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【市況】明日の株式相場戦略=個人マネー炸裂、バイオ関連が総蜂起

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 ゴールデンウィーク明けとなった7日の東京株式市場では、売り優勢に傾きやすいムードのなか、日経平均が粘り腰を発揮して朝安から切り返しプラス圏で着地した。引き続き経済の実勢悪と先行き不透明感がネガティブ材料だが、世界的な金融緩和政策による過剰流動性が相場を支える構図だ。株式需給面では記録的な裁定取引の現物買い残の少なさ、そして裁定売り残の多さが相場の浮揚力の源となっている。また、東京市場が他の先進国市場と違うのは、中央銀行が本気モードで株価を買い支える(日銀のETF買い)というセーフティネットが敷かれている点。ファンダメンタルズは傷だらけであり、なおかつ傷が癒えるにも相当な時間を要するというV字回復否定論が強まる一方、経済を映す鏡であるはずの株式市場という側面のみに光を当てれば強力な上昇気流が発生したままだ。

 新型コロナウイルスの脅威は今さら言うまでもないが、ワクチン及び治療薬の開発(もしくは既存薬で明らかな効果確認)によって景色は一変する。中長期スタンスで投資を考えた場合、それまでの相場の時間軸をどう読むかにかかっている。気にかかるのは、米中対立が以前の貿易摩擦の時以上に先鋭化していることで、両国の関係悪化が新たな火種を生じさせる可能性が排除できない局面に至っていることだ。もっとも、今それを気にしても始まらない。個人投資家の売買シェアは4月に入り一段と水準を高めており、「直近データで全体売買代金の2割を超えている」(国内証券マーケットアナリスト)状況となっている。機関投資家が頭を悩ませる一方、個人にとっては戦いやすい地合いであることを物語る。

 そうしたなか、バイオ関連株が全軍躍動ともいうべき人気を博している。ファンダメンタルズ面のアプローチはないに等しい状態で、材料性に特化した形でのモメンタム投資の典型例だが、“これも株”である。当欄でも何度が取り上げてきたテラ<2191>やプレシジョン・システム・サイエンス<7707>はストップ高人気で、特にテラについては4営業日連続のストップ高で株価はあっという間に3倍化した。このほか、株価水準やチャートの形を考慮して狙える株はある。新型コロナの抗体検査キット開発に動くスリー・ディー・マトリックス<7777>や、次世代シークエンサーによる遺伝子解析を強みとするDNAチップ研究所<2397>などをマーク。更に、グループ会社がアビガンの原薬製造を受託することを発表した三谷産業<8285>の400円絡みは買いに分がありそうだ。

 ただし、バイオ株の全面蜂起については新型コロナ関連としてのバイアスがかかり過ぎており、“これも株”ではあるが、“これぞ株”とまでは言えない。正直な感想としてバブル的様相を帯びていることは拭えず、手慣れたトレーダーであれば逃げ方も知っていると思われるので釈迦に説法となるが、たとえは悪いが「どこかで坊主をめくってしまう相場である」ということも参戦する際に理解しておく必要はある。

 今回のバイオ株人気の先導役となったアンジェス<4563>については、11連騰できょうは値幅制限いっぱいに買われる異彩高となり、時価総額は既に2000億円を超え、東証マザーズ市場ではメルカリに次ぐ2位となっている。つれて個人の信用買い残も急増しており、これを横目にネット証券などを通じ主に外資系ファンドから貸し株要請が来る段階に入っている。今すぐではないにせよ、売り崩しのタイミングを狙う筋もいることも忘れてはならない。マザーズ指数はアンジェスの株価動向に支配されている部分が大きく、全体相場への影響も合わせて注意するべき時期は近いと思われる。

 バイオ関連以外でアフターコロナをにらんだ銘柄としては、独自理論による経営コンサルティングや人材紹介ビジネスを展開する識学<7049>や、キャッシュレス時代が今後加速するなか、決済代行業務電子マネー分野を深耕するウェルネット<2428>などに上値余力が感じられる。巣ごもり消費のシンボルであるアマゾン関連では遠州トラック<9057>が調整一巡から出直ってきた。

 日程面では、あすは3月の家計調査、3月の毎月勤労統計調査が開示されるほか、10年物価連動国債の入札も行われる。海外では4月の米雇用統計が注目となる。このほか3月の米卸売在庫・売上高など。なお、英国市場は休場となる。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2020年05月08日 06時24分

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