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【特集】世界に誇るコンテンツ、なんてったって騰がる「アイドル」関連株に照準 <株探トップ特集>

アニメとともにオタク市場を牽引する「アイドル」が株式市場でも有力な物色テーマとして浮上している。次世代通信規格5Gの商用化も追い風にビジネスチャンスに広がりが生じている。

―アニメと並び注目を集める「アイドル」に脚光、オタクパワーで開花する有望株とは―

 昨年暮れに「鬼滅の刃」関連銘柄が話題となったように、株式市場においてもアニメーションへの関心は高い。日本だけではなく、海外でもジャパニーズアニメの評価は高く、有力コンテンツを持つ企業のビジネスチャンスは今後も増加が期待できる。

 そのアニメと並び、近年では「アイドル」がコンテンツとして注目を集め始めている。海外でもライブを行う「パフューム」や「ベビーメタル」や海外にグループの輪を広げるAKBグループなどは固定ファンも多く、魅力は十分にある。アニメ同様、「アイドル」が世界に誇るコンテンツとして、株式市場でも注目されそうだ。

●アイドルはアニメと並びオタク市場を牽引

 矢野経済研究所(東京都中野区)が昨年11月に発表した「『オタク』市場に関する調査(2019年)」によると、国内のアニメ市場(制作事業者売上高ベース)は2015年度の2300億円から18年度には2900億円に拡大したと推計され、更に19年度は3100億円になると予測されている。

 一方、アイドル市場も年々拡大しており、同調査によると、市場規模(ユーザー消費金額ベース)は15年度の1550億円から18年度には2400億円に拡大したと推計され、伸び率はアニメ市場を上回る55%と高い。同社では「ジャニーズ」「AKB48」グループを中心に引き続き中核となるファン層が市場を支えるほか、他のアイドルグループの台頭も継続し拡大傾向にあると指摘。19年度は伸び率がやや鈍るものの、2550億円になると予測されており、オタク市場にあってアニメ市場を追随する。

●「嵐」の活動休止もインパクトに

 アニメとともにオタク市場を牽引するアイドルだが、20年度は12月に人気アイドルグループ「嵐」が活動休止に入ることが、市場にインパクトを与えるとみられている。

 嵐は昨年、インスタグラムやツイッターなど5つのSNSで公式アカウントを開設した。今年1月9日時点のフォロワー数はインスタグラムで350万人、ツイッターで225万人に及ぶ。また、ネットフリックスでは毎月1話以上、1年間独占配信するドキュメンタリー番組もスタートした。今後、どのように活動休止に向かうのかが社会的な現象につながる可能性も指摘されており、これがグッズやDVDなどの関連消費につながろう。更に21年は「嵐ロス」によって、関連消費が続くとみられている。

●ライブ会場の増加も市場活性化に寄与

 このほか20年以降、収容人数1万人前後の新しいコンサートホールが首都圏で複数オープンする予定であることもアイドル市場の活性化につながると期待されている。ぴあ <4337> が20年春開業予定で横浜みなとみらい地区に1万人規模のアリーナを建設しているほか、バンダイナムコホールディングス <7832> も渋谷にホール、ライブハウス、劇場などの複合施設(規模不明)を20年をメドに設ける予定。その後もケン・コーポレーション(東京都港区)が横浜みなとみらい地区に建設する2万人収容のアリーナ(23年秋竣工予定)なども控えており、新たな“ハコ”の完成が市場にも刺激を与えよう。

●5G商用化も追い風

 リアルにおける動きに加えて、ネットの世界でもアイドルを求める動きが期待されている。前述のネットフリックスによる「嵐」のドキュメンタリー番組にみられるように、動画配信ではアイドルのドキュメンタリーやライブが重要なコンテンツとなる。

 こうした動きは、今年から「高速・大容量」や「超低遅延」を特徴とする5G(第5世代移動通信システム)の商用化が世界的に本格化することで更に加速するとみられており、既にアイドルを活用したビジネスを展開する企業や、アイドルをIP(知的財産)として保有する企業などのビジネスチャンスが広がることになりそうだ。

●人気タレントの多いアミューズ、UUUM

 関連銘柄の代表格はアミューズ <4301> だ。サザンオールスターズや福山雅治、ポルノグラフィティなどが所属する大手芸能プロダクション。20年3月期は大型イベントや大型音楽作品のリリース減少などで減収減益を見込んでいるが、上期のイベントやそれに伴う商品売り上げ収入の好調から、昨年8月に通期業績予想を引き上げている。11月発表の上期決算では、通期業績予想の引き上げはなかったものの、営業利益の進捗率が95%に達していることから上方修正の可能性は高い。21年3月期もオリンピック関連番組へのタレントの出演や、期後半に予想されるライブ開催数の増加で堅調な業績が期待できる。

 UUUM <3990> [東証M]は、HIKAKIN、はじめしゃちょー、水溜りボンド、ゆきりぬなどの人気YouTuber(ユーチューバー)のマネジメントを手掛けている。足もとでは、視聴実績に応じてYouTubeから受け取るアドセンス収益に加えてタイアップ広告やグッズ販売なども伸長。人気ユーチューバーはテレビなどへも進出が著しいことから、収益は更なる拡大余地がある。昨年10月に発表した第1四半期(6-8月)が大幅営業増益だったことから、今年1月14日発表の上期決算にも注目が集まっている。

 エムアップ <3661> は、SKE48・NMB48のモバイルファンサイトやGLAYファンサイトなどを運営しており、新規案件の獲得と会員数が業績に結び付いている。昨年11月に発表した上期決算では、営業利益が前年同期比3.3倍の3億3900万円に拡大するなど足もとの業績は好調。また、子会社で電子チケットの取り扱いを行っている点も注目したい。

 gumi <3903> は、スマートフォン向けゲームアプリ「乙女神楽 ~ザンビへの鎮魂歌(レクイエム)~」を今年1月、「乃木坂46・欅坂46・日向坂46 公認RPG ザンビ THE GAME」としてリニューアルし配信を開始する点が注目されている。同社は20年4月期業績予想を開示していないものの、第3四半期累計(19年5月-20年1月)連結業績予想では、同ゲームに関する外注費やプロモーション費の増加を吸収して、営業利益7億1200万円(前年同期5億4700万円の赤字)を見込むなど業績も良好だ。なお、坂道シリーズ・グループに関しては欅坂46・日向坂46公式ゲームアプリ「欅のキセキ」を配信するenish <3667> なども注目される。

●バーチャルなアイドルの活躍も目立つ

 こうしたリアルのアイドルやタレントとは別に、近年活躍が目立つのが、ゲームやアニメなどで活躍するバーチャルなアイドルだ。

 KADOKAWA <9468> やバンダイナムコホールディングスなどによる「ラブライブ!」は、アニメやゲーム、声優によるリアルなライブなどに展開し、最も幅広いジャンルで活躍するアイドルといえる。特にKLab <3656> やブシロード <7803> [東証M]などが共同開発したスマホゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS」は、昨年9月に配信を開始した後、10月15日にはユーザー数300万人突破を発表するなど順調に推移しており、両社の業績に貢献。来月中旬に発表予定のKLabの19年12月期業績でも牽引役の一つとなることが期待されている。

 一方、男性アイドルでは、アエリア <3758> [JQ]の「A3!」がスマホゲームからスタートし、アニメやライブなど活躍の場を広げている。同社は第3四半期累計(1-9月)営業利益が前年同期比23%増と伸長したほか、昨年12月20日には期末一括配当を12円にすると発表したが、株価の反応が鈍かったことから注目余地は大きい。

 また、アミファ <7800> [JQ]が展開している100円ショップ限定カレンダーアイドル「SMAPRO!(スマプロ)」はセリア <2782> [JQ]を通じて販売したカレンダーが人気となっており、メディアミックス展開が注目されている。

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