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【特集】フェローテク Research Memo(7):現時点では2022年3月期に営業利益125億円の目標は不変

フェローテク <日足> 「株探」多機能チャートより

■中長期の成長戦略

1. 中期経営目標の概要:進捗と見通し
フェローテックホールディングス<6890>では、今後の中期的成長を達成するために、2022年3月期を最終年度とする中期経営目標を2019年5月に発表している。その定量的目標として、2022年3月期に売上高で1,200~1,300億円、営業利益で120~130億円、営業利益率で10%超、ROEで10%超、ROICで6%超、自己資本比率で40%超を掲げている。

現時点でもこの目標数値は変更されていないが、主力の半導体等装置関連事業にブレーキがかかっていることから、同社は「今後、足元の状況を見ながらこの目標を再検討する必要があるだろうが、詳細については2020年5月頃の決算発表時に明らかにする予定だ」と述べている。これに関連して、以下は同社が置かれている現況と今後の見通しである。

2. 半導体業界の見通し:2020年以降回復の見込み
同社の業績に最も大きく影響を与えるのが中国を含めた世界の半導体製造装置市場(業界)とウエーハ市場の動向だ。この点で、足元の状況は厳しいが、中長期的にはまだ成長する市場であると言える。半導体製造装置・材料業界団体である国際半導体製造装置材料協会(SEMI)によれば、2019年の半導体メーカーによる半導体製造装置(ウエーハ工程=前工程向け装置)投資額は前年比14%減の530億ドルに留まるものの、2020年には市況が回復し、同27%増の670億ドルに達するとの予測を発表している。

またSEMIは、2019年9月に半導体向けシリコン(Si)ウエーハ出荷面積の年次予測を発表しているが、これによると2019年の出荷面積は、過去最高記録となった2018年比で6%減となる見込みだが、2020年には再び成長に転じ、2022年には過去最高となる127億8500万平方インチを記録するという予測となっている。SEMIの市場調査統計担当者は「2019年の出荷面積は、積み増された在庫と需要の低迷に対処するため減少するだろう。しかし2020年に業界は安定し、2021年、2022年と成長のペースを取り戻すと予測される」と述べている。

3. 成長が続くと期待できる分野
(1) 半導体製造装置向け部材
需要は、製造装置の生産そのものにも左右されるが、世界の大手だけでなく、同社製品を採用する中国メーカーも増加しており、2020年3月期、2021年3月期と好調が続く見込み。

(2) サーモモジュール
5Gの本格運用に向け、需要が拡大中。それ以外にも、自動車、医療、民生用等で新たな用途が拡大しており、2020年3月期、2021年3月期と伸びが続くと予想される。中長期的にも有望な分野である。

(3) 部品洗浄
2019年3月期から半導体等製造装置関連のサブセグメントとなったが、その後も順調に拡大している。特に2020年3月期から新たな設備が立ち上がっており、米国系を含めた大手半導体製造装置メーカーからの信頼は厚く、中国市場で大きなポテンシャルがある。

(4) パワー半導体基板
世界的な消費電力抑制トレンドに呼応し、パワー半導体への需要が拡大中。これに合わせて、今後は既存のアルミナ(DCB)基板だけでなく、窒化ケイ素(AMB)基板も投入する。現在、上海・杭州工場でDCB基板のみで月産60万枚の生産体制に加えて江蘇省の新工場でも能力を拡大中。

4. 注力する重要施策
(1) 中国での国産化を加速
中国政府が発表している「中国製造2025」(半導体自給率を2020年までに40%、2025年までに70%に引き上げる)計画に合わせて、中国での国産化を一段と加速している。その一環として、すでに杭州ウエーハ新工場が2019年11月に竣工したが、この記念式典には現地の有力メーカーや地方政府関係者など約450名が出席、午後の部では「中国半導体産業フォーラム」を開催し、有識者による中国国産化の動向などに関する意見交換を実施した。

(2) ウエーハ投資:需要に応じた柔軟な生産・販売体制へ
当初は、2020年3月期中に8インチウエーハの早期量産体制(月産35万枚)を立ち上げる計画だったが、現在の需要動向に合わせて設備投資計画を見直し、量産の立ち上げを後ずれさせる。また販売においても、台湾大手のグローバルウエハーズの協力に加えて、自社単独での販売を行える体制への移行を検討している。

(3) 設備投資計画と資金調達スキーム
以上のような状況から、2020年3月期の設備投資総額は期初計画の48,000百万円から40,000百万円に減額された。また2021年3月期の設備投資計画は、期初は約12,000百万円であったが、ずれ込み分(約8,000百万円)と合わせて新規の投資計画を検討中である。

またこれらの投資に対する資金計画においては、通常の借入金、社債や株式発行に加えて、中国現地資本の導入(現地ファンドとの共同出資、地方政府補助金等)も検討中であり、今後は幅広い選択肢を視野に調達スキームを実行していく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《ST》

 提供:フィスコ

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