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【特集】【緊急特集】日経平均2万4000円回復、高まる掉尾の一振相場への期待

米中の雪解け期待で、日経平均株価は1年2ヵ月ぶり高値に急伸した。市場からは「相場は転換点を迎えた」との声も聞かれるなか、年末高へ向けた強気見通しが浮上している

―2大懸念材料が後退、リスクオンで世界的な年末高ムードに―

 13日の東京株式市場で 日経平均株価は大幅高となり2万4000円を回復した。米中間の懸念となっている制裁関税発動を延期するとの報道を受け、一気に雪解け期待が強まった。また、英総選挙も保守党が大勝する見通しとなり、英国によるEU(欧州連合)離脱に伴う混乱は避けられるとの期待が膨らんだ。警戒された2大懸念材料が後退したことを好感。市場には「相場は年末高に向け走り出しそうだ」との見方が強まっている。

●15日の対中追加関税は延期の報道、NYダウはザラ場ベースの最高値に上昇

 13日の日経平均株価は前日比598円高の2万4023円と急伸。昨年10月4日以来、1年2ヵ月ぶりに2万4000円台を回復した。

 この株価急伸の要因となったのは、米中通商協議での合意期待が高まったことだ。トランプ米大統領は12日に「中国との大きな合意が近い」とツイッターに投稿。複数のメディアが「米中協議は大筋で第1弾の合意に達した」と報道した。これを受け、12日のNYダウはザラ場ベースの最高値を更新した。

 米中政府からの正式発表はまだないが、「15日に予定されている1600億ドル相当の中国製品に対する追加関税の発動は延期される一方、中国は500億ドルの米水産物を購入する」ことなどが報道された。

●相場は大きな転換点の公算、世界景気も回復に期待

 市場関係者からは、「米中が通商協議で合意に達したとすれば、今後の相場の大きな転換点となる」との見方が出ている。東海東京調査センサーの庵原浩樹シニアストラテジストは「過去引き上げられた関税も引き下げられる方向になれば、世界的な景気回復が期待できるだろう」と指摘。「12日のニューヨーク市場で半導体株や銀行株などが急伸したことは、その期待感の表れだ」という。

 松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストも「トランプ大統領がツイッターで米中合意を示唆したほか、米国が中国に対して15日に期限を迎える追加関税第4弾の中止と現在かけられている関税措置の減額を提案したことが報じられ、全般相場は前倒し的にリスクオンに傾いた。英国議会選挙では保守党が議席数を増やし単独過半数を確保したこともポジティブ材料となっている」と話す。折しも、長らく懸念視されていた英国リスクが薄れたことも相場のプラス要因となった。「米中協議」と「ブレグジット(英国のEU離脱)に伴う混乱」の2大懸念要因が大きく後退したことは相場をリスクオン姿勢に導いた。

●東京株式市場には世界的な出遅れ感、昨年10月高値更新に向け年末高も

 では、海外市場と東京市場は年末相場をどう迎えるのだろうか。キャピタル・パートナーズ証券の倉持宏朗チーフマーケットアナリストは「米中摩擦リスクが軽減したことが好感される格好となるだけに、NYダウはまだ上昇が見込める。それとともに、日経平均株価も年内に18年10月につけた2万4448円の高値更新が期待できるだろう。ここを突破すれば、もちろん来年の話だが、次のターゲットとなる91年6月の2万6000円台が見えてくる」という。

 日経平均株価は長らく2万3500円前後を上値とする膠着相場が続いた。この抵抗線を突破した意味は大きく、年末相場に向けて一段高期待が大きく膨らんできた。前出の庵原氏も「日経平均はNYダウなどに比べて出遅れ感がある。日経平均株価のPERはまだ14倍台であり、PERを拡大させながら上値を買い上がる余地は十分ある」ともみている。世界的なリスクオン相場への転換が予想されるなか、東京市場では年末の“掉尾の一振”相場に向けての環境が整いつつあるようだ。

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