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【特集】nms Research Memo(1):モノづくりの歴史的転換期を好機とし、成長基盤を構築中

nms <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

nmsホールディングス<2162>は、歴史に刻まれる事業環境の大変化を好機とし、攻めの施策で成長基盤の構築を図っている。3つの事業と日本、中国・香港、ASEAN、米国及びメキシコの拠点を組み合わせた商品・役務サービスの提供により、アフターコロナの新常態を好機とする成長基盤の構築に取り組んでいる。

1. 2020年3月期の業績:HS事業とPS事業の収益力回復で67.8%の営業増益
2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比8.4%増の62,611百万円、営業利益が同67.8%増の920百万円となった。HS事業とPS事業が収益性を回復したことが、大幅増益に寄与した。HS事業は、前期立ち上げた物流3PL受託・テクニカル流通加工と技術者派遣専門会社、海外事業の収益改善が進んだ。EMS事業は、工作機械関連需要減やベトナム・メキシコ拠点の立ち上げコストで大幅減益となった。PS事業は、抜本的コスト構造改革を断行し、部材価格高騰の売価是正効果もあり増益となった。第4四半期(1月-3月期)は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により国内外で人の移動が制限されたうえに、各国政府の方針に則り工場の操業停止を余儀なくされ、業績が計画を下回った。

2. 2021年3月期の業績予想:現在精査中、後日公表
当期の期初予想は、未公表となっている。海外との人の移動の制限が緩和・撤廃される時期や顧客の生産計画が固まらないと、合理的な予想を立てるのが困難なためだ。大まかには、上半期に大きな影響を受け、下半期に回復するというシナリオになる。製造業におけるリカバリー生産の程度を注視している。

3. アフターコロナの新常態を好機とする成長基盤を構築中
日本のモノづくりは、「人材不足」「サプライチェーンの国内外バランス強化」「製造業のファブレス化」に直面し、歴史的大転換期を迎えている。新型コロナウイルスによる感染者数と死者数は、米国が世界で最もひどく、米中貿易摩擦を激化させる要因となっている。日本では2020年4月に「同一労働同一賃金」が大企業に適用になったが、対応が進んでいない。同社グループは、「人材ビジネス」×「モノづくり」の強みを最大化させて、アフターコロナに向けた成長戦略を策定中である。HS事業は、請負・受託の事業規模を拡大、ASEANにおける事業基盤を増強、技術者派遣専門会社の機能強化を図る。EMS事業は、設計開発・生産技術・自動化技術を横へと展開し、顧客ニーズに応じてHS事業の請負・受託をPRする。国内生産回帰の動きもあり、海外拠点との連携、HS事業の請負・受託事業とのシナジー創出など、国内生産拠点の機能再定義を行う。PS事業は、製品ポートフォリオの見直し、ASEANにおける拡販、安心安全技術を生かした分野の拡大を図る。アフターコロナのデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応した働き方改革を進めている。

■Key Points
・2020年3月期は営業利益が前期比67.8%増
・8月の第1四半期決算発表時までに、通期予想を公表予定
・“アフターコロナ”に向け「人材ビジネス」×「モノづくり」の強みを最大化

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《EY》

 提供:フィスコ

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