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【市況】明日の株式相場戦略=巣ごもり、テレワーク周辺に勝機

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(3日)の東京株式市場は、朝方はリスクオン相場復活への期待感が漂っていた。それもそのはずで前日の米国株市場ではNYダウ が1293ドルと過去最大の上げ幅を記録し、ナスダック総合指数も380ポイントあまりの上昇で、弱気と強気の体が入れ替わったと考える投資家がいても不思議ではなかった。しかし、今回の新型コロナウイルスによるネガティブインパクトは一筋縄ではいかない。NYダウ急騰の背景にあるのは、日米欧の金融政策が協調緩和で足並みを揃えることへの期待だが、冷静に考えれば資金の供給を緩めても、新型コロナがもたらすリアル経済への影響そのものを除去できるものではない。

 ニュースフローに対応したアルゴリズムによる高速売買が前日の米国株市場の全体指数を押し上げたが、きょうの東京市場ではアルゴリズムに逆方向のスイッチが入った。今晩予定される主要7カ国財務省・中銀総裁による電話会議において、声明文には協調利下げや財政出動といった具体的な政策対応は盛り込まないとの観測がロイター通信から流れ、それがアルゴリズムによる一方通行の売り圧力として顕在化した。上にも下にも体温の感じられない機械的な売買注文が相場全体を支配しており、これに人間が後付けで講釈をつけるような、ある意味やるせない地合いが続いている。

 こうした地合いにあって個別株物色もなかなか難しい部分がある。企業業績面で1~3月期、特に2月下旬から3月末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大による影響が直撃する。メーカー系はサプライチェーンへのダメージ、国内の小売・外食関連などは個人消費減退のデメリットがかなり強烈である。サプライチェーン・リスクについてはここにきて中国で生産ラインが漸次再稼働しており、その点で影響はある程度織り込めるが、消費周辺の企業にとって今回のコロナ・ショックは春風の候とは縁遠い暴風レベルの北風といってよい。どこまで飛ばされるかは予測不能だ。3月期末を通過してから、当然下方修正ラッシュとなることを覚悟しなければならないが、その株価への影響を今の時点で見切るのは至難の業。ここは短期トレードに特化するしかなく、僥倖(ぎょうこう)を頼んで中期投資で資金を寝かせるのは、割り切りで対処できる余裕ある資金にとどめておくところだろう。

 短期スタンスであってもファンダメンタルズ面のアプローチは外せない。半導体関連は新型肺炎の影響は受けるが、5Gの世界的な商用化や自動運転の普及を含めたAIIoT社会の発展などで構造的な需要拡大が続く。前日取り上げた超純水装置の野村マイクロ・サイエンス<6254>は最後まで粘り腰を発揮したが、韓国サムスンの投資再開で収益環境の風向きが変わりつつあり、そこら辺の事情も株価に反映され始めているのかもしれない。

 ただ、もっと短期の視点で捉えた場合、語弊はあるが今のコロナ禍がむしろ商機につながるような銘柄に優位性があることは言うまでもない。その観点から浮上する銘柄としては、巣ごもり消費の範疇にあるゲーム関連株などが挙げられる。短期に徹することを条件に、400円近辺で売り買いを交錯させているAiming<3911>は妙味があるかもしれない。同社はスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>とスマートフォン向け「ドラゴンクエストタクト」を共同開発するが、これはAimingが赤字体質の継続疑義銘柄であることを差し引いても、時価近辺は上値に対する思惑を生む。また、スマホゲーム開発に加え、キャラクターのライセンスでも強みを持つイマジニア<4644>の4ケタ大台近辺は仕込み場として十分に引きつけた水準といえるのではないか。このほか大型ではあるが、王道銘柄のカプコン<9697>あたりも合わせてマークしたい。

 このほか番外編で、ブイキューブ<3681>に改めて着目。全体指数と軌道を異にする需給相場の塊のような銘柄だ。株価は2月26日に1049円の高値をつけてから、大きく調整を入れているがきょうはストップ高に切り返した。25日移動平均線との上方カイ離を解消した700円近辺で再び投資資金が流入。直近2月末申し込み現在で売り残と買い残のバランスは崩れたが、巣ごもり消費同様に新型コロナ関連の裏テーマであるテレワーク関連の象徴株で、25日線を下限ラインに意識した攻防は続くとみたい。

 日程面では、あすは国内では重要スケジュールは見当たらないが、IPOが1件あり、マザーズ市場にKids Smile Holdings<7084>が新規上場する。海外では2月のISM非製造業景況感指数、2月の全米雇用リポート、2月の財新中国非製造業PMI、1月のユーロ圏小売売上高、10~12月の豪GDPなどが開示される。また、カナダ中銀が政策金利を発表する。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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