【特集】「栄養サミット」東京開催、“健康寿命延伸”担うパワフル銘柄厳選リスト <株探トップ特集>
今年は「栄養サミット2020」の東京開催が予定されており、株式市場でも思惑を呼ぶ可能性がある。同サミットを前に食品株周辺で株価上昇の気配を漂わせる有力銘柄を選出。
―“超高齢化”克服が重要テーマに、サプリメント・健康食品に追い風強まる―
年明けの東京株式相場は、イラン情勢の緊迫化を背景に波乱展開で始まった。物色の潮目が変化するなか、内需関連の成長株にも市場の関心は向かっている。とりわけ、今年の有力テーマとなりそうなのが、超高齢化社会の克服だ。今年は「栄養サミット2020」の東京での開催が予定されており、同サミットを契機に「健康寿命延伸」を目指した食環境作りが計画されている。こうしたなか、 サプリメントや健康食品 などを含む食品株が脚光を浴びることが予想されている。
●東京五輪を機に日本の栄養政策を世界に発信、成長戦略で食環境づくり
政府は2040年までに、健康寿命を男女とも16年と比べて3年以上伸ばし、75歳以上とするという目標「健康寿命延伸プラン」を掲げている。また、今年は12月にも「栄養サミット2020」の開催が予定されている。「栄養サミット」は12年のロンドンオリンピックを機に翌13年に初めて開催され、16年のリオデジャネイロに続き20年には東京で開かれる予定だ。同サミットを通じて日本の栄養政策を世界に発信するとともに、栄養に関する国際貢献の本格展開に向けた取り組みを推進する。昨年6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」では、自然に健康になれる環境作りを推進することもうたわれた。食環境づくりでは野菜摂取量の増加や食塩摂取量の減少なども取り上げられている。
●健康効果や保健効果を標榜した健康食品の市場は活況
こうしたなか、食に関する健康志向は着実に高まっている。市場調査会社の富士経済がまとめた健康志向食品の国内市場調査によると、19年の健康志向食品市場は前年比2.6%増の1兆4792億円だった。中性脂肪値・コレステロール値改善訴求のトマトジュースの続伸やノンアルコールビール、認知機能サポートや睡眠サポートを中心に、機能性表示食品全体では2ケタ増となるなど市場を牽引した。急速に進む少子高齢化による人口減少に伴い食品業界は頭打ちとされているが、サプリメントなど健康志向食品は健康意識の向上を背景に伸び続けているカテゴリーだ。
●ファンケルのサプリメント事業は急成長、中国向け越境ECにも注力
こうした健康志向をベースに、サプリメントで新たな成長を目指しているのがファンケル <4921> だ。同社の19年3月期のサプリメント売上高は前の期に比べ2割増を記録。ファンケルは越境ECなどでの展開を強めサプリメント市場が年率で2ケタ成長している中国を開拓する方針だ。また、同社は昨年8月にキリンホールディングス <2503> と資本・業務提携を発表した。記者会見で、キリンHDの磯崎社長は、「疾病の予防などを掲げる当社と、健康寿命の延伸を図るファンケルの理念とは目指す方向性が完全に一致する」と発言。今後両社が展開する事業領域で幅広くシナジーを発揮し、医と食をつなぐ事業に経営資源を集中させる姿勢を鮮明にしている。資本面では、キリンHDがファンケル株の30.3%を取得し持ち分法適用会社としたが、この発表を契機にファンケルの株価は3割近く上がるなど、市場はこの提携を評価している。
●北の達人は「カイテキオリゴ」で快走、化粧品も伸びる
健康食品や化粧品の通販を主軸とするネット通販を展開する北の達人コーポレーション <2930> は、20年2月期までの5年間で年商を約5倍とする100億円企業となる計画であり、急成長を遂げている。顧客ニーズを的確にとらえたコンセプトで商品企画を行い、製造を外部委託するビジネスモデルを採用しており、広告戦略が奏功して新規顧客の増勢が顕著だ。また、独自のマーケットデータベースによる分析で高効率、高収益を確保している。主力製品の「カイテキオリゴ」が好調なほか、化粧品も伸びている。今後は高い利益率を維持したまま、20年2月期予想から2.7倍近い伸びとなる売上高300億円達成に向けた土台作りを目指し、アマゾン向けや海外展開に注力していく方針だ。
●ニッピはコラーゲン販売伸び今期業績に増額修正期待
コラーゲンペプチドを使った化粧品や食品などを手掛けるニッピ <7932> の業績は好調だ。化粧品や健康食品向け素材のコラーゲンは、一時頭打ちが懸念されたものの直近では復調傾向にある。日本ゼラチン・コラーゲン工業組合がまとめた最新報告では、17年度の販売量は前年比20%増の5800トンとなった。このうち大半を占める国内の「食用」用途では15%増の4772トンと大きく伸長。輸出量も前年比55%増の901トンに膨れ上がるなど、海外での需要が拡大している。こうしたなか、同社の19年4-9月期営業利益も前年同期比5.5倍の10億9000万円と好調だった。コラーゲン加工事業が堅調だったほか、ゼラチンも健康食品用や医薬用で伸びた。特に魚由来製品の価格改定が進み収益を牽引した。20年3月期営業利益は前期比2.3倍の19億5000万円を見込んでいるが、上振れも意識される。
●ファーマフーズやAFC-HD、ファンデリーなども注目
更に健康商品・サプリメント市場での成長を見込む関連銘柄は多い。健康食品関連では膝関節用サプリメント「タマゴサミン」などの機能性食品素材を販売するファーマフーズ <2929> [東証2]、それに小林製薬 <4967> や森下仁丹 <4524> [東証2]、新日本製薬 <4931> [東証M]、AFC-HDアムスライフサイエンス <2927> [JQ]、焼津水産化学工業 <2812> 、ピアラ <7044> [東証M]などが関連銘柄に挙げられる。
加えて、生活習慣病患者や予備軍に向けた健康食の宅配でファンデリー <3137> [東証M]やシルバーライフ <9262> [東証M]、家庭向け食材宅配を展開するショクブン <9969> [東証2]などにも注目したい。
株探ニュース