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【特集】窪田朋一郎氏【半年ぶり高値の日経平均、今後の注目点は】(1) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―週明け上昇一服場面も、為替動向を横目に買い場探し―

 17日の東京株式市場で日経平均株価は、5日ぶりに反落した。先週に日経平均は900円強上昇していただけに、いったん利益確定売りが優勢となった格好だ。日経平均は2万3000円の節目を抜け、半年ぶりの高値圏にある。果たして東京市場は、ここから一段高へ走るのか。今後の相場の注目点を、為替の動向を含めて専門家に聞いた。

●「日経平均上限は1月高値近辺、深押しにも警戒」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 日経平均株価は前週急速に水準を切り上げた反動で目先利益確定売り優勢の地合いとなっている。新たな買い手掛かり材料に不足する一方、足もとでは米中摩擦問題が重荷となっているほか、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に欧州の一部で入国制限の動きが出ていることなども上値を重くしている。

 現在の新型コロナについて米国では感染者数は依然として増勢基調に歯止めがかかっていないが、日本国内では感染第2波のピークは越えたようにも見受けられる。政府など政策サイドは医療崩壊につながらない限りは、ロックダウンするような経済的規制は見送る方針にある。ただし、冬場には感染第3波が予想され、その規模はかなり警戒を要する可能性が高く、楽観は禁物といえそうだ。

 米大統領選については、現時点調査ではバイデン氏有利が続いているようだが、実際のところはほぼ五分五分といってよいだろう。どちらに転んでも米国株市場は相応に織り込みが進んでおり、中期的観点に立ってそれほど株価のトレンドを変えるような要素には乏しいとみている。NYダウは中長期的にも上値余地はここから10%程度にとどまるとみており、3万ドルの大台に届く前に天井をつける公算が大きい。

 日経平均の向こう1ヵ月程度のタームでみたゾーンは、仮に強気相場が加速しても1月の高値2万4115円(ザラ場ベース)近辺が上限だろう。また、下値については米中摩擦の行方次第で2万2000円台を割り込むような深押しもあり得るとみている。

 ここからの物色対象としては、巣ごもり関連でゲームセクターに資金が集まりやすい。任天堂 <7974> やソニー <6758> などは引き続き上昇余地がありそうだ。このほか、世界的な量的緩和環境が当分の間続くことを考えると、金市況も依然として上値の可能性を内包している。純金上場信託(現物国内保管型) <1540> [東証E]、SPDRゴールド・シェア <1326> [東証E]、金価格連動型上場投資信託 <1328> [東証E]などのETFに投資妙味があるとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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