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【特集】ムサシ Research Memo(1):選挙関連ビジネスでは強さが一段と。“ムサシ・オリジナル”事業も着実に進捗

ムサシ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

ムサシ<7521>は選挙関連の機器や用具の総合トップメーカー。選挙の一連のプロセスで必要な機材や用具類を全般的にラインナップし、主力の投票用紙読み取り分類機においてはシェア約80%と圧倒的な存在だ。また、文書のデジタル化(メディアコンバート)においても国内最大のイメージング作業施設を展開し、収益の柱への育成を図っている。

1. 選挙関連売上高が大幅に伸長。参院選に加え、新型交付機やシステムの増収も貢献
2020年3月期第2四半期は、選挙システム機材事業(単独ベース)の売上高が前年同期の1,422百万円から4,090百万円に3倍近い大幅増収となった。これは期間中に4月の統一地方選と7月の参院選の2つの大型選挙があったことが直接の要因だがそれだけではない。2019年3月に発売した新型の投票用紙自動交付機が更新需要のみならず新規需要を刺激して売上を伸ばしたことや、投開票業務システム(ソフトウエア)がこれまで以上に売上を伸ばしたことなども第2四半期の大幅増収に貢献した。これらの事象は、選挙関連ビジネス市場が成長市場であることを強く示唆する動きだと弊社では考えている。

2. ミクロフィルターや『ひびみっけ』は順調に進捗。メディアコンバート事業を強化
同社の成長戦略は、同社が圧倒的な強さを発揮する選挙関連ビジネスをベースとし、その上に商社ビジネスと、“ムサシ・オリジナル”ビジネスからの収益を積み上げる形での成長を目指している。これらもまた順調な進捗を見せている。商社ビジネスの中ではミクロフィルター事業や社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』といった新規事業が順調な立ち上がりを見せている。一方、“ムサシ・オリジナル”のビジネスでは、第2四半期はメディアコンバート事業においてデジタルアーカイブ分野を強化し、同業他社との明確な差別化によって事業の拡大を図る。

3.選挙関連ビジネスがシクリカルグロースであるため、来期の減益は投資タイミング
業績面での不安は小さい。2020年3月期は第2四半期の好決算を受けて通期見通しが利益面で上方修正された。今回の修正は第2四半期の上振れ分だけを反映したに過ぎず、その意味では控えめな予想とも言える。しかし、印刷システム機材事業など事業立て直しに取り組んでいる分野もあり、現予想の線で考えておくことが妥当だと弊社では考えている。2021年3月期は衆院選や国民投票などが無ければ国政選挙スキップ年となるが、その際に減収減益となることは同社の事業構造上当然のことと受け止められている。次の国政選挙において前回を超えられるかに確信を持てれば業績悪化はむしろ投資タイミングといえる。この点に関しては、第2四半期における選挙システム機材事業の動向が明快な答えを示したと弊社では考えている。

■Key Points
・選挙関連ビジネスをベースに、商社ビジネスと“ムサシ・オリジナル”ビジネスの3本柱での成長を目指す
・ メディアコンバート事業でのデジタルアーカイブ分野の強化は、差別化の武器であると同時にターゲット市場の拡大でもある
・ミクロフィルターは食品・飲料分野やエレクトロニクス分野などで順調に販売が拡大

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《SF》

 提供:フィスコ

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