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【特集】迫る株主総会シーズン、3密回避で急浮上する「バーチャル総会」関連株 <株探トップ特集>

6月は株主総会のシーズン。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、インターネットを通じた「バーチャル株主総会」の開催に向けた関心はかつてなく高まっている。

―遠隔地からの参加可能で株主重視のメリット、ハイブリッド参加型から普及も―

 6月の株主総会シーズンが迫ってきた。例年、今月下旬に総会開催はピークを迎える。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、決算発表が遅れた企業も多く、株主総会も後ろ倒しされ、7月以降にずれ込む企業も出てくる見通しだ。特に株主総会で密集・密閉・密接といったいわゆる「3密」を避けるため、オンラインを活用した「バーチャル総会」の実施に向けた動きも目立ち始めており、株式市場ではその関連株が注目されている。

●今年は26日がピーク、7月以降にずれ込む企業も

 東京証券取引所は、3月末時点で株式上場している20年3月期決算会社の定時株主総会開催日をまとめた。10日時点の集計結果(2278社)によると、最も多いのが6月26日で全体の32%にあたる747社、次いで25日の503社となっており、6月下旬に集中していることがわかる。従来であれば、6月第3週に実施していた企業を中心に日程が後ろ倒しにされ、結果的に昨年に比べ集中率は上がった格好だ。また、新型コロナウイルス感染症の拡大による決算・監査作業などの遅延に伴い、開催が7月以降にずれ込む企業が今のところ20社に上っているほか、開催時期は未定としている企業もある。コーポレートガバナンス・コードに従って、株主総会を「株主との建設的な対話の場」とするべく、招集通知の早期発送や早期Web開示などをはじめとして、各社が取り組みをこれまで進めてきていたが、その動きも後退しかねない。

 なお、定款で定時株主総会の議決権行使のための基準日が定められている場合、新型コロナウイルス感染症に関連して基準日から3ヵ月以内に定時株主総会を開催できないときは、新たに基準日を定めたり、公告をしたりする必要が生じることになる。この場合、剰余金の配当の基準日を改めて定める必要も出てくるため、会社側としても苦慮しており、速やかに株主総会を開催したいところだろう。

●大規模集会を避け「バーチャル株主総会」開催の機運も

 そんななか、株主総会に関して日本経済団体連合会(経団連)が感染の防止に向けて、来場者を少なく抑えて開催するよう検討することを呼びかけている。実際に、新型コロナウイルス感染症の拡大により、「3密」を避けるため大規模な集会の開催などの自粛が要請されるなか、定時株主総会の開催に際して、来場する株主の数の抑制や株主総会の会場における感染症対策の実施を検討している会社も多くみられる。

 とりわけ、新しい形の総会構想が生まれていることが注目されている。「ハイブリッド出席型バーチャル総会」と「ハイブリッド参加型バーチャル総会」がそれだ。株主がオンラインで株主総会に出席し、実際に出席している株主と共に審議に参加、決議にも加わるのが前者だ。一方、質問や動議を行うことはできないものの、現実には総会の現場にいない株主が中継動画を傍聴する形で「参加」するのが後者だ。

 先進的な形である「ハイブリッド出席型バーチャル総会」の開催を検討している会社は少数だがあるほか、ライブ配信的な色合いが強い「ハイブリッド参加型バーチャル総会」の実施を検討している会社は多く存在する。

●遠隔地からの参加可能などメリット、株主重視の姿勢表明にも

 リアルの株主総会を開催せず、取締役や監査役などと株主がすべてインターネットを用いて株主総会に出席する「バーチャルオンリー型」については、株主総会の場所を定めるという現行の会社法では解釈上難しいとの指摘もあるようだが、株主総会へのIT活用の第一歩として、「ハイブリッド参加型バーチャル総会」は今後増えてくることが見込まれる。近年のITの発展を踏まえれば、株主総会にインターネットを活用して遠隔地から参加することは容易にできるほか、これが実現してくることで、複数の株主総会を傍聴することができるようになるなど、投資家にとってもメリットが大きい。加えて、そこに「株主重視の姿勢」を見出せることから、バーチャル株主総会の積極的な導入は企業側にとっても差別化要因のひとつとなりそうだ。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によるテレワーク利用によって企業の運営方法が変わるなど新たな生活スタイルが意識されるなか、バーチャル株主総会に関連する企業への関心も高まることになるだろう。なお、ハイブリッド参加型バーチャル総会の実施を検討している企業は現時点で6%弱とみられており、今後の導入企業増加の流れを見据えれば、関連企業の成長余地は大きいと考えられる。

●ブイキューブは関連株の中核、アステリア、パイプドHDなど

 関連銘柄の中心とされるのが、今回の緊急事態宣言による外出自粛、それに伴うテレワーク需要の拡大で株価が急伸したブイキューブ <3681> だ。同社はアステリア <3853> と協業し、バーチャル株主総会において「報告聴講」、「質問」、「議決権行使」をワンストップで実現している。また、パイプドHD <3919> は、バーチャル株主総会を実現する「バーチャル株主総会ソリューション」を手掛けており、遠隔地からの「バーチャル出席」を実現したほか、議決権行使と集計がリアルタイムで可能とする特徴がある。

 Jストリーム <4308> [東証M]は、経営トップ訓示や従業員教育、Webセミナーなどの実施に最適なライブ配信に必要な動画コンテンツ管理やセキュリティーなどの配信設定、あらゆる端末で視聴を可能にするマルチデバイス対応、アナリティクス機能など、動画配信に必要な機能とワークフローを一元的に提供する。また、クシム <2345> [東証2]は金融情報サービスのフィスコ <3807> [JQG]およびCAICA <2315> [JQ]の子会社であるCAICAテクノロジーズ(東京都港区)と協業し、ハイブリッド型バーチャル株主総会(参加型)の導入に向けたサービスを展開する。

●ビーマップはシステム無償提供、TKPはライブ配信支援パッケージ

 ビーマップ <4316> [JQG]は、自社で開発したハイブリッド型バーチャル株主総会のためのシステムを無償提供することによって、上場会社による20年6月の定時株主総会の開催を支援している。

 ベクトル <6058> は、グループのIR Roboticsがイベントアプリ×Live配信サービスを展開するbravesoft社(東京都港区)と共同で、オンライン株主総会プラットフォームの共同開発・サービス提供を開始している。フューチャー <4722> は、米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが提供するWeb会議システムのZoomビデオウェビナーとフューチャーグループで独自に開発した株主認証システムを組み合わせた「バーチャル株主総会運営支援サービス」の提供を開始している。

 スペースマーケット <4487> [東証M]は、パートナー企業と業務連携によるオンラインイベントの支援サービスを開始しており、バーチャル株主総会を含むオンラインイベント(社員総会・ビデオカンファレンス・採用イベント・展示会・商談会・記者会見など)の企画設計を展開している。

 ティーケーピー <3479> [東証M]は、ハイブリッド型オンライン株主総会を総合的に支援する「株主総会ライブ配信支援パッケージ」の提供を開始。ライブ配信・オンデマンド配信に必要な機材・設備の手配から、事前リハーサル・前日・当日準備を含め当日まで、同社専門スタッフにより一括でサポートする。

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