【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 「決算など手掛かり材料に個別株物色」
RAKAN RICERACA 代表取締役 会長 村瀬智一
「薄商いの中、決算など材料に個別株物色」
●コロナ禍脱却の道筋は不透明、模様眺めムードか
今週は21日に起きた米原油先物相場の急落、そしてこの急落による損失の穴埋めの動きが、これまで相場を牽引してきたハイテク株への売りという形で波及する波乱場面がみられた。しかし、一時1万9000円を割り込んだ日経平均株価だったが、その後の原油相場の落ち着きもあり、1万9000円前半で膠着を続けている。
足元で強いリバウンドをみせていた直近IPOが一気に利食いに押される場面もみられ、肝を冷やした投資家もおられるだろうが、マザーズ指数は依然として75日移動平均線レベルでの攻防をみせており、個人投資家の物色意欲は根強い。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い外出など自粛要請の長期化が警戒されており、ゴールデンウイーク期間の自粛徹底が封じ込めのカギになるとみられている。
また、企業の決算発表が本格化することで、決算後の反応を見極めたいとする模様眺めムードも高まりやすいだろう。足元では業績修正の動きが多く、且つ、今期計画を開示できない企業が相次いでいる。そのため、まずは今期計画を開示できた企業については、それが大幅減益であるとしても、アク抜けによる見直し材料となる可能性がありそうだ。また、開示を見送った企業においても、相当程度織り込まれていることから、世界的に出口戦略へ意識が向かう局面となれば、値頃感からの買いが意識されやすい。
とはいえ、現状からの脱却の流れは不透明であるうえ、決算発表シーズンとなることから、機関投資家の動きも鈍く、全体としては薄商いの状況がしばらく続くだろう。そのため、個人主体による中小型株などを対象とした個別物色に向かいやすい。また、月末にはTOPIXのリバランスのほか、5月半ばにはMSCIの定期入れ替えなどを控えており、インデックスイベントに関連する銘柄ではリバランス需給がストレートに株価に影響しやすいだろう。
●今週の活躍期待「注目5銘柄」
◆日本M&Aセンター <2127>
中堅・中小企業の経営者の「後継者問題」を解決し、企業を「存続」させるための友好的M&Aを推進している。経営者の高齢化や人材不足、経営環境の変化などに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によって、事業承継によるM&A需要の一段の拡大が見込まれる。株価は3月23日の安値2365円をボトムにリバウンドを継続。足元では利食いにより75日線を割り込んでいるが、25日線接近では押し目拾いのスタンス。
◆フリー <4478> [東証M]
クラウド会計、クラウド人事労務ソフトを手掛ける。「クラウドERP freee」は、経理の業務フローを一元化し、事業部・管理部双方の負担を削減するほか、人事労務の業務フローの一元化により、計算ミスや労務リスクを早期に回避する。テレワークが広がりをみせるなか、クラウド会計ソフトなどの需要拡大が期待される。株価は足元でリバウンド基調を強めており、2月につけた最高値4370円に接近している。
◆サイバーセキュリティクラウド <4493> [東証M]
世界有数のサイバー脅威インテリジェンスとAI技術を活用した サイバーセキュリティサービスを開発・提供。クラウド型WAF(Webアプリケーションファイアウォール)など同社のセキュリティサービスは、従来のWAFでは検知すること自体が困難であったゼロデイ攻撃(未知の攻撃)や、AIによる高度な攻撃の検知・分析を可能とする。株価は直近IPO物色の流れもあり、上場初日の3月26日につけた安値9150円をボトムに、4月21日には4万5050円まで急伸。その後は急ピッチの上昇の反動により足もとで2万円割れまで下落しており、調整一巡感からの仕切り直しが意識されるところ。
◆レーザーテック <6920>
半導体の製造に用いられるEUVマスクブランクスの検査装置などを手掛ける。5Gの本格的な普及に伴い高度な「微細化技術」が求められており、同社に対する関心は根強い。5G半導体デバイスを手掛けるTSMC(台湾セミコンダクター)は、多くの投資家が設備計画の削減を予想する中、2020年の設備投資計画を据え置いており、受注実績を有する同社への需要期待につながろう。株価は3月13日の安値3905円をボトムに、リバウンド基調を強めており、足元では年初来高値水準での保ち合いをみせている。
◆CREロジスティクスファンド投資法人 <3487> [東証R]
物流不動産に関するサービス全般を事業領域とするシーアールイー <3458> が運用する物流施設特化型REIT(不動産投資信託)。テナントニーズに応える良質な物流関連施設「ロジスクエア」に重点を置いたポートフォリオを展開しており、長期安定的な資産運用、明確な外部成長戦略を特徴とする。REITについては、新型コロナウイルスの感染拡大によって、オフィスやホテルREITへの警戒は根強いが、一方で物流施設の重要性は増しており、投資家の関心も高まっている。株価は3月19日安値8万2000円をボトムに強いリバウンド基調が継続。
2020年4月24日 記
株探ニュース