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【特集】「巣ごもり消費」新旋風、上昇メガトレンドに乗る“極撰株リスト” <株探トップ特集>

新型コロナの感染拡大に歯止めがかからないなか、企業業績も厳しい環境を強いられているが、在宅消費で特需を受ける企業も少なからずある。新たな風が吹き始めた巣ごもり関連の有望株を厳選した。

―ウィズコロナ環境で個人消費つかみ取り、勝ち組企業の株価はここまで上がる―

 世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況となっている。世界経済に与える影響の大きさなど、最もその動向が注目される米国では、感染第1波に収束の兆しが見え始めてきたとはいえ、依然として1日当たりの新規感染者が4万人を超える規模で全く楽観は許されない状況にある。ここからのトランプ政権の政策的対応も含め、新型コロナの動向が11月の大統領選の結果を左右することは必至だ。累計感染者数で米国に次ぐ規模となっているのがブラジルで7日平均の新規感染者数も4万人超となっている。このほか13億5000万人の人口を擁するインドでも感染者数の増加が深刻な状況だ。直近、世界の累計感染者数は1900万人を超えてきた。そして、これまで比較的新型コロナへの感染度合いが軽微とみられていた日本でも全国的な広がりが徐々に明らかとなっており、警戒ムードが急速に高まっている。

●外出自粛で生まれる新たな消費トレンド

 ワクチンや治療薬の開発に期待が募るところだが、これは一朝一夕にはいかない。上市までの道のりは長く、トランプ大統領は11月初旬までのワクチン実用化の可能性に言及したが、安全性の確認などを考慮すれば、常識的には早くても来年以降だ。当分の間は、規制の有無に関わらず人はみな自らの身を守るため外出自粛の動きを強めることになる。これが個人消費全般を低下させる背景となっていることは確かだが、一方ではこうした家にこもる“巣ごもり”が促される環境にあって、新たに喚起される消費需要も多方面で観測されるようになっている。

 日本政府が打ち出した2020年度補正予算は第1次、第2次の合計で200兆円を超えた。一般会計の追加歳出額で57兆円。これはあのリーマン・ショック時のおよそ4倍にあたる。現金給付一律10万円ばかりに目が行きがちだが、それ以外にも回りまわって消費を支える礎となり得る経済へのカンフル剤は驚くべき規模で注入されたのだ。そして、これまでとは違ったパターンで消費を牽引する業態が現れた。コロナ禍にあっても、従来とは異なり在宅のままモノやサービスを消費するという形で、一部の企業の収益が押し上げられた。今週7日に佳境を迎えた四半期決算発表だが、これまでの経緯を振り返れば、随所にそれが映し出され明暗が分かれたことが確認できる。

●巣ごもり化で食品業界にうれしい誤算!?

 まず、在宅時間の増加は食品産業にこれまでとは違った風を吹かせた。日清食品ホールディングス <2897> は今月5日に20年4-6月期の決算を発表したが、営業利益は何と前年同期比2倍となる174億5200万円となった。これは巣ごもり消費のニーズが、同社が主力展開する即席麺の販売を強烈にプッシュしたためだ。株価はその後、大きく水準を切り上げ連日で上場来高値を更新、1万円大台替えから更に上値をうかがう展開にある。

 またマーケットの耳目を驚かせたのが、押しも押されもせぬ醤油のトップメーカー、キッコーマン <2801> 。4-6月期の営業利益は前年同期比8%減と減益だったものの、市場コンセンサスを上回ったことで一気にショートカバー(空売りの買い戻し)が進んだ。日本国内のみならず世界的な内食志向の高まりが、家庭で使う醤油の需要を喚起しており、これが想定を上回っているという評価が同社株急騰の原動力となった。株価は決算発表翌日にストップ高に買われる異彩人気を博した。

●レジャー分野でも“おうち時間”が浸透

 このほか、巣ごもり消費はレジャー分野に流れ込む資金の方向性も大きく変えた。外出してお金が使いにくくなった分、オンラインゲーム や家庭用ゲームにつぎ込もうという動きが顕在化した。“おうち時間”をゲームや電子書籍 動画配信などで楽しもうということだが、これが強力な追い風となり収益を一変させた企業が相次いでいる。

 例えばディー・エヌ・エー <2432> などはその一角だ。SNS運営のほかゲームやネット通販、ライブ配信事業などに多角的に展開し、言わずと知れた球団オーナー企業でもある。4-6月期営業利益は前年同期比5.4倍の125億7000万円と急拡大。これはスマートフォンゲームが海外で好調だったことや、ライブ配信サービスが利益に貢献しており、今後も巣ごもり消費の構造的な恩恵にあやかれるとの思惑が投資マネーの食指を動かせた。発表翌日に株価は大きくマドを開けてストップ高カイ気配に張りつく大人気となった。

 更にゲーム関連セクターの大御所といえば「ニンテンドースイッチ」で業界地図を塗り替えた任天堂 <7974> である。同社が6日取引終了後に発表した4-6月期決算はトップラインが前年同期比2.1倍の3581億600万円と倍増、増収効果を存分に映して営業利益は同5.3倍の1447億3700万円と大変貌した。株価は好決算先取りで事前に水準を切り上げていたにもかかわらず、決算発表翌日は寄り付き時点で2000円を上回る上昇、約1ヵ月ぶりにフシ目の5万円大台を突破した。ニンテンドースイッチが売れに売れて払底状態となっているほか、スイッチ向けソフト「あつまれ どうぶつの森」が爆発的ヒットとなり業績の急拡大に寄与している。また、巣ごもり需要の特性を反映してゲームソフトのダウンロード販売が活況で収益を押し上げた。

巣ごもり消費で上値期待膨らむ特選5銘柄

 こうした、新型コロナの影響を逆手にとって収益を伸ばす企業群は株式市場でも注目を浴び、株価の上昇パフォーマンスにつなげていくケースが目立つ。中小型株であれば、なおさら上げ足は速くなるのが道理だ。今回は巣ごもり消費を取り込み、株価と収益を変貌させる可能性を内包する5銘柄を抜粋した。

◎スーパーバリュー <3094> [JQ]

 東京・埼玉など首都圏で食品スーパー 及びスーパーとホームセンターの複合店を展開している。新型コロナの感染拡大は外食産業に打撃を与えたが、その一方で内食志向の高まりが同社など食品スーパーには追い風となっている。生鮮食品などの売れ行きが伸びており、21年2月期業績は営業利益を従来見通しの2億円から9億4500万円(前期は9億2700万円の赤字)に大幅増額修正しサプライズとなった。在庫適正化によるロス削減に注力し利益率改善を果たしている。株価は1000円近辺で売り物をこなし再騰前夜、7月7日につけた年初来高値1308円奪回を目指す。

◎ドリコム <3793> [東証M]

 スマートフォン向けゲームなどモバイル向けアプリの企画・開発を主に手掛ける。前期に譲受した新感覚スマホRPG「ぼくとドラゴン」が好調。また、位置情報×3DリアルマップによるARスマホアプリ構築プラットフォーム「AROW」はARアプリ開発支援ツールで21年度中の商業化を目指している。今後はバンダイナムコグループとの事業連携などにも期待がかかる。20年4-6月期は営業利益段階で前年同期比4.9倍の6億2300万円と大変貌、これは20年3月期の通期実績6億1700万円を既に上回っている。5月21日の戻り高値790円クリアから中勢4ケタ大台を指向。

◎セプテーニ・ホールディングス <4293> [JQ]

 独立系ネット広告代理店でスマートフォン向けアプリなども手掛ける。子会社にマンガコンテンツ事業を手掛けるコミックスマートを擁し、巣ごもり消費需要を捉えるが、同子会社はスタートアップGaudiy(東京都渋谷区)と提携しパブリック・ブロックチェーン技術を活用した「データ所有型電子書籍」の世界初となる実現に向け取り組んでいる。これはユーザーがデータを所有することができ、自律分散型の流通システムを構築できる。つまり、ユーザーは紙の本と同様に書籍を売買できるというもので、今後の展開に注目が集まるところだ。株価は直近動意含みだが、250円近辺と低位にあり値ごろ感に着目した買いが流入しやすい。

◎マーベラス <7844>

 オンラインゲームや家庭用ゲームソフトの企画開発や販売のほか、音楽や映像コンテンツの企画制作を手掛ける。アニメなどを中心に多彩なエンターテインメントコンテンツを多角的な事業領域で展開する。新型コロナの影響による外出自粛の動きはモバイルゲーム市場には追い風となっている。スマホゲームの新作タイトルが順調に立ち上がっているほか既存タイトルも好調を堅持、ゲームソフト販売も好採算のリピート販売などが収益に貢献し、20年4-6月期営業利益は前年期比34%増と大幅な伸びを達成している。5月下旬につけた875円の年初来高値更新も有力視され、目先調整場面は狙い目か。

◎ショクブン <9969> [東証2]

 夕食材料を主力に介護食にも展開する食材宅配の大手で、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛の動きがフォローの風となっており、消毒体制の徹底などで顧客の信頼獲得に努め、需要開拓の機会を広げている。人工知能(AI)を使った配送ナビゲーションなどで業務効率も進めており、最近は利益体質の向上も顕著。20年4-6月期は売上高が前年同期比で微減ながら、野菜の仕入れ価格高騰にもかかわらず営業利益は同3.9倍となった。株価は7月末にかけ急速人気化し370円台まで上値を伸ばした後、調整を入れているが、75日移動平均線絡みの300円近辺はリバウンドの好機に。

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