【特集】株高へ起動! IT新時代の教育改革「小学校プログラミング必修化」で騰がる株 <株探トップ特集>
20年度からの新学習指導要領施行で教育改革が本格化する。学習の基盤となる情報活用能力を育成するために「小学校でのプログラミング教育の必修化」が導入される。収益機会を捉える銘柄を抜粋。
―20年度からの実施を前に指導体制の整備にばらつき、教育支援ビジネスで出番到来―
2020年度から新学習指導要領が施行され、教育改革が本格化する。このなかで言語能力と同様に学習の基盤となる資質・能力として位置づけられているのが“情報活用能力”で、その能力を育むために導入されるのが「小学校でのプログラミング教育の必修化」だ。ただ、現時点では指導体制の整備にばらつきがあり、全国的に充実した教育を行うためには早急な支援が必要な状況にある。そこで注目されるのがプログラミング教育事業 を手掛けている企業で、講師の派遣や学習ソリューションなどの需要拡大が見込まれる。
●目的はプログラミング的思考の育成
小学校でのプログラミング教育必修化の背景には、生活のあらゆる場面でコンピューターなどの情報機器やサービスと、それによってもたらされる情報とを適切に選択・活用し、問題を解決していくことが不可欠な社会が到来しつつあることが挙げられる。文部科学省では“情報活用能力”を構成する要素となる「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」「学びに向かう力、人間性」を重要視し、コンピューターやプログラミングの概念に基づいた問題解決型の思考である「プログラミング的思考」を養うことを必修化の目的としている。
●IT人材不足の解決を図る側面も
また、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった技術革新が急速に進展するなか、システムエンジニアをはじめとするIT人材が不足している問題も存在する。経済産業省のIT人材需給に関する調査によると、30年時点での需要と供給の差(需給ギャップ)は78万7000人に達すると試算されている。IT人材不足の解決は世界的な課題であり、既に英国やフィンランドではプログラミング教育が必修となっている。
●市町村の7%が準備遅れ
こうしたなか、日本でもこれからの時代に必要とされる能力を身につけるためのカリキュラムが授業に組み込まれていくことになるが、文科省が1月に発表した調査結果では全国の市町村教育委員会のうち約7%が最低限必要な指導体制の基礎が整っていないと回答。既に1人以上の教員が授業実践や模擬授業を実施済み、または実施予定としている割合は、長崎県が100%であるのに対し、島根県は約74%にとどまっている。文科省は担当者向けセミナーの開催などを進めるとしているが、プログラミング講師が不足している状況下、民間企業の更なる活躍に期待したい。
●サイバーは地方自治体などと連携
プログラミング教育事業にいち早く参入したのがサイバーエージェント <4751> だ。13年5月に「CA Tech Kids(シーエーテックキッズ)」を設立し、全国の主要都市で小学生向けプログラミングスクールを展開しているほか、地方自治体や小学校と連携して出張プログラミング授業や教員向け研修を行っている。また、19年4月にはCA Tech Kidsとスプリックス <7030> が合弁で、小学生向けプログラミング教材の開発・運営・販売を行う新会社「キュレオ」を設立。この新会社が運営する子ども向けプログラミング教室は、20年1月末時点で1000教室を突破した。
●NSSOLはプログラミング教材を公開
また、日鉄ソリューションズ <2327> は17年9月にプログラミング学習サイト「K3Tunnel(ケイサントンネル)」を開設し、19年7月から小学校で必修化されるプログラミング学習に対応した「教員向け指導案」「授業進行スライド」「ワークシート」をセットにした教材を公開。フューチャー <4722> 傘下で小・中学生向けプログラミングスクール「CodeCampKIDS(コードキャンプキッズ)」を運営しているコードキャンプは、19年7月からNTTドコモ <9437> と共同開発した学習教材を学習塾などに提供している。
●エディオンはスクール運営会社を買収
このほか直近では、エディオン <2730> が19年12月にプログラミング教室などを運営する、夢見る(大阪府堺市)を子会社化すると発表。同社は18年12月からプログラミング教育事業「エディオンロボットアカデミー」を始めており、今回の買収により教育事業を強化する構えだ。
今年1月にはJR九州 <9142> 子会社のJR九州システムソリューションズと、阪急阪神ホールディングス <9042> 子会社で教育事業を手掛けるミマモルメがフランチャイズ契約を締結。九州での展開の第1弾として4月にも福岡市内にプログラミング教室を開校する予定となっている。
●ヒューマンHD、ジャスト、学研HDなどにも注目
これ以外では、プログラミング教育に対応した指導教材を扱う大日本印刷 <7912> 、通信教育を通じてプログラミング講座を提供しているジャストシステム <4686> やベネッセホールディングス <9783> 、小・中学生向けプログラミングスクールを展開している学研ホールディングス <9470> などに注目。
ヒューマンホールディングス <2415> [JQ]傘下のヒューマンアカデミーが手掛ける5歳から中学生までを対象としたロボット教室は、このほど在籍生徒数が2万5000人を突破した。
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