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【特集】レジ袋有料化で再評価機運、風雲急の「脱プラ関連株」を買いあされ <株探トップ特集>

世界的にプラスチック使用の抑制が求められるなか、レジ袋削減の動きを背景に脱プラ関連株に再び光が当たりそうだ。要注目となる株価見直し余地の大きい銘柄を徹底追跡した。

―「プラスチック資源循環戦略」で再生利用に向けた政府の“本気”が浮き彫りに―

 レジ袋の有料化が迫ってきた。海洋プラスチックごみ問題などの解決が求められるなか、プラスチック利用の抑制を目指し7月1日からスタートする。株式市場はもちろんのこと、まさに“コロナ一色”ともいえる世情だが、 脱プラスチックも決して忘れてはならない地球規模の課題だ。レジ袋の有料化が接近するなか、改めてプラスチック削減に向けた動きに関心が高まる可能性がある。“脱プラ”に向けた動きを追った。

●コロナ危機が顕在化する前から存在していた危機

 小泉進次郎環境大臣は12日の記者会見で、プラスチックに関する合同審議会の立ち上げについて触れ、そのなかで「気候変動や海洋プラスチックごみ問題、生物多様性などの地球規模の課題への対応は、待ったなしの状況だ。コロナの危機はあるが、コロナの危機が顕在化する前から存在していた危機」と述べた。新型コロナウイルス感染拡大の収束が、現在よりも不透明な時期の発言であり、いかに脱プラスチックが喫緊の課題であるかを浮き彫りにしている。当日には、第1回の会合を開催しており、今後のプラスチック資源循環施策の基本的な方向性を、この夏までに取りまとめる方針だ。政府は昨年5月に「プラスチック資源循環戦略」を策定し、2030年までに再生利用の倍増、バイオマスプラスチック約200万トンの導入などを目標に掲げている。更に、35年までに使用済プラスチックの100%リユース・リサイクル などで有効利用を目指す。また、民間団体などに省CO2型リサイクルなどの設備導入支援を進めるという。

●G20では米中首脳会談で影薄く

 昨年6月後半に、大阪で20ヵ国・地域首脳会合(G20サミット)が開催され、海洋プラスチックごみの削減が重要議題となっていたことから、株式市場でも「脱プラスチック関連株」に関心が高まった。安倍首相も初の議長国となるG20において、意気揚々と脱プラに向けての動きをリードする気構えだったが、貿易協議をめぐり緊迫化した米中首脳会談に振り回された格好で、海洋プラスチックごみ問題は影が薄くなることになった。ただ、G20を直前に控えた同月3日、原田義昭環境相(当時)が記者会見で、プラスチックごみ削減の観点から、スーパーやコンビニエンスストアなどで配られるレジ袋の有料化について言及、これを刺激材料に脱プラ関連株が動意したという経緯がある。アジア各国に広がる廃プラスチックの禁輸措置に加え、昨年5月にはバーゼル条約で有害廃棄物の国境を越えた移動を規制する対象に汚れた廃プラスチックが加えられたこともあり、脱プラスチック、そしてリサイクルの促進は、もはや新型コロナ対策同様に予断を許さない状況にある。

●外出自粛で家庭ごみ増加とも

 また、新型コロナの感染拡大による外出自粛要請で、企業からの廃プラスチック量は減少しているとみられるが、デリバリーや持ち帰り弁当の需要が拡大しており、こういった容器に使用された廃プラスチックの量が増加するという新たな問題も伝わっている。

 既に、大手スーパーのイオン <8267> でレジ袋の有料化がスタートするなど、一部でプラスチック削減へ向けた取り組みが進んでいるが、経済産業省によると「環境性能が認められ、その旨の表示があるものは対象外」とし、(1)プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上で、繰り返し使用が可能なもの(2)海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの(3)バイオマス素材の配合率が25%以上のものを挙げている。また、価格は事業者自ら設定するとし、1枚あたりの価格が1円未満になるような価格設定をすることは有料化にあたらないとしている。

●凸版、GSIクレオスがレジ袋でタッグ

 レジ袋については、凸版印刷 <7911> とGSIクレオス <8101> が昨年12月に、 生分解性プラスチックのレジ袋などを共同開発したと発表。GSIクレオスが供給する生分解性に優れた樹脂「Mater-Bi(マタビー)」を原料として、凸版印刷が同社から提供された原料に関する情報をベースに、フィルム製造や成型の製造技術力・開発力を生かし、製品化に成功したという。凸版印刷では「引き合いは多数きている」(広報部)としており、18年10月に生分解性プラスチック市場に本格参入を発表したGSIクレオスとともに、今後の展開から目を離せない。凸版印刷は今年に入っても、3月には「国内初セルロースナノファイバー(CNF)を使用したバリア性と密封性を持つ飲料向け紙カップを開発」、4月には「紙素材を使用したチューブ型パウチを開発」と発表するなど、プラスチックの使用量を大幅に削減する取り組みも進めている。

●トランザクションはエコバッグで攻勢

 レジ袋削減でプラスチック使用の抑制が求められるなか、スポットライトが当たっているのがエコバッグだ。最近では、スーパーのレジなどで持参したエコバッグに購入した商品をつめる姿が多く見られるようになってきた。新型コロナの感染拡大に翻弄される経済だが、こうしたなかにおいてもエコ意識の高まりを背景に順風満帆な企業がある。デザイン雑貨などの企画・製造・販売を手掛けるトランザクション <7818> は、オリジナル製品の主力カテゴリーであるエコバッグやタンブラー・サーモボトルの売り上げが引き続き好調。エコバッグを使用することでレジ袋削減に貢献しており、これもまた脱プラスチック関連株の一角といえる。4月13日取引終了後に発表した20年8月期第2四半期累計(19年9月-20年2月)は、連結営業利益が前年同期比8.8%増の11億3400万円となった。会社側では「大手スーパーなどでは既に4月から(レジ袋の)有料化を始めているところもあり、その部分はしっかりニーズを捉え伸長している。7月からの本格スタート向けて、更に攻勢を掛ける方針だ。環境解決への取り組みを強化した商品に今後も注力していく」(経営企画部)と話す。株価は、3月13日につけた年初来安値611円を底に切り返し、現在は1000円を挟みもみ合う展開となっている。有料化スタートを目前に控え、エコバッグへの注目度が増すなか話題性も十分だ。

●生分解性プラでカネカ、三菱ケミ

 脱プラスチックといえば、生分解性プラスチックに関連する銘柄が、まさに主役といっても過言ではない。カネカ <4118> は昨年12月、高砂工業所(兵庫県)において同社が開発した生分解性ポリマーPHBHの能力増強工事が終了し年産5000トンのプラントが竣工している。PHBHは100%植物由来で、海水中で生分解する国際的な認証を取得しており、海洋汚染低減に貢献する。ストロー、レジ袋、食品容器包装材など幅広い用途で検討が進んでおり、その期待度は大きい。

 三菱ケミカルホールディングス <4188> も以前から生分解性プラスチックで環境負荷を低減させることに注力してきた一社だ。既に多くの製品に採用されているが、3月には同社開発で植物由来の生分解性プラスチック「BioPBS」を用いたごみ袋が京急グループに採用されたと発表した。採用されたごみ袋の素材は一定の海洋生分解性を有しており(現在実証実験中)、製品として使用されるのは初めてのことになるという。また、植物由来のバイオプラスチック「テラマック」に注力するユニチカ <3103> にも目を配りたい。熱湯注入や電子レンジでの加熱にも耐える発泡容器・食品容器は、ポリ乳酸由来の製品として世界で初めて同社が開発したもので、電子機器部品や、3Dプリンター用フィラメントとしても使用されている。

●製紙業界もニーズ捉える

 脱プラスチックの動きを製紙業界も機敏に捉えている。製紙メーカーも積極的に脱プラに向けた製品化に取り組むなか、三菱製紙 <3864> は2月28日に、バリア性とヒートシール適性などを有した包装用コート紙を5月から販売開始すると発表。日本を含むアジア市場の多様な包装ニーズに応えるため、廃プラスチック削減に貢献できる代替素材として、優れた生分解性及びリサイクル性を有する紙素材による包装用コート紙の「バリコート」と「バリシェルパ」を国内生産するという。同社は14日に決算を発表。20年3月期の連結経常損益は26億9600万円の黒字(前の期は9億1400万円の赤字)に浮上した。なお、21年3月期の業績見通しは開示しなかった。

 また、中越パルプ工業 <3877> はプラスチックに代わる新素材「マプカ(MAPKA)」でニーズを捉える構えだ。同素材を開発した環境経営総合研究所(東京都渋谷区)との合弁会社の新工場が中越パルプ高岡工場(富山県高岡市)において20年秋に竣工予定で、食品向けトレーを用途とする分野への展開を図る方針だ。デリバリーや持ち帰り弁当の需要が拡大するなか、今後注目を集める素地は大きい。

 こうした脱プラスチックでリードする関連企業だが、世界的な新型コロナの影響で業績は総じて不透明な状況だ。ただ、プラスチックの削減は早急に解決が求められる地球規模の命題であり、今後ますます活躍の舞台が広がることになる。関連銘柄の多くが、株価の低迷を余儀なくされているが、アフターコロナをにらむなか中長期の視点で拾い場を探す場面は近いのかもしれない。

●亜臨界融合技術・装置でエンビプロ

 脱プラスチックに加え、喫緊の課題に上っているのが「廃プラスチック」の処理だ。前述ように、アジア各国の廃プラスチックの輸入禁止が拡大するなか、まずはその処理が大きな課題となっている。

 資源リサイクル大手のエンビプロ・ホールディングス <5698> は、昨年7月にグループ企業がプラスチックごみ問題に対応する「亜臨界融合技術・装置」を導入した新工場を開設。これによりプラスチック使用量を大幅に抑え、廃棄物を活用したプラスチック製品を製造できるようになった。業績も好調だ。同社が15日に発表した20年6月期第3四半期累計(19年7月-20年3月)は、連結経常利益が前年同期比36.3%増の10億2600万円となり、通期計画の12億5100万円に対する進捗率は82%に達した。株価は3月19日に419円まで売られ年初来安値を更新したものの、ここを起点に上値を慕い、ここにきて600円台半ばまで回復している。

 廃プラスチックの回収、燃料化から発電まで一気通貫で行う「資源循環型発電事業」を展開するサニックス <4651> にも注目したい。同社は14日に決算を発表し、21年3月期の業績見通しについては、新型コロナの影響から現時点では合理的な算定が困難であるとし未定としたものの、20年3月期の連結経常利益は前の期比2.2倍となる25億9200万円に急拡大し、従来予想の23億3000万円を上回って着地した。そのほかでは、ごみ焼却発電施設などで多くの納入実績を持つ日立造船 <7004> 、廃棄物処理関連施設ではタクマ <6013> などに目を配っておきたい。

 ある業界関係者は、「レジ袋での生分解性プラの利用については、コストが大きな課題だ。この点が改善されないと(需要の拡大は)なかなか難しい」とも語る。ただ、脱プラなくして地球の未来もない。もはや退路はなく、いま“アフタープラスチック”を考える時が迫っている。

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