨床試験で全ての接種が完了した。
これにより、今後は接種間隔および接種回数等を検討する別の第1/2相臨床試験を実施する予定。その詳細は後日に報告するとしている。
またすべての第1/2相臨床試験の接種完了後、経過観察の上、初期データとしての試験結果を20年第4四半期(10~12月)に公表を予定している。
フォローアップ期間を含め予定試験期間は21年7月31日まで。8月7日には厚生労働省が公募した「ワクチン生産体制等緊急整備事業」に採択され、93億8030万円の交付が決まっている。
アンジェスが手掛ける新型コロナ向けのDNAワクチンは、製造がタカラバイオ<4974>、ダイセル<4202>が遺伝子導入法、医薬品開発支援機関がEPSホールディングス<4282>、前臨床での安全性は新日本科学<2395>などが担当している。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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