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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「『彼岸底』が来た?」

株式評論家 富田隆弥

◆驚きの「暴落」だ。「山高ければ谷深し」「過剰バブル、マネーバブルのツケ」などを懸念し、それなりの調整は覚悟していたが、チャートはまだ調整の入り口(一段下げ)であり、「暴落」はまだ先になるとイメージしていた。ところが、 NY市場で週に2度(3月9日、12日)もサーキットブレーカーが発動し、4日高値(2万7102ドル)から12日安値の2万1154ドルまでわずか1週間で5948ドル(▼21.9%)も下げた。2月12日の史上最高値2万9568ドルから1ヵ月で8414ドル(▼28.5%)も急落するとは、まさに驚きだ。

◆この驚きの展開には言うまでもなく「新型コロナウイルス」が欧米に拡散したことや、トランプ米大統領が「英国を除く欧州からの渡航停止(30日間)」を表明したことがある。世界マーケットの要であるNY市場が暴落すれば「世界同時株安」を招き、マーケットが「リスク回避」に動くこともやむを得ず、日経平均株価は2月20日の高値2万3806円から12日の安値1万8339円まで5467円幅(▼23.0%)の暴落を強いられている(12日時点)。ただ、需給面では日米とも先物とオプションのSQ(清算日)が迫っていたことも暴落を招いた一要因と思われる。

◆日本のメジャーSQは3月13日、米国のSQ=トリプルウィッチング(株式先物、株価指数オプション、個別株オプション取引の3つの取引の決済が重なる日)は20日。これまでの上昇相場で日米とも先物やオプションは「買い(上昇観測)」に偏っていた。それだけに今回の急落で買い方は焦り、ロスカットや売りヘッジなどの損失回避の対応に迫られ、それが下落に拍車を掛けたのは明らかだ。ならば、「そろそろ一旦、下げ止まる」可能性もあるだろう。日本で言うところの「彼岸底」とも合致する。

◆来週はFOMC(米連邦公開市場委員会、17~18日)、日銀政策決定会合(18~19日)がある。米FRBが再びゼロ金利に踏み切ることをマーケットは織り込んでいるが、トランプ大統領、安倍首相の経済対策を含めて各国は「何が何でも」という姿勢で対策を練って打ち出してくるだろう。それほどいまの株式市場の暴落に世界は危機感を強めている。噂ではあるが、日銀はすでに為替市場で「円売り介入」に動いているとも市場筋で囁かれている。

◆暴落に入ったチャートの底入れは「相場に聞く」しかない状況だが、下落率が20%を超え、日足のRCI(順位相関指数)は底値圏に到達、そしてSQ通過もあり、「そろそろ一旦、下げ止まる」ことも想定される。異例の地合いであるだけに「もうはまだなり」の可能性も否定できないが、もし下げ止まるならアヤ戻しでも急落の反動は小さくなく、38%戻しや半値戻しがイメージできる。日経平均であれば安値から2000~2500円幅のリバウンドは難しくない。

◆そのようなことで「彼岸底」をイメージして突っ込み買いの第一弾をそろそろ入れてみるのも面白そうだ。とはいえ、この買いは割り切りを前提に、欲張らずに短期リバウンド狙いになることを付け加えておく。ちなみに、前回触れた筆者の娘のパソコン(レノボ製)だが、3月下旬を待たずに3月10日にいきなり届いた。

(3月12日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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