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【市況】明日の株式相場戦略=新型コロナ第2波のインパクトを見極める

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
 2008年9月のリーマン・ショックを引き起こしたサブプライム問題は、見えない恐怖を嫌というほど世界の株式市場に与えたが、今回の新型コロナウイルス感染症においてはウイルス自体は見えなくても、感染者数の拡大という人間をフィルターにした目に見える恐怖が世界を席巻している。

 きょう(25日)の東京株式市場は、前日の欧米株急落を受けリスクオフの波に晒される形となった。米国では新型コロナの感染が収束に向かうどころか勢いを増しており、24日に新型コロナの新規感染者数が過去最多を記録したと伝わっている。スポットライトが当たっているのはニューヨーク州ではないが油断はできない状況で、市場関係者によると「田舎で当初は影響があまり見られなかったアリゾナ州が、1周遅れてかなりひどい状態になっている。また、カリフォルニア、フロリダ、テキサスの3州も新規感染者数の増加が顕著。仮にこの3州のいずれかがロックダウンなどということになると、米国株を経済回復期待で買ってきたこれまでのプロセスが吹っ飛ぶくらいのインパクトがある」(国内証券マーケットアナリスト)と警戒する。

 もっとも米国株市場でNYダウ が700ドルを超える2.7%あまりの下げをみせたのに対し、日経平均 の下げは274円(1.2%)安にとどまった。むしろ頑強ぶりを発揮したともいえるが、問題は今晩の米国株がどうなるかだ。日中の米株価指数先物を見る限りは大波乱という感じではないが、NYダウは前日に25日移動平均線を下回ってきており、仮にここから大きく下放れた場合は、東京市場も影響は避けられない。くしくもあすは実質月内最終商いで変化日でもあり、ここは改めて慎重に構えておくタイミングかもしれない。

 日経平均の動きと逆方向に連動するETFで個人投資家に人気のある日経ダブルインバース<1357>は、直近データで信用買い残が急増し1億1400万口を超えた。過去最高水準であり個人投資家がいかに下値リスクを見込んでいるかということを証明している。だから下がりにくいという論法もあるが、果たしてどうなるか。この日経ダブルインバースの買い残は、野村の日経平均先物一手売りにそのまま反映されている。一方、先物の買い方に回っているのはソシエテとバークレイズだが、この売り買いの行方も注目されるところだ。

 個別では前日に取り上げた三櫻工業<6584>が大幅高で800円台乗せ。5日・25日移動平均線のゴールデンクロスも示現しており、一段の上放れに期待が募る。当面は5月29日に上ヒゲでつけた戻り高値867円を払拭できるかどうかがポイントとなる。全体相場の地合いにもよるが、きょうはFDK<6955>が連日のストップ高に買われるなど、古河電池<6937>の大化け相場から始まった次世代2次電池関連人気はひとつの潮流を形成しつつある。FDK、三桜工以外でも、きょうは足もとの業績がかなり厳しいにもかかわらず、機関投資家の戻り売り圧力に晒されにくいオハラ<5218>が株式需給の良さで買われた。投資テーマとしてマーケットの熱い視線が向いていることの証左でもある。

 このほか、人材派遣でシニアワークとシニアケアに特化した異色企業、キャリア<6198>が25日移動平均線をサポートラインに動兆しきりだ。同社も足もとの業績は厳しく、前週19日には株主優待制度の廃止を発表するなど向かい風が強く意識される環境にある。しかし、それを織り込んだうえでの今の株価トレンドは注目しておく価値がありそうだ。超高齢化が進む日本において“介護”は一つのキーワードとなっている。

 人材派遣関連では株価が200円未満と低位にあるジェイテック<2479>も強いチャートで意外性を内包する。自動車や半導体関連分野への技術者派遣を行うが、知財集約型の「技術商社」を標榜するだけあって、政府のデジタル・ニューディル推進の流れにも乗る。時価総額が小さい割に値動きの重い銘柄であるが、今のジリ高トレンドはマークしたい。また、新型コロナに強い業態としてはネット広告関連がある。目先はセプテーニ・ホールディングス<4293>やフルスピード<2159>などが強い動きを示しており要注目か。

 日程面では、あすは6月の都区部消費者物価指数(CPI)。東証マザーズ市場にコマースOneホールディングス<4496>が新規上場する。海外では5月の米個人所得・個人支出、6月の米消費者マインド指数(確報値・ミシガン大学調査)など。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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